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第4話・人の話をきちんとお聞きになってはどうですか?
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「………はあ………いい加減にしてください…。そもそも、私な貴方なんて知りません。人違いでは?」
「口の聞き方を改めろ、公爵令嬢。余計な足掻きはよしたほうがいいだろう」
「ルゲイン君……見逃して上げて?ねっ?」
「リリーナ……」
腕を絡めて、熱っぽく見つめ合う目の前の二人にパールはげんなりとした。周りの貴族は困惑したように静観しているし、割って入ってくることはないだろう。
そも、何故全くこちらの話を聞かないのか、理解に苦しむ。人のお話はちゃんと聞きましょうだなんて、平民の5歳児でも知っていることだ。
「あの、もう用がないのでしたら、私戻ってもよくて?」
そう言うと、二人の甘い雰囲気を壊したからか、不機嫌そうに眉を寄せてパールを睨みつけた。
それにパールは眉一つ動かさず、さっさと答えてくれと言葉を待った。
「……おい、まだ終わっていないだろう。それくらいかんがえたら分かるだろうに……大体、今僕はリリーナと話していたんだ!」
「ルゲイン君っ。きっと、ルゲイン君の気を引きたかったんだよお…だって、さっきから私のこと怖あい目で見てくるの……」
「性懲りもなく、リリーナに嫉妬しているのか!本当に、貴様のような女と婚約しなくてよかった!リリーナ、怖かっただろう。大丈夫か?」
「大丈夫だよぉ。それより、ちゃあんとあの人とお話しなくちゃっ」
鼻にかかるような甘ったるい声でそう言うリリーナに、パールは本当に人違いなのに……、というか、話って一方的に話して勝手にいちゃついてるだけでは…??と考えたが、口には出さなかった。どうせ聞かないだろうと分かっていたので。
「ゴホンっ、兎に角っ!僕たちの婚約は破棄する!いいな!?さっさと了承したら、速やかに出ていけ!」
「ですから婚約などしていないと何度も言ったら分かるのです?人違いですわ」
「まだ言うかっ!!」
「まだ言うも何も、事実です。大体、無礼だと言っています。初対面の相手に対してこのような行動。」
「本当にめんどくさい女だ…!しらばっくれて、馬鹿にして……っ!!どうせ、お前が僕に惚れて無理やり婚約したんだろう!?それに、無礼というならお前の方だ!たかが公爵令嬢のくせに!!」
「はあ……」
「きゃっ!ルゲイン君っ。睨まれたあ!怖いぃ!」
「何っ!?見目ばかり美しければ、僕の隣にでも立てると思ったのか!?ふんっ、勘違いも甚だしいな!リリーナを嫉妬で睨みつけるような性悪な女に、僕が靡くわけ無いだろう!?」
「睨みつけてなどおりません。二人とも、はっきり申し上げて自意識過剰ですわ」
話が延長線上にしか重なっていかなく、全く呆れ果てた時、パールの耳に可愛らしいソプラノが聞こえてきた。パール達3人の声のみが響いていた会場では、その声は耳に痛いほどよくら聞こえ、同時に目の前のバカ二人の誤解を解く材料を見つけた時であった。
「ルゲイン様の婚約者は、私ですっ…!!そのお方は全くの別人ですわ……!」
「口の聞き方を改めろ、公爵令嬢。余計な足掻きはよしたほうがいいだろう」
「ルゲイン君……見逃して上げて?ねっ?」
「リリーナ……」
腕を絡めて、熱っぽく見つめ合う目の前の二人にパールはげんなりとした。周りの貴族は困惑したように静観しているし、割って入ってくることはないだろう。
そも、何故全くこちらの話を聞かないのか、理解に苦しむ。人のお話はちゃんと聞きましょうだなんて、平民の5歳児でも知っていることだ。
「あの、もう用がないのでしたら、私戻ってもよくて?」
そう言うと、二人の甘い雰囲気を壊したからか、不機嫌そうに眉を寄せてパールを睨みつけた。
それにパールは眉一つ動かさず、さっさと答えてくれと言葉を待った。
「……おい、まだ終わっていないだろう。それくらいかんがえたら分かるだろうに……大体、今僕はリリーナと話していたんだ!」
「ルゲイン君っ。きっと、ルゲイン君の気を引きたかったんだよお…だって、さっきから私のこと怖あい目で見てくるの……」
「性懲りもなく、リリーナに嫉妬しているのか!本当に、貴様のような女と婚約しなくてよかった!リリーナ、怖かっただろう。大丈夫か?」
「大丈夫だよぉ。それより、ちゃあんとあの人とお話しなくちゃっ」
鼻にかかるような甘ったるい声でそう言うリリーナに、パールは本当に人違いなのに……、というか、話って一方的に話して勝手にいちゃついてるだけでは…??と考えたが、口には出さなかった。どうせ聞かないだろうと分かっていたので。
「ゴホンっ、兎に角っ!僕たちの婚約は破棄する!いいな!?さっさと了承したら、速やかに出ていけ!」
「ですから婚約などしていないと何度も言ったら分かるのです?人違いですわ」
「まだ言うかっ!!」
「まだ言うも何も、事実です。大体、無礼だと言っています。初対面の相手に対してこのような行動。」
「本当にめんどくさい女だ…!しらばっくれて、馬鹿にして……っ!!どうせ、お前が僕に惚れて無理やり婚約したんだろう!?それに、無礼というならお前の方だ!たかが公爵令嬢のくせに!!」
「はあ……」
「きゃっ!ルゲイン君っ。睨まれたあ!怖いぃ!」
「何っ!?見目ばかり美しければ、僕の隣にでも立てると思ったのか!?ふんっ、勘違いも甚だしいな!リリーナを嫉妬で睨みつけるような性悪な女に、僕が靡くわけ無いだろう!?」
「睨みつけてなどおりません。二人とも、はっきり申し上げて自意識過剰ですわ」
話が延長線上にしか重なっていかなく、全く呆れ果てた時、パールの耳に可愛らしいソプラノが聞こえてきた。パール達3人の声のみが響いていた会場では、その声は耳に痛いほどよくら聞こえ、同時に目の前のバカ二人の誤解を解く材料を見つけた時であった。
「ルゲイン様の婚約者は、私ですっ…!!そのお方は全くの別人ですわ……!」
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