【R-18】金曜日は、 貴女を私の淫らな ペットにします

indi子/金色魚々子

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心に触れて ⑤


しかし、場をつなぐためのお酒はどんどん増えていく。私の許容量は超えてしまい、いつの間にか目の前がふらふらと揺らぎ始めた。
周りも、会が始まったときに比べると人が少なくなっていた。みんな、帰ったり二次会に行ったりしたりしているのだろう。私は戸田さんから見えないように小さく欠伸をするが、それは隠しきれず……戸田さんにもすっかりバレてしまっていた。


「木下さん、大丈夫?」

「……えぇ?」

「どうしようか……そうだ、どこかに酔いを覚ましに行こうか」

「え……?」


戸田さんは私の腕を掴んで、こっそりと耳打ちする。私が、「どこかって、どこですか?」と聞くよりも先に戸田さんは私を掴んだまま会場を後にしていた。
戸田さんは帰る支度を整えて、会社を早足で出ていった。それに否応なくついて行く私の脚はもつれ、息はドンドン上がっていき……何より、アルコールが体や頭の中を駆け巡っていった。戸田さんは、会社近くの公園で止まる。


「酔い覚ましに、少し散歩でもしていかない?」

「え……?」


戸田さんは腕を引いたまま、公園の中に入っていく。夜も更けた公園は、人っ子一人いない。


「大丈夫? 木下さん」


 足元がふらついた私の腕を、戸田さんがしっかりと掴んだ。思っていた以上に、アルコールが体中にダメージを与えているみたいだ。


「ら、らいじょうぶですよぉ」


 舌っ足らずで、説得力を持たない声が私の口から飛び出す。それを聞いた戸田さんは、少し口角をあげるように笑っている。


「……どこかで、休みにでもいく?」

「どこかってぇ?」

「いや、木下さんがよかったら、だけど……」


 私の腕を掴んでいた戸田さんの手が、私の腰にゆっくりと回った。耳元には、戸田さんの熱い呼吸があたる……私は、ぎゅっと目をつぶった。私の瞼の裏に、私の頭をふわっと撫でた副島課長の優しい笑顔が映った。その途端、その腰に回った腕も、呼吸が孕む戸田さんの下心も、気持ち悪くなってきた。私は腰をよじって、強引に腕を振りほどいた。


「っと、木下さん? 大丈夫?」

「だ、大丈夫なので……」


 顔をあげると、戸田さんの真っ黒な瞳が見えた。副島課長と同じ色なのに、その奥に熱ではなく仄暗い冷たさを感じてしまう。私が一歩後ずさると、戸田さんは一歩踏み込むように近づいてくる。走り出そうにも、お酒が回りきった私の今の状態では、すぐにもつれて転んでしまう。色々考えあぐねているうちに、戸田さんは私の手首を強く掴む。


「……離して!」

「いいだろ、少しくらい……体の相性確かめてから付き合ってもおかしくないだろ?」


 由紀子の嘘つき、何が良い人だ! 私は必死に抵抗しながら、心の中で毒吐く。腕を引かれるたびに、どれだけ私はちょっとずつ戸田さんに引き寄せられていった。大声で叫べば、誰か助けに来てくれるだろうか……きっと、通りかかりの人たちはカップルの痴話げんかだと思って通り過ぎるだろう。最後の抵抗で、腕をぶんぶん振り回してもなしの礫だった。誰か……この際どんな人でもいいから、助けてほしい。
 出来たら、副島課長が良いな……なんて考えているうちに、戸田さんはまた私に近づいてきて、今度は正面から私を頬に触れ、顔を近づけてきた。


「おい」


 低い声がとどろいたと思ったら、戸田さんの顔がピタッと止まった。恐る恐る目を開けて、戸田さんの背後に立つ人影を見た。


「かちょう……」


 そこにいた人こそ、心の中で待ち望んでいた相手――副島課長だった。課長は、戸田さんの上着に指が食い込みそうなほど強い力で、肩をぎゅっと掴んでいる。


「そ、副島さん?! どうしてここに」

「……はる、おいで」


 戸田さんの問いかけも無視して、副島課長は私に手を差し伸べた。私の手が課長の指先に触れると、強く抱き寄せた。そして、私の頬に手を添えて……ぐっと顔を近づけた、私は思わず目を閉じていた。
 課長の唇が、私のソレにそっと触れた。……そういえば、課長とキスするのなんて初めてかもしれない。そんな事を考えているうちに、課長は顔を傾け、ぐっと口づけを深くする。わずかに開いた小さな隙間から、ぬるっと課長の冷たい舌が入り込む。
歯列をなぞり、歯の裏側をくすぐるように舐め……課長は、私の腔内を余すことなく蹂躙した。私が焦れて舌を伸ばすと、わざとらしいピチャピチャという水音を出しながら課長のソレが絡みついてくる。たまらず、喉から甘え声を漏らすと、課長は私の腰に腕を回し、さらに体を密着させた。
ぴったりと私に触れ合う課長の体の中心が、まるで火が付いたように熱い。その熱を奪うように、私は背中に手を回した。そのとき、ふっと課長の腕の力が抜けた。そして、唾液の糸を作るように課長は唇を話して、もう一度強く……まるで私の体がここにあることを確かめるように抱きしめていた。
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