鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸

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2章 呪われた炎

第48話 快楽殺人者

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「よし。カリン頼むよ」

「はい。かしこまりました」

 僕は、王城勤めの貴族から奪ってきたBランクのスリープが入った鍵を持ってカリンの前に立つ。これから、スラム街で金の才能探しをするための前準備だ。僕はカリンの背中に鍵を差し込みながら、

「我の力の一部を貸し与えよう。《ギフトキー》」と唱えて、カリンの背中で鍵を回した。
 カチリ。鍵が開く音が聞こえてくる。

「スリープの魔法、セッテも使ってみたかったなー」
「ディセたちは自分のスキルがあるから2個目は無理でしょ」

「あ、そっかー。スキルは一個しか使えないんだっけ?」

「そうだね。昔実験した限りだとそうみたい」

 僕が把握してる限りでは、奪ったスキルの鍵を僕に差し込むことはできないことと、すでにスキルを持っている人物に差し込むことはできないことはわかっていた。
 スキル発現者にスキルの鍵を差し込むには、今持っているスキルを奪ってから別のスキルを差し込むという手順が必要なのだ。だから、今のメンバーだと、奪ったスキルをそのままの状態で差し込めるのはカリンしかいなかった。

「よし、カリンいけそう?」

「はい、問題なく使えます。行きましょう。今晩にはこのスキルも返さないとですし、手早く」

「うん、そうだね。そうしよう」

 スリープのスキルを奪ってきたとはいえ、ずっと奪いっぱなしだと騒ぎになる可能性が高い。サクッと目的を果たして、今日中には元の持ち主にスキルを返そうという計画だった。
 準備が整った僕たちは、4人でスラム街に足を踏み入れた。



「全然見つからない……」

 時刻は夕方、もう空が赤くなっていた。
 カリンのスリープを使って、スラム街の住民を眠らせてから僕が才能を抜き取る。出てきた鍵が金色でなければ元に戻す。そんなことを数時間、繰り返してきた。夕方になるまで、50人近くの才能を抜き取ってはみたが、1番良いものでも銅の鍵だった。ほとんどの住民から出てきた鍵は、鉄や石の鍵だったのだ。金の鍵を探すという当初の目標は、全然達成できる気配がない。

「やはり、貴族は才能豊かで、平民は才能に乏しいのでしょうか?」

「うーん……」

 そうだとは思いたくない。でも、数100年続くキーブレス王国で、才能豊かな者たちが選抜されてきた結果がこうして現れているのかもしれない。
 つまり、才能がないものが今は平民という身分におさまり、おちぶれてスラム街に住んでいる、ということになる。

「認めたくはないけど、この結果を見ると……そういうことなのかも……」

「ジュナ様、どうしますか?夜になると、スラム街をうろつくのか危険かと」

「そうだね。今日は帰ろうか」

「わかった!じゃあじゃあ!こっち!」

 ピッと、セッテが帰り道を指差してくれたので、僕たちはそっちに向かって歩き出す。しかし、少し歩いたとこで、前の方から騒ぎが聞こえていた。

「やめてくれ!」
「キャー!!」
「なんでこんなことするんだ!」

「みんな、隠れて!」

 悲鳴を聞き、僕はあわててみんなに声をかけた。建物の影に隠れるよう指示を出す。
 僕は、みんなが隠れたことを確認してから、路地の向こうを覗き見る。何人もの人たちが必死な顔で走って行くのが見えた。恐ろしいものから逃げている、そんな姿に見えた。
 そんな中、1人の男が足を引きずって路地に現れる。ボロボロの服を着たスラム街に住んでいるだろう男だ。左足から血を流し、恐怖に染まった顔でこちらにやってくる。

「はぁ!はぁ!たす!たすけ!」

「はははは!」

 笑い声が聞こえてきた。聞いたことのある声、そして姿だった。

「鬼ごっこはもうおしまいでござるか?」

 マーダス・ボルケルノだ。血みどろの刀を持って、袴は返り血で染まっていた。ニヤつきながら、足を引きずる男に近づく。

「ひっ!?やめてくれ!なんで俺たちなんかを!?あんたには!なにもしてないだろう!」

「はぁ?ただのストレス発散でござるサンドバッグが口を聞くなよ」

「なっ!?」

 ズバッ。

「あぁぁぁ!!」

 ズバッ、ズバッ。

「あぁ!……あ!……あ、う……」

「5匹目……ふふ……もう2、3匹斬りたいでござる……」

 マーダスは、暗い顔をし、口元をニヤけさせながら、ゆらゆらと路地の向こうに消えていった。

「……っ!はぁー!……みんな、大丈夫?」

 あまりの光景に息を止めていた僕は、あいつの気配が消えてから息をすることを思い出した。全身から変な汗が流れる。
 ディセとセッテは、僕と同じように青い顔をしていて、カリンだけが冷静だった。

「早くこの場を去りましょう。迂回した方がいいかもしれません。ディセ、案内はできますか?」

「は、はい!こちらへ!」

 僕は、震えているセッテの手を引いて、ディセの案内に従って、急いでスラム街の外を目指した。
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