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第二章 平和の使者
第139話
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アベルとアルマスも合流したところで、早速情報共有をする事にした。
「おおかたの話はここに来る途中にアベルから聞いたよ。……それにしても君達は無茶をしたね。」
呆れたようにアルマスは私とアベルの事を見ながら言った。
「あはは~……でもでも、ちゃんと成果はあったじゃん?ほら、そこで眠ってる勇者ちゃん連れてこれたし。」
「人工勇者という存在も確認することができたしな。」
「問題はそこだよ。その人工勇者……という存在がどれだけの力を持ってるのか。現勇者である彼女と全く同じ力を扱えるのか、はたまたそれ以上なのか……。」
「う~ん……あくまでも、これはボクがあれを見て思ったことだけど。一人一人の勇者の力は弱かったから、本来の勇者の力には遠く及ばないんじゃないかな?」
「ただ、それでも並みの者じゃ相手にならないだろう?」
「まぁ……ね。少しでも勇者の力を扱える時点で普通の兵士じゃ相手にならないだろうね。」
アベルの表情が曇る。犠牲が出ることを恐れているようだ。
私が何か気持ちを楽にしてやれる言葉を言える立場であれば、何か……アベルを元気づける言葉を投げ掛けられたかもしれないが、生憎私にどうこうできるものではない。
私は……ただの料理人でしかないのだから。
自分に無力感を感じていたとき……カミルが口を開いた。
「その人工勇者とやらは妾でも相手にならんかの?」
「え!?」
「妾は国の大事とあればいつでも戦うぞ?」
「……カミルとかヴェルとか、アスラだったら一人ならなんとかなるかもしれないけど。そ、それでも危険だよ?だからボクが……」
カミル達の身を案じたアベルが言葉を口にしていたとき、それを遮ってカミルが言った。
「アベル一人ではこの国しか守れんではないか?もし、エルフの国とこの国両方にそやつらが攻めてきたらどうするつもりじゃ?」
「う……そ、それは……。」
カミルの正論にアベルはなにも言い返せず、言葉につまる。しかし、その表情から心配の色はとれていない。
「安心するのじゃ、妾とて死ぬつもりは毛頭ない。死んでしまっては、ミノルの料理が食えなくなるからの~。」
にしし……と笑いながらカミルは私の頬をツンツンとつついてきた。
そんな時、部屋の扉の方からも声が上がった。
「生憎、私も死ぬつもりなんてないわよ~?」
「ヴェル!!」
「アベルはいっつも心配しすぎなのよ~。少しは私達のことも頼ってほしいわ?」
アベルの事を後ろからキュッと抱きしめながらヴェルは言った。
「カミル……ヴェル。」
瞳をうるうるとさせ、アベルはいまにも泣きそうな表情を浮かべている。
そんな時、アベルの影からシグルドさんが姿を現した。
「ほっほっほ、いざとなれば私めが御二方をお守りしますので……魔王様ご安心を。」
未だカミル達に助力を願えないアベルの背中を押すようにシグルドさんは言った。
この人本当にいっつも良いところで出てくるな。流石執事……。
「…………わかった。でも!!これは絶対約束っ……絶対生きて帰ってくること。うぅん、これは約束じゃない命令だよ!!」
その言葉を待ってましたと、言わんばかりにカミル、ヴェル、そしてシグルドさんの三人はアベルに向かって膝をついた。
「「「御意に魔王様。」」」
「うぅ~、魔王としての命令をこんな形で使う羽目になるなんて……。」
「でも良かったじゃないか?こうやってカミルさん達が協力してくれるんだから。これもアベルが信頼されてる証だよ。」
「アルマスの言うとおりだな。」
カミル達がこうしてアベルに進んで協力するのも、彼女が信頼されてるからだ。
「ボクだけの力じゃない。ミノル、君の力もあったおかげだよ。」
「私か?」
「うん!!だっていっつも美味しい料理作ってくれるから、カミル達もそれが原動力になってるんだよね?」
「うむ!!」
「間違いないわね。」
カミル達がいつも料理を楽しみにしてくれていたことは、わかってはいたが……。
ふ、まさかこんな形で役に立てているとは思ってなかったな。
「おだてても私から出てくるのは料理だけだぞ?」
「ならば、とびきり美味いのを所望するのじゃ!!勇者が食べておったのを見ていたら妾まで腹が空いてきたのじゃ!!」
「あらいいわね~、私も少し小腹が空いてたとこなのよ。」
「あ、ボクもボクも食べる!!」
「ふふふ、じゃあ久しぶりに僕も肖ろうかな。」
こんな料理を作るだけで皆の力になれるのなら……いつでも、いくらでも作ってやろう。カミルが言った通り、とびきり美味しいやつを……な。
そう思っていると、再び部屋のドアが開き今度はマームが蜂蜜を持って入ってきた。
「ん……?なんで……みんないる?なにかあった?」
「いや、なんにもないさ。ただ、今からちょっとした料理を作ろうかと思ってたところだ。」
「!!ならお菓子も……ある?」
「ノノ、マームがお菓子を食べたいらしいぞ?」
「もちろん作ります!!えへへ……今日は何を作ろうかな~♪」
「やった!!ノノ大好き……ぎゅってする。」
喜ぶマームはノノの事をぎゅっと抱き締める。ノノもまんざらではなさそうだ。
