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三章:ナッツ(nuts)
第十二話『ゴミ袋を乗せた豪華客船』6/6
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◆【船上】
勝負の前に、ワイングラスを片手に談笑している人物達が一服嗜んでいる。
正明「なあ。一本くれねーか」
100円玉を差し出すが、それはいらないとジェスチャーされるがお目当てのタバコをくれる。
男性「タバコでいいのかい?」
正明「おう。ありがとな」
男性は再び談笑に戻る。その相手はせっせと葉っぱを詰めている……手巻きたばこ?
正明「……ん?」
喫煙者の正明でも感じる、異質な臭い。
タバコ吸ってる最中に鼻につく香りなんて、海外産か。
例えば日本でも流通している30mgを超えるインドネシアのタバコはパチパチと火花が散り、お香臭さを周囲に撒き散らす。
それとは違う……甘いフルーツを腐らせたような、臭い。
――マリファナか。
ローリングペーパーで葉っぱを詰めて……ほー。
そういやロクさんの部下がそれ吸ってるの見たことあるな。
水上カジノに薬物。
木葉って悪い事して金儲けしてんだな。
ジャン連れてこなくてよかったわとか思ったけど、あいつじゃわかんねーか。
男性「気になるならやってみるかい? 違法じゃないよ」
正明「いや、わかるけどそれ違法なヤツだろ」
男性「ははは、なんのために海の上までやってきたんだい?」
あー、あー……なるほどな。
海上カジノもお薬も合法か。
悪い事考えるヤツって頭いいっつーか、小賢しいよな。
◆【船上カジノ】
実力のあるゲストプレイヤー三名がまず、席を離れた。
次に資金を失った観光客。
残ったのは千尋と、入れ替わりで入ってくるカモ。
自分よりも強いプレイヤーとの同席はご法度。
それはポーカーにおいては常識で、いくら素人といえテキサス・ホールデムを知る人間なら頭に入っている。
しかしこの日座るのは原初の魔女、ダリア・グリフィス。
損得抜きで、ある種の記念になりつつあるテーブルでもある。
ダリア「席を一つ開けておくれ。もしかしたら友人が座るかもしれないからねえ」
その要望は聞き入れはしないものの、ゲームは不思議なものですぐに誰かしらオールイン対決になり、結果として一つ空席が生まれている状況が続いた。
千尋(……相変わらずです)
強い。
それはいつも同じ店で打っている千尋が一番知っている。
残念な事にそれは店だけじゃなく、こういった場所でも変わらなく強いという事実だ。
コッコッコッ。
靴の踵を規則的に鳴らして歩く音に数名振り返ると、
キニー「ダリア様。お久し振りです」
突如湧き上がる拍手。
ダリア「元気そうだねえ。キニー・ブラウン」
世界上位者。クラス保有者同士の掛け合いが生で見られるという奇跡。
それも日本語でとなると、数少ない組み合わせだ。
ダリア「立ち話も疲れるだろう。ちょうど席が空いているねえ。座るかい?」
キニー「これはこれは御冗談を。ダリア様相手に私如き(ごとき)が恐れ多い」
ダリア「私が現役の頃に頂点だったあんた言うのは皮肉だねえ」
感情が読めないキニー・ブラウン。ポーカーフェイスと称するより、まるで人形。
その人形がペラペラとお喋りなのがタチが悪い。
キニー「そうそう。実は偶然VIPのお部屋が一つ余っていまして、もしよろしければお使いください」
ダリア「ふふ。あんたのそういう茶番は昔から大嫌いだねえ。私が受け取れないのを知っていて出すのはやめてほしいねえ」
キニー「いえいえ。組織は関係ありません。こちらはあくまで私個人がダリア様個人への好意ですので。お互いの身分や背景などは何もございません」
ダリア「――レイズ1,200,000」
ただでさえ聞き耳を立てている周囲の目線を完全に集める。
ダリア「私はね、NBA選手がバスケットをしなかったら価値はないと思うんだよねえ」
ダリア「会社経営。ポーカープレイヤー。政治家。あんたの価値どこにあるんだい?」
キニー「これはこれは。その一つの事に真っ直ぐ取り組む熱き想い。胸に刺さります」
ダリア(ウソつけ)
表情一つ変えず淡々と言い放つキニーに溜め息を漏らした。
キニー「名残惜しいですが、本日は挨拶だけとさせて頂きます。この後、予定がありますのでこれで失礼させて頂きます」
キニー「次回、WSOPの決勝でお待ちしております」
ダリア「……」
ダリア(やはり出るのか――)
千尋「……ッ!」
元とはいえ、世界の頂点が参加するWSOP。
国内外のポーカー協会の二人が参加するんだ。もしも優勝すれば賞金に加え、実績がなくともクラス保有者まで駆け上がれる可能性も……。
あくまで推測だが、優勝すれば一気にクラス保有者。あわよくばQ。(世界52名以上)
千尋「あの!」
千尋「WSOPのチケットが余っているなら欲しいです!」
その叫びに、キニーブラウンの歩みが止まった。
キニー「はい。我々は全てのプレイヤーの参加を心からお待ちしております」
キニー「WS社では現在152万円。即決500万円で販売をしております」
千尋(500……そんなの無理です。でも、152万なら……)
千尋「取り置きとか……できるですか?」
ダリア「千尋」
座れと椅子を指さす。
ダリア「こんなハイエナに頭を下げるんじゃないよ。みっともないねえ」
キニー「そうでしょうか。ダリア様がご所望であれば金銭を受け取らず私個人から……」
ダリア「終わりだよ。この話は。あんたもしつこいからねえ」
ダリア「千尋。紛いなりにもあんたもポーカープレイヤーを名乗るなら奪い取るんだね」
千尋「……ッ!」
キニー「これはこれは――手厳しい」
勝負の前に、ワイングラスを片手に談笑している人物達が一服嗜んでいる。
正明「なあ。一本くれねーか」
100円玉を差し出すが、それはいらないとジェスチャーされるがお目当てのタバコをくれる。
男性「タバコでいいのかい?」
正明「おう。ありがとな」
男性は再び談笑に戻る。その相手はせっせと葉っぱを詰めている……手巻きたばこ?
