沈黙のういザード 

豚さん

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25話 最後の虹――その色は、葉月

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 憂は机に向かい、鉛筆を走らせながらも、心の片隅で気になっていたことがあった。受験勉強の合間――ほんの短い休憩の時間を使って、母の件について、葉月に相談しようと決めていたのだ。

「おかえり」

憂は深呼吸してから、静かに言葉を紡いだ。

「葉月姉、実は考えたことがあって……お母さんの件なんだけど、わたしたちができる方法で、状況を整理して、順序立てて進めれば――無理なく、みんなの力を最大限に活かせると思うの」

手元のノートを軽く指で示しながら、憂は順序やポイントを一つずつ説明した。

「それに、この方法なら、お母さんにも負担をかけずに、わたしたちがちゃんと準備を整えられるはず……だから、こうして――」

憂の口調は落ち着いていて、緊張はあったものの、言葉に迷いはなかった。

「……だから、お願い。葉月姉の力を貸してほしい」

葉月はじっと憂を見る。探るように、測るように。そして――にやりと笑った。まるで、ラスボスが相手の出方を見極めるかのような、鋭い笑み。

「ふふん、憂ちゃん……そのアイディア、面白そうじゃない?」

「うん……友達も協力してくれるって言ってくれたの。記憶は戻らなくても、やってみたくなったんだ」

憂の声には迷いがなく、胸の奥から湧き上がる決意が滲んでいた。

葉月は目を細め、にやりと笑ったまま、少し身を乗り出す。

「ふふん、やっぱり憂ちゃんらしいね。そうやって動くなら、お姉ちゃんも付き合わないわけにはいかないわね」

「本当?」

「もちろん。本気でやるなら、全力で支えるに決まってるじゃない」

葉月の言葉に、憂の胸がじんわり熱くなる。

「ありがとう、葉月姉……」

「ふふ、いいのよ。さあ、始めましょうか――みんなで力を合わせて、精一杯やるのよ」

憂は深く頷き、覚悟を胸に、これからのことを思い描いた。友達と一緒に――そして葉月と一緒に――挑む、新しい一歩の始まりだった。

その後、葉月は少し息を整え、憂の目をしっかり見つめた。

「憂ちゃん……雪姉ちゃんが最後に、わたしたちに残してくれた言葉があるの」

その声には、いつものラスボス感の奥に、家族を守ろうとする強さが宿っていた。

「――御陵家の掟・第六条」

葉月は静かに、でも力強く告げる。

『御陵家、三人の幸せは——みんなで守ること』

憂は言葉を胸に刻み込むように、深く頷いた。

「……分かった、葉月姉」

葉月は小さく微笑み、安心させるように言った。

「そう、だから――これからも一緒に、守っていこうね」

憂はもう一度深呼吸し、胸の奥で熱くなる思いを感じながら、覚悟を新たにした。受験勉強に戻る前の短い時間――それでも、心はすでに母と家族のことに向かって動いている。

葉月は憂の決意を受け止めるように、ゆっくりと頷いた。

「さあ、憂ちゃん。やると決めたなら、後悔なんてさせないわよ」

憂は小さく微笑み返した。

その場に漂う静かな決意と温かさ。受験勉強の合間の短い休憩が、憂にとっては確かな覚悟の時間になったのだった。
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