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第一章 転生そして成長
第91話 覚醒?
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エナがミリアと対面しているころ、クロロは東雲と真琴に弄ばれ続けていた。
「鬼さんこちら~。」
「手の鳴る方へ~♪くくくくく……。」
「このぉっ!!」
クロロの目の前で踊るように逃走している東雲二人のうち一人をクロロは、何とか飛びかかって両手で捕まえた。
「おぉ、捕まってしまったな。だが残念……。」
両手で手にした東雲の体は、またもや大きな一枚の葉っぱに変わってしまう。
「これも偽物っ……ならそっちが本物だぁっ!!」
弄ばれるクロロを見てくつくつと笑っていたもう片方の東雲もクロロはあっさりと捕まえる。しかしながら、本物と思われたもう一体の東雲も大きな葉っぱに変り果て、クロロの手の中から消えた。
そしてクロロの目の前から東雲の姿がいなくなると、クロロの頭上に声が響く。
「くくくくくく♪何を戯れておるのだ?本物と偽物の区別もつかんか?」
さぞかし楽しそうな東雲の声が響いたと同時に、クロロの中で何かがぶつりと音を立てて切れる。
そして彼女は自分の心臓が大きく脈打ち、全身の毛がぞわぞわと逆立つのを感じた。その瞬間……彼女の視界が灰色一色に染まり、辺りにいる魔物や生き物が赤くハイライトされた。
それは彼女自身初めて体感する現象だったが、なぜか何の違和感もなく、体に馴染んでいるような感じがする。
灰色の視界の中で様々な生き物が赤くハイライトされている中、クロロははるか遠くの方を見つめてぽつりとつぶやいた。
「見つけた……。」
そう呟くと同時にクロロは、ある場所へと向かって一直線に走り始めた。
彼女の視線の先には、遠くの木の上で妖しく笑う東雲の姿があった。
魔力を使っていないのに、いつもよりも足が……体が早く動く。
しかし、東雲へとぐんぐん距離を詰めている最中……クロロの体が違和感を捉えた。
(…………?何か……違う?)
視線の先で笑う東雲にクロロは何か形容しがたい違和感を感じた。
そしていざ、その東雲の目の前に立つとその違和感が確かであると確信する。
「おや?そんなところで立ち止まってどうした?妾を捕まえぬのか?」
「…………あなたは……誰なの?」
クロロがそう問いかけると、東雲は意外そうな表情を浮かべた。が、次の瞬間にはニヤリと口角を吊り上げた。
そして独特の訛りがある言葉を話し始めた。
「あれま、もうバレてもぅたねぇ。どないしよか。」
東雲(?)はピョンと木の上から飛び降りると、クロロの前に歩み寄る。すると、ポン!!という音と共に白煙が上がり真琴が姿を現した。
「あては大狸の真琴ってもんどす。」
クロロに軽く自己紹介をすると、真琴は腰にぶら下げていた大きな瓢箪を手に取り、中に入っている液体をゴクリと一口飲んだ。
「ぷはっ……えぇ味や。」
(…………!!魔力が一気に大きくなった!?)
真琴が何かを口にした瞬間、真琴の内にある魔力量が急激に増えたことをクロロの目は捉えた。
どうやら彼女の目は魔力の量や流れなども見ることができるようになったようだ。
「さ~て、東雲はんはこの先におるけど……その前に一つ覚醒したあんさんの力……見せとぉくれやす?」
顔を少し紅潮させ、ニヤリと笑いながら真琴はクロロへと向かって言った。
そんな彼女に向かって、クロロは腰から短刀を二本抜いて構えた。
「…………今、手加減できそうにないですけど……それでもやります?」
「手加減…………どすかぁ。」
ポツリと真琴はそう呟く。そしてクロロが一瞬瞬きをしたその瞬間……。
「できひんこと言うもんやないぇ?」
「ッ!?」
クロロが一瞬瞬きをした瞬間に真琴は彼女の後ろに回り込み、耳元で冷たく囁いた。
後ろに回り込まれたことに反応して、その場から飛び退いたクロロだったが、飛び退いている途中でポヨン……と背中に柔らかいものが当たり動きを止められた。
そして後ろから声をかけられる。
「どんくさいねぇ~。」
「なっ…………!!」
クロロが後ろを振り返るとそこには、真琴の姿があった。
「あてのが、手加減した方が良さそうやねぇ~?ん?」
「くっ……。」
ニヤニヤと笑いながら真琴はクロロに向かって言った。その言葉に思わずクロロは悔しそうに歯軋りする。
「ま、あてを殺すつもりでおいないや?そうせなんだら……あてがあんさんを殺してまうやもしれんよ?」
そう笑いながら言った真琴の体からおぞましい程、濃い殺気が放たれる。
真琴の殺気をもろに浴びてしまったクロロは、一瞬恐怖に体の自由を奪われてしまう。
