93 / 253
三章:ナッツ(nuts)
第四話『またオレ何かやっちゃいました?』2/4
しおりを挟む
そこはいつも見ている焼き肉店とは全く違うオシャレな店。
店はもちろん、そこに居る客の質も木葉のパーティーで見たようなどいつもこいつも上辺だけは気品があるように見える。
対して、自動販売機の下で格闘していたボロボロの服を身に纏う竹原&鏡ペア。
レイナ「うわー、いけないんだー。両手に華。いやーん」
望代「おお……! お好み焼きだし」
案内された場所は座席は片方だけで正明の左に望代、右にレイナ。
お好み焼きと言った通り、向かいには椅子の代わりにテーブルが鉄板になっている。
レイナ「ねー。現役アイドルと食事できるってどんな気分? ねえねえ?」
正明「メニュー見ようぜ」
望代「カルビ!」
レイナ「あはは、すごいね! 現役アイドルのアイデンティティの欠片もないね!」
パッとメニューを開くと――
――言葉を失った。
正明「……」
望代「肉! カルビ! カルビ原肉明早く!」
待て。
待て待て待て。
カルビって、アレだろ……焼き肉屋で298円のヤツだろ。
『松阪牛カルビ150g……参萬圓』
『黒毛和牛A4カルビ150g……壱萬圓』
望代「くふふ。150とか舐めすぎだし。1ポンド!!! モチは1ポンド以外食べないし!」
正明「………………」
流石のオレでも、気が引ける。
レイナ「レイナ何食べようかなー」
正明「なあ、鏡さん。この漢字読めるかな?」
『参萬圓』
さあ、これは一体何を意味するのか。
つーかA4って何……紙? 普通紙? 光沢紙? なんでいきなり紙の話?
望代「は? 知るかよ。『園』だから産地かなんかだし。漢字だから中国だろ」
あー、なるほどね。産地か。そうだよな。どっかの地名に決まってるよな。
まあそうだな。たかが150g三渋沢する可能性と『参萬圓』がどこかの地名である可能性。どちらが明白かは考えるまでもない。
正明「……」
正明は考えるのをやめた。
すると鉄板の向こう側にシェフの格好をした品のある男性が現れる。
シェフ「本日担当させて頂きます山本です」
正明「……?」
望代「はあ……」
正明(誰? 友達?)
望代(モチが知るかよ。進藤レイナの知り合いだろ)
シェフ「本日のオススメは宮崎支部から取り寄せた"きくまつ"です」
そう言うとベストを付けた別のスタッフがサービスワゴンからこれでもかという程の肉の塊運んできた。
正明「うお……!」
望代「やだ……逞しい……」
シェフ「子牛登記でございます」
出された一枚の紙は住民票みたいなよくわからん記載があり、左下に……黒の掌紋? その上にハンコが押されている。
正明「……?」
望代「なんだこれ」
よくみると確かに、書いてある。
左上に黒毛和牛。そしてその父と母。それぞれの祖父の名。よくわからない検定の内容。
そして名前"きくまつ"と。
望代「……」
正明「……」
あの鏡望代でさえ何か察したらしく、口を閉ざした。
そう。つまり――サービスワゴンに乗っているあれが、きくまつちゃん(雌)なんだ。
レイナ「オススメでお願いします」
シェフ「かしこまりました」
望代「あの……えと…あう……」
正明「……」
レイナ「あ、全然大丈夫ですよ! 足りなかったらバンバン注文しちゃってください!」
望代「ん……んんぅ」
正明(んんぅ……)
――つっても、流石に奢ってもらうにも限度があんだろ。
このシェフがオーダー取り終わってどいたらレイナと喋ろうと思ったが、
山本「初めさせて頂きます」
え……。
あろうことかこいつは居座ったまま鉄板の上に油を引き始めた。
カシャカシャと料理の準備を進める。
正明「……」
望代「……」
敵地のアパート。裏カジノ。ハマルン。雀荘。警察署。暴力団事務所。
人に豪語できるほどの人生経験はないが、それなりの場所に入っても気後れしたことない竹原正明が、初めて萎縮した。
