バグゲームからの異世界召喚

ザマァズキ

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1日目

第19話 被害者、盗賊

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 目に見えて、
 この世界のモノでは無い魔法が
 連続で行使された。

 村を覆った三度の光。

 当然の様に、村は大騒ぎだ。

 だが、シオンの暴走は、
 まだ止まらない。



 自身がF1の主人公勇者だった頃、
 一人、また一人と離れて行った仲間たち。

 録でもない奴もいるが、
 連れ添う者は多い方がいい。

 初めは何も感じなかったのに
 いつの間にか芽生えた感情。

 離れ行く仲間に
 掛けたい言葉も掛けられない。

 死に行く仲間を止められない。

 何も出来ない自分の不甲斐なさ。

 城に居ない魔王を探し、
 見つかるまで
 永遠に暗い世界を一人で歩き回り、
 どうしても、
 見つからないとなれば、
 全てを無かった事にして、
 また初めからやり直す。

 再び訪れる仲間との別れ。

 忘れてしまいそうな永きとき
 忘れられない永きとき、 
 何度も繰り返された悪夢。

 天に浮かぶ枠という名の画面越しに
 外の世界が見えだしたのは、
 何時いつからだっただろうか。

 その画面越しに、
 外の声を聴ける様になったのは、
 ……何時いつからだっただろうか。

 天に浮かぶ枠に映るは、
 神と信じていた。

 この繰り返される悪夢を終わらせに
 顕現されたのだと……、
 信じていた。

 だが、次に聴こえし外の声。
 自分はゲームな創られし者のだと、
 知る事になる。

 シナリオ通りに生きるしか無く、
 仲間を助けることは永遠に出来ない。

 そして、バグゲーム壊れた世界である事を知り、
 魔王を倒し、世界を救い、
 再び仲間に逢うことは
 叶わぬ事を知る。

 何時いつの間にか、
 ゲーム機ハードに差し込まれていなくとも、
 声が聴こえ、
 世界が見えるようになっていた。

 何時いつの日にか、
 自分と同じカートリッジ存在
 行き来できるようになり、
 自分と同じカートリッジ存在の数を
 把握出来るようになっていた。

 そして……カートリッジ存在
 減り出した。
 1本……また1本とカートリッジ存在
 消えて行く。

 主人公勇者は焦る。
 行き来できるカートリッジ存在
 消えていく事に。

 全てのカートリッジ存在
 消えたら僕はどうなるのだろう?

 ゲームオーバーと同じように、
 宿屋から復活するのだろうか?

 わからない答えに恐怖する。

 そして、最期の1本となった時……。

 最期の1本が棄てられる時……。
 
 眩いまばゆ光と共に、
 この世界に来られた事。

 初めて自由に話せた事。

 新しく出来た仲間の事。

 初めて出来た嫁のファル事。

 もう……もう二度と後悔したくない!

「俺に出来る事があるならば、
 全身全霊、全力全開、全智全能、
 を持って、
 俺に……嫁に……兄貴に……家族に、
 手を出すヤツは……敵対するヤツは……
 全滅させる!」

-だから、まだ足らない。
-不安材料があるならば、
-その全てを取り除く!

-この村の近くにある驚異を、
-悪意を、害意を、
-邪魔なモノは全て削除する!

スキル➡パッシブ➡感知
[探知]#神話級__ゴッズ__
指定可能領域:同界内
10000000Exp
(他の下位修得の為、合計11111100Exp消費)

