96 / 103
6.大精霊編
22.誕生日
「私に、何かできることはないのですか?!」
ルシンダは、クルーズに迫った。
「それは…」
クルーズにしては言いにくそうな顔をした。
「それとも…私は彼を好きになってはいけなかったのですか…?」
ルシンダは、自分がアスランを苦しめている原因なのだろうかと考え始めていた。
「それは…分からない…」
クルーズがこれまでにない程、苦しそうな顔で言った。
「…分からない…なんて、僕の口から言う日がくるとは!クソッ!!」
そう言って、彼は思い切り壁を殴った。
「クルーズ様?!いかがなさいましたか?!」
キースが飛んできた。
「し、失敬」
クルーズはそう言って、また寝室に入っていく。
ルシンダもそれに続いた。
「ルシンダ、君の魔力は膨大だ。しかし、それはある方から与えられたものであって、それは僕からは何とも言うことができないんだよ。だけど、もし、君の力が目覚めたら…もしかしたら、アスランは…」
クルーズは、アスランの容体を心配そうに見つめながら言った。
ルシンダは、自分の無力さを痛感させられただけだった。
その日は一旦、2人とも魔術部に戻った。
クルーズの顔は未だ険しい。
ルシンダも何か出来はしないかと考えていたが、何も思い浮かばなかった。
私とアスラン様の関係が原因ってどういうことなのだろう。
そればかり考えてしまう。
家に帰っても、なかなか食事が喉を通らない。
そんな日に限って、ライトが帰宅した。
え?今なの?
ルシンダは、ライトに怒りさえ覚えた。
「あの…色々とすまなかったな」
ライトが申し訳なさそうに言う。
「私があなたに望むことは、ただひとつだけです。離縁して頂きたい」
「そんな…」
「え?この期に及んで、まだそんなこと言うのですか?あのご令嬢は?あんなに可愛らしい方を傷つけておいて…!」
いや、それは私も同じか
「ルシンダ、聞いてくれ!俺が、ルシンダとやり直したいって言ったのは嘘じゃない。だけど、だけど」
「だけど、なんですか?」
「…やっぱり離縁しよう」
「え?いいんですか?」
ルシンダは、肩透かしを食らった気分になった。
「君のためじゃない…」
ライトは、ルシンダから目を逸らした。
彼の右手が強く握られている。
あぁ、そう。
“彼女”のためね
そうやって、他責するんだわ。
あなたって人は。
それなら、もっと私のこと罵倒でも何でもすればいいのに
「分かっています。そんなことくらい」
ルシンダも、それ以上のことは何も言わなかった。
2人は後日、両家に説明にいくことにした。
この次の日の晩、ターリー伯爵家からルシンダの元に遣いがやってきた。
渡されたキースからの手紙には、直ぐに来て欲しいとあった。
ルシンダは嫌な予感がした。
すぐにターリー家へむかった。
そこには、クルーズも呼ばれてきていた。
「アスラン様は?!」
ルシンダは、怖くて怖くて仕方なかった。
「おそらく、今晩が山だ。ずっとうわ言で、君の名前を呼んでたそうだ…」
クルーズが申し訳無さそうに言った。
「そんな…」
ルシンダは、信じたくなかったし信じられなかった。
だって、つい最近、ここでアスラン様と一緒に過ごしたでしょ?
彼は、笑顔で愛を囁いてくれたでしょ?
嘘だ…嘘だよ
アスラン様が死ぬかもなんて…
嘘だよ…!
ルシンダは、アスランの側で彼の手を握った。
「アスラン様…」
涙が出そう。
「る、ルシンダ…?」
アスランが小さく呟くように言った。
「ルシンダです!アスラン様!?」
「…泣かないで…」
朦朧としながらも、アスランはルシンダの心配をしたのだ。
ルシンダは、泣かないように歯を食いしばった。
そして、必死で祈った。
彼を連れて行かないで!
そして、彼女はそのまま意識をなくしてしまった。
「やぁ、お久しぶり。愛しい人。とうとう21歳の誕生日だな」
ルシンダは、その重く低い声で目を覚ました。
そうだった。
日付を超えたら、
彼女の21歳の誕生日だった。
ルシンダは、クルーズに迫った。
「それは…」
クルーズにしては言いにくそうな顔をした。
「それとも…私は彼を好きになってはいけなかったのですか…?」
ルシンダは、自分がアスランを苦しめている原因なのだろうかと考え始めていた。
「それは…分からない…」
クルーズがこれまでにない程、苦しそうな顔で言った。
「…分からない…なんて、僕の口から言う日がくるとは!クソッ!!」
そう言って、彼は思い切り壁を殴った。
「クルーズ様?!いかがなさいましたか?!」
キースが飛んできた。
「し、失敬」
クルーズはそう言って、また寝室に入っていく。
ルシンダもそれに続いた。
「ルシンダ、君の魔力は膨大だ。しかし、それはある方から与えられたものであって、それは僕からは何とも言うことができないんだよ。だけど、もし、君の力が目覚めたら…もしかしたら、アスランは…」
クルーズは、アスランの容体を心配そうに見つめながら言った。
ルシンダは、自分の無力さを痛感させられただけだった。
その日は一旦、2人とも魔術部に戻った。
クルーズの顔は未だ険しい。
ルシンダも何か出来はしないかと考えていたが、何も思い浮かばなかった。
私とアスラン様の関係が原因ってどういうことなのだろう。
そればかり考えてしまう。
家に帰っても、なかなか食事が喉を通らない。
そんな日に限って、ライトが帰宅した。
え?今なの?