さて、じゃあ今日も精一杯この腕を振るうとするか。
そして皆がいなくなり、シン……と静まり帰った部屋で一人……勇者は虚ろな目を開いた。
「おおかたの話はここに来る途中にアベルから聞いたよ。……それにしても君達は無茶をしたね。」
呆れたようにアルマスは私とアベルの事を見ながら言った。
「あはは~……でもでも、ちゃんと成果はあったじゃん?ほら、そこで眠ってる勇者ちゃん連れてこれたし。」
「人工勇者という存在も確認することができたしな。」
「問題はそこだよ。その人工勇者……という存在がどれだけの力を持ってるのか。現勇者である彼女と全く同じ力を扱えるのか、はたまたそれ以上なのか……。」
「う~ん……あくまでも、これはボクがあれを見て思ったことだけど。一人一人の勇者の力は弱かったから、本来の勇者の力には遠く及ばないんじゃないかな?」
「ただ、それでも並みの者じゃ相手にならないだろう?」
「まぁ……ね。少しでも勇者の力を扱える時点で普通の兵士じゃ相手にならないだろうね。」
アベルの表情が曇る。犠牲が出ることを恐れているようだ。
私が何か気持ちを楽にしてやれる言葉を言える立場であれば、何か……アベルを元気づける言葉を投げ掛けられたかもしれないが、生憎私にどうこうできるものではない。
私は……ただの料理人でしかないのだから。
自分に無力感を感じていたとき……カミルが口を開いた。
「その人工勇者とやらは妾でも相手にならんかの?」
「え!?」
「妾は国の大事とあればいつでも戦うぞ?」
「……カミルとかヴェルとか、アスラだったら一人ならなんとかなるかもしれないけど。そ、それでも危険だよ?だからボクが……」
カミル達の身を案じたアベルが言葉を口にしていたとき、それを遮ってカミルが言った。
「アベル一人ではこの国しか守れんではないか?もし、エルフの国とこの国両方にそやつらが攻めてきたらどうするつもりじゃ?」
「う……そ、それは……。」
カミルの正論にアベルはなにも言い返せず、言葉につまる。しかし、その表情から心配の色はとれていない。
「安心するのじゃ、妾とて死ぬつもりは毛頭ない。死んでしまっては、ミノルの料理が食えなくなるからの~。」
にしし……と笑いながらカミルは私の頬をツンツンとつついてきた。
そんな時、部屋の扉の方からも声が上がった。
「生憎、私も死ぬつもりなんてないわよ~?」
「ヴェル!!」
「アベルはいっつも心配しすぎなのよ~。少しは私達のことも頼ってほしいわ?」
アベルの事を後ろからキュッと抱きしめながらヴェルは言った。
「カミル……ヴェル。」
瞳をうるうるとさせ、アベルはいまにも泣きそうな表情を浮かべている。
そんな時、アベルの影からシグルドさんが姿を現した。
「ほっほっほ、いざとなれば私めが御二方をお守りしますので……魔王様ご安心を。」
未だカミル達に助力を願えないアベルの背中を押すようにシグルドさんは言った。
この人本当にいっつも良いところで出てくるな。流石執事……。
「…………わかった。でも!!これは絶対約束っ……絶対生きて帰ってくること。うぅん、これは約束じゃない命令だよ!!」
その言葉を待ってましたと、言わんばかりにカミル、ヴェル、そしてシグルドさんの三人はアベルに向かって膝をついた。
「「「御意に魔王様。」」」
「うぅ~、魔王としての命令をこんな形で使う羽目になるなんて……。」
「でも良かったじゃないか?こうやってカミルさん達が協力してくれるんだから。これもアベルが信頼されてる証だよ。」
「アルマスの言うとおりだな。」
カミル達がこうしてアベルに進んで協力するのも、彼女が信頼されてるからだ。
「ボクだけの力じゃない。ミノル、君の力もあったおかげだよ。」
「私か?」
「うん!!だっていっつも美味しい料理作ってくれるから、カミル達もそれが原動力になってるんだよね?」
「うむ!!」
「間違いないわね。」
カミル達がいつも料理を楽しみにしてくれていたことは、わかってはいたが……。
ふ、まさかこんな形で役に立てているとは思ってなかったな。
「おだてても私から出てくるのは料理だけだぞ?」
「ならば、とびきり美味いのを所望するのじゃ!!勇者が食べておったのを見ていたら妾まで腹が空いてきたのじゃ!!」
「あらいいわね~、私も少し小腹が空いてたとこなのよ。」
「あ、ボクもボクも食べる!!」
「ふふふ、じゃあ久しぶりに僕も肖ろうかな。」
こんな料理を作るだけで皆の力になれるのなら……いつでも、いくらでも作ってやろう。カミルが言った通り、とびきり美味しいやつを……な。
そう思っていると、再び部屋のドアが開き今度はマームが蜂蜜を持って入ってきた。
「ん……?なんで……みんないる?なにかあった?」
「いや、なんにもないさ。ただ、今からちょっとした料理を作ろうかと思ってたところだ。」
「!!ならお菓子も……ある?」
「ノノ、マームがお菓子を食べたいらしいぞ?」
「もちろん作ります!!えへへ……今日は何を作ろうかな~♪」
「やった!!ノノ大好き……ぎゅってする。」
喜ぶマームはノノの事をぎゅっと抱き締める。ノノもまんざらではなさそうだ。
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