店はもちろん、そこに居る客の質も木葉のパーティーで見たようなどいつもこいつも上辺だけは気品があるように見える。
対して、自動販売機の下で格闘していたボロボロの服を身に纏う竹原&鏡ペア。
レイナ「うわー、いけないんだー。両手に華。いやーん」
望代「おお……! お好み焼きだし」
案内された場所は座席は片方だけで正明の左に望代、右にレイナ。
お好み焼きと言った通り、向かいには椅子の代わりにテーブルが鉄板になっている。
レイナ「ねー。現役アイドルと食事できるってどんな気分? ねえねえ?」
正明「メニュー見ようぜ」
望代「カルビ!」
レイナ「あはは、すごいね! 現役アイドルのアイデンティティの欠片もないね!」
パッとメニューを開くと――
――言葉を失った。
正明「……」
望代「肉! カルビ! カルビ原肉明早く!」
待て。
待て待て待て。
カルビって、アレだろ……焼き肉屋で298円のヤツだろ。
『松阪牛カルビ150g……参萬圓』
『黒毛和牛A4カルビ150g……壱萬圓』
望代「くふふ。150とか舐めすぎだし。1ポンド!!! モチは1ポンド以外食べないし!」
正明「………………」
流石のオレでも、気が引ける。
レイナ「レイナ何食べようかなー」
正明「なあ、鏡さん。この漢字読めるかな?」
『参萬圓』
さあ、これは一体何を意味するのか。
つーかA4って何……紙? 普通紙? 光沢紙? なんでいきなり紙の話?
望代「は? 知るかよ。『園』だから産地かなんかだし。漢字だから中国だろ」
あー、なるほどね。産地か。そうだよな。どっかの地名に決まってるよな。
まあそうだな。たかが150g三渋沢する可能性と『参萬圓』がどこかの地名である可能性。どちらが明白かは考えるまでもない。
正明「……」
正明は考えるのをやめた。
すると鉄板の向こう側にシェフの格好をした品のある男性が現れる。
シェフ「本日担当させて頂きます山本です」
正明「……?」
望代「はあ……」
正明(誰? 友達?)
望代(モチが知るかよ。進藤レイナの知り合いだろ)
シェフ「本日のオススメは宮崎支部から取り寄せた"きくまつ"です」
そう言うとベストを付けた別のスタッフがサービスワゴンからこれでもかという程の肉の塊運んできた。
正明「うお……!」
望代「やだ……逞しい……」
シェフ「子牛登記でございます」
出された一枚の紙は住民票みたいなよくわからん記載があり、左下に……黒の掌紋? その上にハンコが押されている。
正明「……?」
望代「なんだこれ」
よくみると確かに、書いてある。
左上に黒毛和牛。そしてその父と母。それぞれの祖父の名。よくわからない検定の内容。
そして名前"きくまつ"と。
望代「……」
正明「……」
あの鏡望代でさえ何か察したらしく、口を閉ざした。
そう。つまり――サービスワゴンに乗っているあれが、きくまつちゃん(雌)なんだ。
レイナ「オススメでお願いします」
シェフ「かしこまりました」
望代「あの……えと…あう……」
正明「……」
レイナ「あ、全然大丈夫ですよ! 足りなかったらバンバン注文しちゃってください!」
望代「ん……んんぅ」
正明(んんぅ……)
――つっても、流石に奢ってもらうにも限度があんだろ。
このシェフがオーダー取り終わってどいたらレイナと喋ろうと思ったが、
山本「初めさせて頂きます」
え……。
あろうことかこいつは居座ったまま鉄板の上に油を引き始めた。
カシャカシャと料理の準備を進める。
正明「……」
望代「……」
敵地のアパート。裏カジノ。ハマルン。雀荘。警察署。暴力団事務所。
人に豪語できるほどの人生経験はないが、それなりの場所に入っても気後れしたことない竹原正明が、初めて萎縮した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる