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誤算
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マスカレードパーティは滞りなく終了し、ニナを聖女の部屋まで送り届けたアーサーは王宮内の自室で着替えを完了させた。
鼻歌を歌ってハーブティを飲みかけたその時、クリスが無断で部屋に入って来た。風の国の王子は礼儀がなってない。
「やあ、アーサーいい夜だな!」
「勝手に入るな」
「実は先日の件、早い方がいいと思ってね。俺が王様に報告しておいたから!」
「は?まさかクリスお前、何を……」
アーサーはハーブティをテーブルに叩きつけて立ち上がり、にやつくクリスの胸倉をつかみ上げる。
「聖女様の密通行為、ばっちり現行犯で押さえておいたよ!
王様大激怒!
聖女様はお部屋に軟禁!
不倫相手はすべからく投獄ー!盛り上がってきたねー!」
「そんなこと頼んでない!」
クリスは激昂するアーサーをものともせず、くるくる癖毛を指にくるくる巻きつけて愉快に笑った。
「いやこういうのやっぱり勢い大事かなって」
「こっちにはこっちの計画がある!勝手をするな!」
「えーでもオープンにする方がおもしろそうな匂いがしたから。
俺、約束は守るよ?」
「当たり前だ!めちゃくちゃじゃないか!」
「うーーん!アーサーが怒っちゃって楽しい!こっからどうするどうする?
ほらやっぱりおもしろくなった!」
キャッキャッと無邪気に笑うクリスにアーサーは殺意が湧いた。
自分より勝手な人間がこの世にいるのかと腸が煮えくり返る。
アーサーはクリスの胸倉を突き放して急いで部屋を後にした。
「アーサーの手腕、楽しみに見てるね」
「うるさい!さっさと国へ帰る準備をしろ!もう二度と来るな!」
廊下を足早に歩きながらアーサーは事態収集へと頭を回転させるが、舌打ちが止まらなかった。
「チッ」
クリスは計画に必要な駒だ。
だが、賭けに勝ちさえすれば素直に言うことを聞くと思ったのが誤算だった。あの面白男の好奇心旺盛さを読み違えた。
この誤算を埋めるには、犠牲が必要になる。
アーサーの優先順位は決まっている。
犠牲になるのは、当然、ネオだ。
鼻歌を歌ってハーブティを飲みかけたその時、クリスが無断で部屋に入って来た。風の国の王子は礼儀がなってない。
「やあ、アーサーいい夜だな!」
「勝手に入るな」
「実は先日の件、早い方がいいと思ってね。俺が王様に報告しておいたから!」
「は?まさかクリスお前、何を……」
アーサーはハーブティをテーブルに叩きつけて立ち上がり、にやつくクリスの胸倉をつかみ上げる。
「聖女様の密通行為、ばっちり現行犯で押さえておいたよ!
王様大激怒!
聖女様はお部屋に軟禁!
不倫相手はすべからく投獄ー!盛り上がってきたねー!」
「そんなこと頼んでない!」
クリスは激昂するアーサーをものともせず、くるくる癖毛を指にくるくる巻きつけて愉快に笑った。
「いやこういうのやっぱり勢い大事かなって」
「こっちにはこっちの計画がある!勝手をするな!」
「えーでもオープンにする方がおもしろそうな匂いがしたから。
俺、約束は守るよ?」
「当たり前だ!めちゃくちゃじゃないか!」
「うーーん!アーサーが怒っちゃって楽しい!こっからどうするどうする?
ほらやっぱりおもしろくなった!」
キャッキャッと無邪気に笑うクリスにアーサーは殺意が湧いた。
自分より勝手な人間がこの世にいるのかと腸が煮えくり返る。
アーサーはクリスの胸倉を突き放して急いで部屋を後にした。
「アーサーの手腕、楽しみに見てるね」
「うるさい!さっさと国へ帰る準備をしろ!もう二度と来るな!」
廊下を足早に歩きながらアーサーは事態収集へと頭を回転させるが、舌打ちが止まらなかった。
「チッ」
クリスは計画に必要な駒だ。
だが、賭けに勝ちさえすれば素直に言うことを聞くと思ったのが誤算だった。あの面白男の好奇心旺盛さを読み違えた。
この誤算を埋めるには、犠牲が必要になる。
アーサーの優先順位は決まっている。
犠牲になるのは、当然、ネオだ。
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