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第一章 龍の料理人
第89話
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霊木の真下まで近寄ってみると、私の手を握るノノが木の高いほうを指差しながら言った。
「お師様!!あそこ妖精さんがいます!!」
昨日ノノは、さ行の発音があまり上手くできていなかったが今日はもうバッチリ発音できているようだ。
「ん?どこにいる?私には見えないぞ?」
ノノが指さす方を見てみるが私には何も見えない。私が不思議がっていると、ここまで案内してくれた彼女が答えをくれた。
「ここに集まるのは臆病な精霊達なんです。だから純粋な心を持った者にしか見えません。」
「なるほどそういうことか。」
ノノは子供で、まだ心が純粋だから見える……というわけか。それで、私は心が純粋じゃないから見えないと。てか、大人になって純粋な心を持っている奴なんていないと思うけどな。
彼女の説明に納得していると、またノノが口を開く。
「あっ!!あそこですお師様!!あそこに妖精さんが集まってます。」
次にノノが指差した先には一際こんもりと盛り上がった土があった。
「どうやら、あの子にあそこに生えている霊樹茸を採って欲しいみたいですよ?」
私の耳元で彼女はそう言った。
「なら、望み通りにノノに採らせてあげようか。……ノノ?」
「はいお師様!!」
「その妖精が集まってるところに、キノコが生えてるはずなんだ。それを採ってきてくれないか?」
「わかりました!!ノノに任せてください!!」
そう返事をするとノノはまるで何かに導かれるように、歩みを進め、さっき指差していた場所までたどり着いた。
そんなノノの姿を見守っていると、私の隣に立つ彼女が口を開いた。
「どうやらお連れの女の子はすごく精霊に好かれる体質みたいですね。」
「……そういえばさっきから精霊の意図を汲み取ったようなことを言ってるが、もしかして見えてるのか?」
「もちろん、エルフですから。」
えっへんと大きく胸を張り盛大にドヤ顔を決めながら彼女は言う。
「エルフは皆見えるのか?」
「はい、私達と精霊は魂の素が同じですから……皆見えるんですよ。」
だからエルフも精霊種……って言われるわけか。納得だ。
エルフという人種がなぜ精霊種であるかという理由を知り、納得したように頷いていると、私のもとにノノが大きなキノコを持って帰ってきた。
「お師様!!採ってきました!!」
私のもとへと帰ってきたノノは両手で抱えなければならないほど大きなキノコを私へと差し出してくる。
「偉いぞノノ。」
「えへへ……。」
頑張ってとってきたことを褒めるように私はノノの頭を撫でる。すると、嬉しさに反応して耳や尻尾がピコピコと動く。こういう光景を見るだけで癒される。
そんなノノの姿に癒されながら、頭を撫でていると私達を案内してくれた彼女がこのキノコをまじまじと眺めながら口を開いた。
「これは……なかなか。」
「ん?これがどうかしたのか?」
「こんなに大きな霊樹茸はなかなか私達にも採らせてくれないんですよ。この子はよっぽど精霊達に気に入られたんですね。」
「そうなのか。……あ、そう言えば聞くのを忘れてたんだが……これって持って帰ってもいいのか?」
「構いませんよ。ここでダメ……と言ったら私が怒られそうですしね。」
「ありがとう。」
許可ももらったところで私はそれをインベントリへとしまいこんだ。こいつはアルマスに作る料理に使う。滅多に採れないものなら使う価値ありだからな。
「さて……それでは次はどちらへ向かいますか?」
「……そうだな。次は…………」
そして私は彼女の案内のもと、エルフの森を歩き回りいろんな食材を目にしたり、エルフの農家へと足を運びどんな野菜を育てているのか等々を調べて回った。
エルフの農家の人達は皆良い人ばかりで、収穫を少し手伝わせてもらったらいっぱい野菜をくれた。
「ひとまず今日はこのぐらいでいいかな。ノノも疲れてきたみたいだし……。」
ノノも私に着いてきて収穫を手伝ったりして、流石に少し疲れが見える。今日はこの辺で引き上げよう。
「わかりました。では森の外へ……とご案内しようと思いましたがその必要は無いみたいですね。」
「……?」
彼女がそう言った理由はすぐにわかった。
「ミ~ノ~ル~ッ!!帰るのじゃ~っ!!飯の時間じゃ~っ!!」
遥か上空から聞きなれた声が響き、大きな手で私とノノは抱えあげられた。
「か、カミル!?なんでここに?」
「お主らが帰ってくるのが遅すぎるのじゃ!!城で待っておるヴェルもマームも腹を空かせて待っておるぞ。」
も、もうそんなに時間が経ってたか?まだ陽は高いままだから全っ……然気が付かなかった。
「さぁ帰るのじゃ~っ!!」
「あ、ちょっと……ま…」
今日一日私達を案内してくれた彼女にお礼を告げようと思ったのだが、それよりも速くカミルは私達を抱え空へと飛び上がってしまった。
……仕方ない。このお礼はまた次にこの国に来たときにするとしよう。今回の件は私に非があるし……素直に受け入れるとしよう。