正明「……ん?」
喫煙者の正明でも感じる、異質な臭い。
タバコ吸ってる最中に鼻につく香りなんて、海外産か。
例えば日本でも流通している30mgを超えるインドネシアのタバコはパチパチと火花が散り、お香臭さを周囲に撒き散らす。
それとは違う……甘いフルーツを腐らせたような、臭い。
――マリファナか。
ローリングペーパーで葉っぱを詰めて……ほー。
そういやロクさんの部下がそれ吸ってるの見たことあるな。
水上カジノに薬物。
木葉って悪い事して金儲けしてんだな。
ジャン連れてこなくてよかったわとか思ったけど、あいつじゃわかんねーか。
男性「気になるならやってみるかい? 違法じゃないよ」
正明「いや、わかるけどそれ違法なヤツだろ」
男性「ははは、なんのために海の上までやってきたんだい?」
あー、あー……なるほどな。
海上カジノもお薬も合法か。
悪い事考えるヤツって頭いいっつーか、小賢しいよな。
◆【船上カジノ】
実力のあるゲストプレイヤー三名がまず、席を離れた。
次に資金を失った観光客。
残ったのは千尋と、入れ替わりで入ってくるカモ。
自分よりも強いプレイヤーとの同席はご法度。
それはポーカーにおいては常識で、いくら素人といえテキサス・ホールデムを知る人間なら頭に入っている。
しかしこの日座るのは原初の魔女、ダリア・グリフィス。
損得抜きで、ある種の記念になりつつあるテーブルでもある。
ダリア「席を一つ開けておくれ。もしかしたら友人が座るかもしれないからねえ」
その要望は聞き入れはしないものの、ゲームは不思議なものですぐに誰かしらオールイン対決になり、結果として一つ空席が生まれている状況が続いた。
千尋(……相変わらずです)
強い。
それはいつも同じ店で打っている千尋が一番知っている。
残念な事にそれは店だけじゃなく、こういった場所でも変わらなく強いという事実だ。
コッコッコッ。
靴の踵を規則的に鳴らして歩く音に数名振り返ると、
キニー「ダリア様。お久し振りです」
突如湧き上がる拍手。
ダリア「元気そうだねえ。キニー・ブラウン」
世界上位者。クラス保有者同士の掛け合いが生で見られるという奇跡。
それも日本語でとなると、数少ない組み合わせだ。
ダリア「立ち話も疲れるだろう。ちょうど席が空いているねえ。座るかい?」
キニー「これはこれは御冗談を。ダリア様相手に私如き(ごとき)が恐れ多い」
ダリア「私が現役の頃に頂点だったあんた言うのは皮肉だねえ」
感情が読めないキニー・ブラウン。ポーカーフェイスと称するより、まるで人形。
その人形がペラペラとお喋りなのがタチが悪い。
キニー「そうそう。実は偶然VIPのお部屋が一つ余っていまして、もしよろしければお使いください」
ダリア「ふふ。あんたのそういう茶番は昔から大嫌いだねえ。私が受け取れないのを知っていて出すのはやめてほしいねえ」
キニー「いえいえ。組織は関係ありません。こちらはあくまで私個人がダリア様個人への好意ですので。お互いの身分や背景などは何もございません」
ダリア「――レイズ1,200,000」
ただでさえ聞き耳を立てている周囲の目線を完全に集める。
ダリア「私はね、NBA選手がバスケットをしなかったら価値はないと思うんだよねえ」
ダリア「会社経営。ポーカープレイヤー。政治家。あんたの価値どこにあるんだい?」
キニー「これはこれは。その一つの事に真っ直ぐ取り組む熱き想い。胸に刺さります」
ダリア(ウソつけ)
表情一つ変えず淡々と言い放つキニーに溜め息を漏らした。
キニー「名残惜しいですが、本日は挨拶だけとさせて頂きます。この後、予定がありますのでこれで失礼させて頂きます」
キニー「次回、WSOPの決勝でお待ちしております」
ダリア「……」
ダリア(やはり出るのか――)
千尋「……ッ!」
元とはいえ、世界の頂点が参加するWSOP。
国内外のポーカー協会の二人が参加するんだ。もしも優勝すれば賞金に加え、実績がなくともクラス保有者まで駆け上がれる可能性も……。
あくまで推測だが、優勝すれば一気にクラス保有者。あわよくばQ。(世界52名以上)
千尋「あの!」
千尋「WSOPのチケットが余っているなら欲しいです!」
その叫びに、キニーブラウンの歩みが止まった。
キニー「はい。我々は全てのプレイヤーの参加を心からお待ちしております」
キニー「WS社では現在152万円。即決500万円で販売をしております」
千尋(500……そんなの無理です。でも、152万なら……)
千尋「取り置きとか……できるですか?」
ダリア「千尋」
座れと椅子を指さす。
ダリア「こんなハイエナに頭を下げるんじゃないよ。みっともないねえ」
キニー「そうでしょうか。ダリア様がご所望であれば金銭を受け取らず私個人から……」
ダリア「終わりだよ。この話は。あんたもしつこいからねえ」
ダリア「千尋。紛いなりにもあんたもポーカープレイヤーを名乗るなら奪い取るんだね」
千尋「……ッ!」
キニー「これはこれは――手厳しい」
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