鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸

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1章 奪う力と与える力

第18話 没落への足音

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 デュオソーン第二王子が座席に戻ってから、次に司会から呼ばれたのは、自信満々のあいつだった。

「続きまして!第四王子クワトゥル様より!ギフトキーを授与いただきます!アズー・ヴァンドゥーオ殿!前へ!」

 名前を呼ばれた、これまた見知った顔が祭壇にのぼっていく。第四王子の取り巻きの1人であるアズーのやつだ。あいつも、第四王子と同様、自信満々のニヤケ面をしている。
 祭壇の中央付近で跪いたアズーの前に、カツカツと尊大な態度でクワトゥルが降りてきて、アズーに向かって両手をかざす。そして、詠唱を始めた。
 あいつの本来のギフトキーの力はAランク、アズーにどんなに才能がなくっても、Cランクのスキルは発現するはずだった。詠唱が終わる。

「目覚めろ。誰もを屈服をさせる才覚よ。ギフト・キー」

 クワトゥルの両手の間が光り、輝き出す。しかし、その光を見て、クワトゥルとアズーは目を見開き、そして、観客たちがざわつきだした。
 あきらかに、光が小さいからだ。さきほどの第二王子を比べると半分の光量すらない。

「な、なんだこれは……」

「く、クワトゥル様?」

 まもなくして、その小さな光は収束し、みすぼらしい、石でできたようなボロボロの鍵が顕現した。

「こんな、バカな……」

「クワトゥル様?そ、それは?ぎ、銀の鍵ですよね?」

「いや……これは……」

 ざわざわが大きくなっていく。

「まさかあれは……」
「いや、そんなはずが……」
「クワトゥル様はAランクのギフトキー持ちのはずでは?」
「しかし、だがあれは……おそらく……」

「クワトゥル様!ギフトの授与を!これは神聖な儀式です!」

 司会の爺さんが、観客のざわつきを抑えるように、大きな声を出す。

「あ、ああ……」

 クワトゥルはおそるおそる鍵をアズーにさそうとする。

「……い!いやだ!それは!それはEランクの鍵じゃないのか!?そんなものをさしたら!私は!!」

「……アズー……」

 青い顔をするアズーと、どうすればいいか分からないという顔のクワトゥル。自分を慕っていた者からの拒絶に、少しは何かを感じるようだった。

「無礼者!キーブレス王家からのギフト授与を拒むのであれば!即刻処刑である!衛兵!前へ!」

 爺さんの指示に従い、ガシャガシャと鎧を鳴らして兵士たちが祭壇に上がろうとしてくる。

「待ってくれ!すまん!アズー!」

「いやだ!いやだ!」

 ガチン。鈍い音が鳴った。首を振り続けるアズーに石の鍵が差し込まれた音だった。
 怒り顔の爺さんが水晶を持って、2人に近づいていく。

「アズー・ヴァンドゥーオ殿のスキルは……Eランクの水魔法!貴殿の振る舞いは、議会にて報告させていただく!処分を待たれよ!」

「そんな……そんな……ああ、あぁぁぁ!!」

「アズー……」

 祭壇の上で泣き始めるアズー。Eランクのスキルを授かってしまった。王族ではないアズーには、これから過酷な人生が待っているだろう。そして、それを招いたのは、今まで使えてきた主人だった。

「アズー……私は……」

 キッ!アズーに睨まれて身体を震わせるクワトゥル。

「アズー殿!これ以上の王族への無礼は看過しかねるぞ!首をはねられたいか!」

「……」

 再度、司会に咎められ、悔しそうにしながらも、祭壇を降りていったアズー。あいつはもとの席について、小さな声で泣きはじめた。

「おい……まさか、クワトゥル様がこんな失敗をなさるとは……」
「ですな。Aランクのギフトキーであるならば、Eランクなど……」
「こんなこと、歴史上なかったはずです……」
「では、クワトゥル様はAランクではないのでは?」
「貴殿、滅多なことを言うでない。首を飛ばされるぞ」

 観客たちがさまざまな憶測をしている中、クワトゥルは「なぜ、なんでだ……私はAランクのはずなのに……」と呟きながら、とぼとぼと階段をのぼり、糸が切れた操り人形のように座席に沈んだ。

 はじめてのギフト授与式で失敗した。この事実は、アズーだけでなく、クワトゥル自身にも大きな汚点として、これからの人生で足を引っ張ることになるだろう。

 その光景を見て、僕の少しばかり残っていた良心がずきりと痛むような気がした。自分の胸を押さえて、前を向く。
 これは僕が招いた光景だ。僕が背負って、生きていく。僕とピャーねぇが生き残るために。

 そして、ついに、僕の姉さんが呼ばれる番となった。
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