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一章~旅立ち~
9話 困る魔公
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嫌味だと勘違いしていたがどうやら本当らしい。
よく考えてみれば、子供っぽいグーシオンが嫌味を言うなどあり得ない。
いや、あり得るのかもしれないがこんな時にわざわざ言うのもおかしい。
グーシオンへの疑いの気持ちに反省する。
が、同時に新たな疑問が生じる。
キドは強くなった実感はあった。
しかしそれは常識の範囲内であり、辛うじて人間と呼べる程度だった。
だがこの異常なステータスの高さは、化物と言っていい。
レベルが100を超えた人間など、どれだけ歴史を遡ろうが探し出すことは困難だろう。
人類種のSランク冒険者は平均がレベル60前後である。
これは他種族でも例外ではなく、戦闘民族である龍人種の最高数値でさえレベル99であった。
レベル100とは『超えられない壁』として広く認知されており、それを軽々と抜くキドのステータスはこれまでの常識を覆すには充分なものであった。
実力とステータスが比例していない自身に不信感を抱きながら、キドはなんとも言えない表情でグーシオンに向き直る。
グーシオンは前で腕を組み、自分の圧倒的に大きな胸を誇示する形で逸らした。
そして自信満々な表情でニヤリと微笑する。
「君は自分の強さに実感がないだろ?」
「まあそうだな…これまで一度でもスキルや加護を使えた試しがないし、効果も知らない…」
「スキルと加護はギルドで確認してね。私の鑑定は神樹の力ほど正確に見れないの。だけど君の能力値がこの世界の最強ということは確かだよ。」
『世界最強の男』なんて言葉は男の夢と希望が詰まっている。
しかし文字通りこんな奴がいたら恐怖の対象なのではないだろうか。
冒険者の能力はランクにもよるが、ある程度拮抗していた。
そのためランク内で誰か一人が特出して秀でている事はあまりなく、あったとしてもそれは人間の域を出ないものだ。
そんな中に『異物』が混入すれば、全員でそれを除去しようとするだろう。
冒険者総出で除け者にされる事は容易に想像できる。
しかしこれはキドが困る事であって、グーシオンに問題が発生するとは思えない。
「仮に俺が世界最強だとしても、魔公のお前が困ることなんてないだろ?」
グーシオンはキドの核心をついた質問に困ったように愛想笑いを浮かべた。
「君ほどの人間が私と敵対すると、魔族が滅ぶというか…なんというか…」
「随分と話が進み過ぎじゃないか?俺が魔公を倒すなんて出来るわけないだろ?」
話があまりに極端なのは何か意図があってのことなんだろうか。
よく考えてみれば、子供っぽいグーシオンが嫌味を言うなどあり得ない。
いや、あり得るのかもしれないがこんな時にわざわざ言うのもおかしい。
グーシオンへの疑いの気持ちに反省する。
が、同時に新たな疑問が生じる。
キドは強くなった実感はあった。
しかしそれは常識の範囲内であり、辛うじて人間と呼べる程度だった。
だがこの異常なステータスの高さは、化物と言っていい。
レベルが100を超えた人間など、どれだけ歴史を遡ろうが探し出すことは困難だろう。
人類種のSランク冒険者は平均がレベル60前後である。
これは他種族でも例外ではなく、戦闘民族である龍人種の最高数値でさえレベル99であった。
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実力とステータスが比例していない自身に不信感を抱きながら、キドはなんとも言えない表情でグーシオンに向き直る。
グーシオンは前で腕を組み、自分の圧倒的に大きな胸を誇示する形で逸らした。
そして自信満々な表情でニヤリと微笑する。
「君は自分の強さに実感がないだろ?」
「まあそうだな…これまで一度でもスキルや加護を使えた試しがないし、効果も知らない…」
「スキルと加護はギルドで確認してね。私の鑑定は神樹の力ほど正確に見れないの。だけど君の能力値がこの世界の最強ということは確かだよ。」
『世界最強の男』なんて言葉は男の夢と希望が詰まっている。
しかし文字通りこんな奴がいたら恐怖の対象なのではないだろうか。
冒険者の能力はランクにもよるが、ある程度拮抗していた。
そのためランク内で誰か一人が特出して秀でている事はあまりなく、あったとしてもそれは人間の域を出ないものだ。
そんな中に『異物』が混入すれば、全員でそれを除去しようとするだろう。
冒険者総出で除け者にされる事は容易に想像できる。
しかしこれはキドが困る事であって、グーシオンに問題が発生するとは思えない。
「仮に俺が世界最強だとしても、魔公のお前が困ることなんてないだろ?」
グーシオンはキドの核心をついた質問に困ったように愛想笑いを浮かべた。
「君ほどの人間が私と敵対すると、魔族が滅ぶというか…なんというか…」
「随分と話が進み過ぎじゃないか?俺が魔公を倒すなんて出来るわけないだろ?」
話があまりに極端なのは何か意図があってのことなんだろうか。
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