残量:13233728Exp

 [探知]の範囲設定を国内に。

-何が無いとは言えんだ?
-こんな近くに、
-盗賊の集団がいるじゃねぇか。

 実際に、盗賊の根城があったが、
 半径50kmオーバーだ。

 それに、街道専門の盗賊故、
 村が襲われる心配はほぼ皆無だったが、
 シオンは[シオからドア]を躊躇なく使用し、
 盗賊の根城へと転移する。

 とある草原にある洞窟の壁に
 突如鉄扉が出現する。

 洞窟を根城にしていた、
 盗賊が慌て出す。

「な、何!? 扉が急に現れた!」
「地操術の使い手!?」
「奇襲だ! 構えろぉ!」

『ギギィ』

 シオンが扉を開けて、
 盗賊集団の根城に入っていく。

「ひゃははは!
 こんな奇襲仕掛けてくるから
 国軍かと思ったら、
 兄さん一人かい?
 迷っちまったかな?」

「確認したい。
 お前らは盗賊だよな?
 奴隷を解放する気はあるか?」

-巻き込みたくは無いからな。

 奴隷や獣が居ることは確認していた。

「あん? 確かに俺らは盗賊さぁ。
 解ってて一人で来るたぁ、
 自殺願望でもあるんか?」

「何にせよ。
 赤サソリ盗賊団に単身乗り込んで来たんだ。
 身ぐるみ置いて死にさらせぇ!」

 一番近かった盗賊の一人が、
 シオンの後頭部目掛けて曲刀を振り下ろ……、
 振り下ろせなかった。

「なぁに!?」

「質問ぐらい答えろよな?」

 頭に乗った刀身を右手で払いのけ、
 左回りに、振り向き様に右拳を
 あご目掛けて振り上げる。

「ぐふぅあ!」

 殴り倒した盗賊が、
 直ぐ様起き上がる。

「へっ! 耐久値防御力は結構あるようだが、
 筋力値攻撃力は、そうでもねぇ!」

「皆で掛かれば、わけはねぇ!」

「「「うぉぉぉおおおお!!」」」

 シオン目掛けて、
 盗賊団があらゆる獲物で襲いかかる。
 大剣で、ナイフで、大槌で、槍で、大斧で……。

 勿論、シオンには1ダメージも与えていない。

-あぁ、そうか……。
-筋力スキル解除してなかったな。

 [粘水]スライムを解除し、筋力200809二十万に……。

 大剣で斬りかかってくる盗賊の顔面を
 掴もうと右手を掲げる。

『グチャッ』

 盗賊の頭部が、
 まるでトマトのように簡単に潰れる。

「「「ひぃぃぃっ!」」」

 最前線だった盗賊が下がろうとするが、
 後ろから詰めよって来るので下がれない。

-解除するとこうなるのか。
-ついでだし強化も試すか。
-どうせ、コイツらは要らないからな。

 [聖人]ホーリー発動、筋力20080900二千万に。

 振り下ろされる大槌を左手で受け止める。

『パンッ!』

 という音と共に大槌が霧となる。

「なんだぁ?
 地操術使いが、
 舐めた真似しくさりやがって」

 大槌は鉄製だった為、
 地操術で細工をされたと盗賊は考える。

-地操術?
-そんなもの使えねぇよ。
-あまり、動くと危ないな。
-奴隷も居るし、
-テキトーに触れてみるか。

 襲い来る盗賊に指で触れていく。
 触られた盗賊から弾け霧となっていく。
 
『パンッ!』
『パパパパパパパパパパパパンッ!!』

 一度に十数人が霧となる。

「なんだぁ?
 いってぇ、何が起こっていやがる?」

「俺……聞いた事がある!
 東の国には指先で人のツボを突き、
 あらゆる怪我を治療なおしたり、
 逆に殺すことも簡単に行う種族が居ると……」

 その盗賊は震えながら話だし。

「俺……まだ死にたくねぇよぉ~!」

 出口へと逃げ出した。
 恐怖を覚え始めた他の盗賊も
 一斉に出口へと駆け始める。

「逃がすかよ……」

 幸い奴隷などの反応は洞窟の奥の方。
 シオンは出口へ向け少し脚を踏み込んだ。

『ドヒュッ!』
『パパパパパパパパパパパパパパンッ!!』
『ヒューーーーーン!』
『ドンッ!』

 少し踏み込んだだけのつもりだったが、
 出口へ向かっていた盗賊を全て霧に変え、
 洞窟を飛び出し、街道を横切り、
 対面する山にぶち当たり漸く止まった。

 運良く、盗賊以外に被害は無かった。

-ダメだなこれは……。
-イチイチ切り替えるのも面倒なんだよな。

 また同じ方法で戻っても、
 洞窟奥の者に被害が出ると考え、
 スキルを検索する。

スキル➡パッシブ➡生活
[最適]神話級ゴッズ
効果:所持スキルを
  状況・使用者の意思に応じ
  自動でON/OFFする
10000000Exp
(他の下位修得の為、合計11111100Exp消費)

残量:58593728Exp

 来た方向に向かい、再び脚を踏み込む。

『ドヒュッ!』
『ヒューン!』

 先程は一歩で届いたが、
 最適のおかげで想うように調整が効く。

 大地を翔け、僅か5歩で洞窟の入口に戻った。

 今回も被害は出ていない。

「はは、こりゃいいな。
 手加減を覚えたって事で、
 残りを片すか」

 盗賊は元々75人いた。
 スキル確認で42人消した。
 残りは、33人。

 出口に向かっていた奴等が
 掻き消えたのを見て外に出たのが12人。

 残り21人は洞窟内、
 内11人は武器を構えている。

-外に出た奴等から消すか。

 シオンは探知を使い盗賊12人を見つけ出す。

 一人……また一人と消していく。

 逃亡中の盗賊の耳に『ヒュッ』と
 聴こえた時には、
 『パンッ!』
 という音と共に霧となっている。

 洞窟内で武器を構えている12人は、
 外から『パンッ!』という音が
 微かに聴こえる。
 一つ……また一つ、
 『パンッ!』という音が連続で聴こえる。

 11、いや12回聴こえたと思ったら、
 2,3秒の間の後、
 いつの間にか、
 11人の前にシオンは立っていた。

「ひぃぃ………
 『パパパパパパパパパパパンッ!!』………」

 一瞬で掻き消えた11人。

「さてと、のこりは10人……アソコか……」
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