半ば諦め、私はカミルに身を任せ城へと帰るのだった。
「お師様!!あそこ妖精さんがいます!!」
昨日ノノは、さ行の発音があまり上手くできていなかったが今日はもうバッチリ発音できているようだ。
「ん?どこにいる?私には見えないぞ?」
ノノが指さす方を見てみるが私には何も見えない。私が不思議がっていると、ここまで案内してくれた彼女が答えをくれた。
「ここに集まるのは臆病な精霊達なんです。だから純粋な心を持った者にしか見えません。」
「なるほどそういうことか。」
ノノは子供で、まだ心が純粋だから見える……というわけか。それで、私は心が純粋じゃないから見えないと。てか、大人になって純粋な心を持っている奴なんていないと思うけどな。
彼女の説明に納得していると、またノノが口を開く。
「あっ!!あそこですお師様!!あそこに妖精さんが集まってます。」
次にノノが指差した先には一際こんもりと盛り上がった土があった。
「どうやら、あの子にあそこに生えている霊樹茸を採って欲しいみたいですよ?」
私の耳元で彼女はそう言った。
「なら、望み通りにノノに採らせてあげようか。……ノノ?」
「はいお師様!!」
「その妖精が集まってるところに、キノコが生えてるはずなんだ。それを採ってきてくれないか?」
「わかりました!!ノノに任せてください!!」
そう返事をするとノノはまるで何かに導かれるように、歩みを進め、さっき指差していた場所までたどり着いた。
そんなノノの姿を見守っていると、私の隣に立つ彼女が口を開いた。
「どうやらお連れの女の子はすごく精霊に好かれる体質みたいですね。」
「……そういえばさっきから精霊の意図を汲み取ったようなことを言ってるが、もしかして見えてるのか?」
「もちろん、エルフですから。」
えっへんと大きく胸を張り盛大にドヤ顔を決めながら彼女は言う。
「エルフは皆見えるのか?」
「はい、私達と精霊は魂の素が同じですから……皆見えるんですよ。」
だからエルフも精霊種……って言われるわけか。納得だ。
エルフという人種がなぜ精霊種であるかという理由を知り、納得したように頷いていると、私のもとにノノが大きなキノコを持って帰ってきた。
「お師様!!採ってきました!!」
私のもとへと帰ってきたノノは両手で抱えなければならないほど大きなキノコを私へと差し出してくる。
「偉いぞノノ。」
「えへへ……。」
頑張ってとってきたことを褒めるように私はノノの頭を撫でる。すると、嬉しさに反応して耳や尻尾がピコピコと動く。こういう光景を見るだけで癒される。
そんなノノの姿に癒されながら、頭を撫でていると私達を案内してくれた彼女がこのキノコをまじまじと眺めながら口を開いた。
「これは……なかなか。」
「ん?これがどうかしたのか?」
「こんなに大きな霊樹茸はなかなか私達にも採らせてくれないんですよ。この子はよっぽど精霊達に気に入られたんですね。」
「そうなのか。……あ、そう言えば聞くのを忘れてたんだが……これって持って帰ってもいいのか?」
「構いませんよ。ここでダメ……と言ったら私が怒られそうですしね。」
「ありがとう。」
許可ももらったところで私はそれをインベントリへとしまいこんだ。こいつはアルマスに作る料理に使う。滅多に採れないものなら使う価値ありだからな。
「さて……それでは次はどちらへ向かいますか?」
「……そうだな。次は…………」
そして私は彼女の案内のもと、エルフの森を歩き回りいろんな食材を目にしたり、エルフの農家へと足を運びどんな野菜を育てているのか等々を調べて回った。
エルフの農家の人達は皆良い人ばかりで、収穫を少し手伝わせてもらったらいっぱい野菜をくれた。
「ひとまず今日はこのぐらいでいいかな。ノノも疲れてきたみたいだし……。」
ノノも私に着いてきて収穫を手伝ったりして、流石に少し疲れが見える。今日はこの辺で引き上げよう。
「わかりました。では森の外へ……とご案内しようと思いましたがその必要は無いみたいですね。」
「……?」
彼女がそう言った理由はすぐにわかった。
「ミ~ノ~ル~ッ!!帰るのじゃ~っ!!飯の時間じゃ~っ!!」
遥か上空から聞きなれた声が響き、大きな手で私とノノは抱えあげられた。
「か、カミル!?なんでここに?」
「お主らが帰ってくるのが遅すぎるのじゃ!!城で待っておるヴェルもマームも腹を空かせて待っておるぞ。」
も、もうそんなに時間が経ってたか?まだ陽は高いままだから全っ……然気が付かなかった。
「さぁ帰るのじゃ~っ!!」
「あ、ちょっと……ま…」
今日一日私達を案内してくれた彼女にお礼を告げようと思ったのだが、それよりも速くカミルは私達を抱え空へと飛び上がってしまった。
……仕方ない。このお礼はまた次にこの国に来たときにするとしよう。今回の件は私に非があるし……素直に受け入れるとしよう。
半ば諦め、私はカミルに身を任せ城へと帰るのだった。
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