ルシンダは、ライトに怒りさえ覚えた。
「あの…色々とすまなかったな」
ライトが申し訳なさそうに言う。
「私があなたに望むことは、ただひとつだけです。離縁して頂きたい」
「そんな…」
「え?この期に及んで、まだそんなこと言うのですか?あのご令嬢は?あんなに可愛らしい方を傷つけておいて…!」
いや、それは私も同じか
「ルシンダ、聞いてくれ!俺が、ルシンダとやり直したいって言ったのは嘘じゃない。だけど、だけど」
「だけど、なんですか?」
「…やっぱり離縁しよう」
「え?いいんですか?」
ルシンダは、肩透かしを食らった気分になった。
「君のためじゃない…」
ライトは、ルシンダから目を逸らした。
彼の右手が強く握られている。
あぁ、そう。
“彼女”のためね
そうやって、他責するんだわ。
あなたって人は。
それなら、もっと私のこと罵倒でも何でもすればいいのに
「分かっています。そんなことくらい」
ルシンダも、それ以上のことは何も言わなかった。
2人は後日、両家に説明にいくことにした。
この次の日の晩、ターリー伯爵家からルシンダの元に遣いがやってきた。
渡されたキースからの手紙には、直ぐに来て欲しいとあった。
ルシンダは嫌な予感がした。
すぐにターリー家へむかった。
そこには、クルーズも呼ばれてきていた。
「アスラン様は?!」
ルシンダは、怖くて怖くて仕方なかった。
「おそらく、今晩が山だ。ずっとうわ言で、君の名前を呼んでたそうだ…」
クルーズが申し訳無さそうに言った。
「そんな…」
ルシンダは、信じたくなかったし信じられなかった。
だって、つい最近、ここでアスラン様と一緒に過ごしたでしょ?
彼は、笑顔で愛を囁いてくれたでしょ?
嘘だ…嘘だよ
アスラン様が死ぬかもなんて…
嘘だよ…!
ルシンダは、アスランの側で彼の手を握った。
「アスラン様…」
涙が出そう。
「る、ルシンダ…?」
アスランが小さく呟くように言った。
「ルシンダです!アスラン様!?」
「…泣かないで…」
朦朧としながらも、アスランはルシンダの心配をしたのだ。
ルシンダは、泣かないように歯を食いしばった。
そして、必死で祈った。
彼を連れて行かないで!
そして、彼女はそのまま意識をなくしてしまった。
「やぁ、お久しぶり。愛しい人。とうとう21歳の誕生日だな」
ルシンダは、その重く低い声で目を覚ました。
そうだった。
日付を超えたら、
彼女の21歳の誕生日だった。
あなたにおすすめの小説
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のフランソアは、王太子殿下でもあるジェーンの為、お妃候補に名乗りを上げ、5年もの間、親元を離れ王宮で生活してきた。同じくお妃候補の令嬢からは嫌味を言われ、厳しい王妃教育にも耐えてきた。他のお妃候補と楽しく過ごすジェーンを見て、胸を痛める事も日常茶飯事だ。
それでもフランソアは
“僕が愛しているのはフランソアただ1人だ。だからどうか今は耐えてくれ”
というジェーンの言葉を糧に、必死に日々を過ごしていた。婚約者が正式に決まれば、ジェーン様は私だけを愛してくれる!そう信じて。
そんな中、急遽一夫多妻制にするとの発表があったのだ。
聞けばジェーンの強い希望で実現されたらしい。自分だけを愛してくれていると信じていたフランソアは、その言葉に絶望し、お妃候補を辞退する事を決意。
父親に連れられ、5年ぶりに戻った懐かしい我が家。そこで待っていたのは、初恋の相手でもある侯爵令息のデイズだった。
聞けば1年ほど前に、フランソアの家の養子になったとの事。戸惑うフランソアに対し、デイズは…
私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います
***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。
しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。
彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。
※タイトル変更しました
小説家になろうでも掲載してます
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。