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十話:妖怪君は、妖怪の自覚があるんだ
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ハシゴを外された妖怪君は、それは悲惨な末路を迎えるだろう。
ただし、表でそれを壊される事はない。
後に追跡される事もない。
裏で静かに、しかし根深く囁かれる。
「あいつってイヤなヤツだよな」
妖怪は目ざとい。
その空気が自分に向けられるものだと察したら、
あるいは、もう人を食べる事が出来ないと察したからかどちらかは知らないし興味もない。
妖怪は次の獲物を探し漂う。
一箇所に留まれない。
仲の良い親友もいない。
心を開ける相手もいない。
居たとしても、それは正体がバレる束の間。
自分が生贄になるのを絶対に嫌う妖怪は、
椅子取りゲームで勝てる場を目指し次の標的を探し彷徨う。
ある日のことだ。
賢いバーテンダーが居た。人気者の綺麗な女の人だった。
妖怪は、次の捕食者の客を選定した。
選定した程度だ。
まだ何も動いていない。
それでもボクはすぐに理解した。
(ああ、今日はこいつに決めたか)
その時、バーテンダーは間に入った。
客のオーダーを無視してまで、話の場を露骨に仕切り始めた。
妖怪が捕食を行えば、それが新規の中なら構わないだろう。
ただ、それが常連となればバーテンダーは溜まったもんじゃない。
妖怪は露骨に不機嫌そうな態度を見せた。
その態度を隠そうと必死だった。
邪魔者への憎悪の炎を、確かに感じた。
「今楽しい?」
その一言に、妖怪は激怒した。
憎悪でもあり、恐怖だろう。
自分が妖怪だと悟られれば吊し上げられる。
どうやら妖怪はもうその店には足を運ばなかったらしい。
ただし、表でそれを壊される事はない。
後に追跡される事もない。
裏で静かに、しかし根深く囁かれる。
「あいつってイヤなヤツだよな」
妖怪は目ざとい。
その空気が自分に向けられるものだと察したら、
あるいは、もう人を食べる事が出来ないと察したからかどちらかは知らないし興味もない。
妖怪は次の獲物を探し漂う。
一箇所に留まれない。
仲の良い親友もいない。
心を開ける相手もいない。
居たとしても、それは正体がバレる束の間。
自分が生贄になるのを絶対に嫌う妖怪は、
椅子取りゲームで勝てる場を目指し次の標的を探し彷徨う。
ある日のことだ。
賢いバーテンダーが居た。人気者の綺麗な女の人だった。
妖怪は、次の捕食者の客を選定した。
選定した程度だ。
まだ何も動いていない。
それでもボクはすぐに理解した。
(ああ、今日はこいつに決めたか)
その時、バーテンダーは間に入った。
客のオーダーを無視してまで、話の場を露骨に仕切り始めた。
妖怪が捕食を行えば、それが新規の中なら構わないだろう。
ただ、それが常連となればバーテンダーは溜まったもんじゃない。
妖怪は露骨に不機嫌そうな態度を見せた。
その態度を隠そうと必死だった。
邪魔者への憎悪の炎を、確かに感じた。
「今楽しい?」
その一言に、妖怪は激怒した。
憎悪でもあり、恐怖だろう。
自分が妖怪だと悟られれば吊し上げられる。
どうやら妖怪はもうその店には足を運ばなかったらしい。
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