しかし、恐怖をはねのけるように短刀を握る手に力を込めると、彼女は真琴へと向かって構えるのだった。
「鬼さんこちら~。」
「手の鳴る方へ~♪くくくくく……。」
「このぉっ!!」
クロロの目の前で踊るように逃走している東雲二人のうち一人をクロロは、何とか飛びかかって両手で捕まえた。
「おぉ、捕まってしまったな。だが残念……。」
両手で手にした東雲の体は、またもや大きな一枚の葉っぱに変わってしまう。
「これも偽物っ……ならそっちが本物だぁっ!!」
弄ばれるクロロを見てくつくつと笑っていたもう片方の東雲もクロロはあっさりと捕まえる。しかしながら、本物と思われたもう一体の東雲も大きな葉っぱに変り果て、クロロの手の中から消えた。
そしてクロロの目の前から東雲の姿がいなくなると、クロロの頭上に声が響く。
「くくくくくく♪何を戯れておるのだ?本物と偽物の区別もつかんか?」
さぞかし楽しそうな東雲の声が響いたと同時に、クロロの中で何かがぶつりと音を立てて切れる。
そして彼女は自分の心臓が大きく脈打ち、全身の毛がぞわぞわと逆立つのを感じた。その瞬間……彼女の視界が灰色一色に染まり、辺りにいる魔物や生き物が赤くハイライトされた。
それは彼女自身初めて体感する現象だったが、なぜか何の違和感もなく、体に馴染んでいるような感じがする。
灰色の視界の中で様々な生き物が赤くハイライトされている中、クロロははるか遠くの方を見つめてぽつりとつぶやいた。
「見つけた……。」
そう呟くと同時にクロロは、ある場所へと向かって一直線に走り始めた。
彼女の視線の先には、遠くの木の上で妖しく笑う東雲の姿があった。
魔力を使っていないのに、いつもよりも足が……体が早く動く。
しかし、東雲へとぐんぐん距離を詰めている最中……クロロの体が違和感を捉えた。
(…………?何か……違う?)
視線の先で笑う東雲にクロロは何か形容しがたい違和感を感じた。
そしていざ、その東雲の目の前に立つとその違和感が確かであると確信する。
「おや?そんなところで立ち止まってどうした?妾を捕まえぬのか?」
「…………あなたは……誰なの?」
クロロがそう問いかけると、東雲は意外そうな表情を浮かべた。が、次の瞬間にはニヤリと口角を吊り上げた。
そして独特の訛りがある言葉を話し始めた。
「あれま、もうバレてもぅたねぇ。どないしよか。」
東雲(?)はピョンと木の上から飛び降りると、クロロの前に歩み寄る。すると、ポン!!という音と共に白煙が上がり真琴が姿を現した。
「あては大狸の真琴ってもんどす。」
クロロに軽く自己紹介をすると、真琴は腰にぶら下げていた大きな瓢箪を手に取り、中に入っている液体をゴクリと一口飲んだ。
「ぷはっ……えぇ味や。」
(…………!!魔力が一気に大きくなった!?)
真琴が何かを口にした瞬間、真琴の内にある魔力量が急激に増えたことをクロロの目は捉えた。
どうやら彼女の目は魔力の量や流れなども見ることができるようになったようだ。
「さ~て、東雲はんはこの先におるけど……その前に一つ覚醒したあんさんの力……見せとぉくれやす?」
顔を少し紅潮させ、ニヤリと笑いながら真琴はクロロへと向かって言った。
そんな彼女に向かって、クロロは腰から短刀を二本抜いて構えた。
「…………今、手加減できそうにないですけど……それでもやります?」
「手加減…………どすかぁ。」
ポツリと真琴はそう呟く。そしてクロロが一瞬瞬きをしたその瞬間……。
「できひんこと言うもんやないぇ?」
「ッ!?」
クロロが一瞬瞬きをした瞬間に真琴は彼女の後ろに回り込み、耳元で冷たく囁いた。
後ろに回り込まれたことに反応して、その場から飛び退いたクロロだったが、飛び退いている途中でポヨン……と背中に柔らかいものが当たり動きを止められた。
そして後ろから声をかけられる。
「どんくさいねぇ~。」
「なっ…………!!」
クロロが後ろを振り返るとそこには、真琴の姿があった。
「あてのが、手加減した方が良さそうやねぇ~?ん?」
「くっ……。」
ニヤニヤと笑いながら真琴はクロロに向かって言った。その言葉に思わずクロロは悔しそうに歯軋りする。
「ま、あてを殺すつもりでおいないや?そうせなんだら……あてがあんさんを殺してまうやもしれんよ?」
そう笑いながら言った真琴の体からおぞましい程、濃い殺気が放たれる。
真琴の殺気をもろに浴びてしまったクロロは、一瞬恐怖に体の自由を奪われてしまう。
しかし、恐怖をはねのけるように短刀を握る手に力を込めると、彼女は真琴へと向かって構えるのだった。
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