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10 全てを知った元悪役令嬢は燃え尽きる
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この世界はゲームではないが、ゲームと同じような状況になっている。
ラーニアの婚約者の第二王子、その従者の騎士、宰相の息子、教皇の息子はフィオリーナに夢中。ラーニアの目を盗んで校内のあっちゃこっちゃで集団イチャイチャを見せつけてるから、ラーニア以外の学園の生徒はみんな知ってる。
そうなるとフィオリーナ嬢にアンチも湧きそうなもんだが、それはどうやっているのか。
いちゃもんつけてきた良家の子女に対しては、宰相の息子が親の弱みを握ってそれをちらつかせ大人しくさせている。
庶民相手には王子の騎士が力付くで黙らせるか、教皇の息子が信心が足りない者として教会に密告、これも親サイドから黙らせている。
それでもフィオリーナ嬢の味方にならない者は、なんとフィオリーナの魅了の魔法でごまかしている。
しかし、そうやって黙らせたのはほんの一握りの生徒。
殆どの生徒はフィオリーナが相手の話を聞いてやり、あなたの味方と囁いただけでフィオリーナの影の支持者になるそうな。
つまりは。
「ラーニア様って人望ないのよね。自分じゃなーんにもやらないし、やってもらって当然な態度だから。そのくせ本人は自信満々だからチョロいのよね」
ラーニアだった時、私の睥睨一つで全て動かせる、なんて本気で思ってた私はもう涙も出ない。
ああぁ、厨二病まぶした性格てこれか。床を転げ回りたいくらい恥ずかしいけれど、今その元気もないわ。
第二王子のエセルバートはみんなが善意で寄せた情報を元に、卒業パーティーでラーニアの罪を暴くそうな。
その情報が正しかろうが嘘だろうが、これだけ支持を失い、王子に公然と拒否られてはそれ自体が不祥事。いくら公爵家の令嬢だとしても、人生おしまいである。
結構頑張って公爵令嬢してた私は真っ白に燃え尽きた状態です。
あーあ、どんなに上品に振る舞おうが、美容もマナーもバッチリだろうが、学園の成績トップをキープしようが、ふふ、卒業目前、全て水の泡。
私の成績は公爵家への忖度のお陰と専らの噂らしい。
ほんと頑張ったんだけどな。
目の隈なんか見せられないから睡眠はきっかり8時間。優雅な社交タイムも気を抜かず、美容ケアも念入りに。
私にとっては全てが戦いだったけど、傍目には、余裕でズルそうに見えたかもしれない。
一人になればひたすら勉強。プライドから家庭教師もつけずに独りでひたすら猛勉強。一秒だって無駄にしないで頑張ってたのに。
そうやって必死の思いで得た成績も容姿も立ち居振る舞いも、公爵令嬢としては当然のものとみなされて。
いくらやってもゴールの見えない努力に疲れて、多分、それでだな、あんないじめやってたの。前世も関係あるそうだけど、絶対それだけじゃない。
まあともかく見事な裸の王様だったわけだラーニアってば。
ふふふ、ラーニアの人生終わった。終わったわ……。
「ハイハイ、そこの黄昏てる方、大丈夫です終わっちゃいません。あなたはこれからフィオリーナ嬢ですから、こっから美味しいとこどりできますよ!」
どーにでもなあれと呟いていた私を、サーリセ様がにこやかに励ましてくださる。
「あなたは佐藤花さん、生まれ変わってラーニアさん、そしておめでとう新しいフィオリーナさん」
サーリセ様がそういうと、不思議なことに、私はフィオリーナだ、とストンと納得はする。しかしながらすぐにじわじわと罪悪感にかられてくる。イジメをしたのは私なんだから。
「全然嬉しくないです。断罪するなんて」
「はっ。アンタならやれるわよ。佐藤さんなんだったら、そういうの好きでしょ?」
そう言う元フィオリーナ嬢を、私は目を丸くして見つめてしまった。
ラーニアの婚約者の第二王子、その従者の騎士、宰相の息子、教皇の息子はフィオリーナに夢中。ラーニアの目を盗んで校内のあっちゃこっちゃで集団イチャイチャを見せつけてるから、ラーニア以外の学園の生徒はみんな知ってる。
そうなるとフィオリーナ嬢にアンチも湧きそうなもんだが、それはどうやっているのか。
いちゃもんつけてきた良家の子女に対しては、宰相の息子が親の弱みを握ってそれをちらつかせ大人しくさせている。
庶民相手には王子の騎士が力付くで黙らせるか、教皇の息子が信心が足りない者として教会に密告、これも親サイドから黙らせている。
それでもフィオリーナ嬢の味方にならない者は、なんとフィオリーナの魅了の魔法でごまかしている。
しかし、そうやって黙らせたのはほんの一握りの生徒。
殆どの生徒はフィオリーナが相手の話を聞いてやり、あなたの味方と囁いただけでフィオリーナの影の支持者になるそうな。
つまりは。
「ラーニア様って人望ないのよね。自分じゃなーんにもやらないし、やってもらって当然な態度だから。そのくせ本人は自信満々だからチョロいのよね」
ラーニアだった時、私の睥睨一つで全て動かせる、なんて本気で思ってた私はもう涙も出ない。
ああぁ、厨二病まぶした性格てこれか。床を転げ回りたいくらい恥ずかしいけれど、今その元気もないわ。
第二王子のエセルバートはみんなが善意で寄せた情報を元に、卒業パーティーでラーニアの罪を暴くそうな。
その情報が正しかろうが嘘だろうが、これだけ支持を失い、王子に公然と拒否られてはそれ自体が不祥事。いくら公爵家の令嬢だとしても、人生おしまいである。
結構頑張って公爵令嬢してた私は真っ白に燃え尽きた状態です。
あーあ、どんなに上品に振る舞おうが、美容もマナーもバッチリだろうが、学園の成績トップをキープしようが、ふふ、卒業目前、全て水の泡。
私の成績は公爵家への忖度のお陰と専らの噂らしい。
ほんと頑張ったんだけどな。
目の隈なんか見せられないから睡眠はきっかり8時間。優雅な社交タイムも気を抜かず、美容ケアも念入りに。
私にとっては全てが戦いだったけど、傍目には、余裕でズルそうに見えたかもしれない。
一人になればひたすら勉強。プライドから家庭教師もつけずに独りでひたすら猛勉強。一秒だって無駄にしないで頑張ってたのに。
そうやって必死の思いで得た成績も容姿も立ち居振る舞いも、公爵令嬢としては当然のものとみなされて。
いくらやってもゴールの見えない努力に疲れて、多分、それでだな、あんないじめやってたの。前世も関係あるそうだけど、絶対それだけじゃない。
まあともかく見事な裸の王様だったわけだラーニアってば。
ふふふ、ラーニアの人生終わった。終わったわ……。
「ハイハイ、そこの黄昏てる方、大丈夫です終わっちゃいません。あなたはこれからフィオリーナ嬢ですから、こっから美味しいとこどりできますよ!」
どーにでもなあれと呟いていた私を、サーリセ様がにこやかに励ましてくださる。
「あなたは佐藤花さん、生まれ変わってラーニアさん、そしておめでとう新しいフィオリーナさん」
サーリセ様がそういうと、不思議なことに、私はフィオリーナだ、とストンと納得はする。しかしながらすぐにじわじわと罪悪感にかられてくる。イジメをしたのは私なんだから。
「全然嬉しくないです。断罪するなんて」
「はっ。アンタならやれるわよ。佐藤さんなんだったら、そういうの好きでしょ?」
そう言う元フィオリーナ嬢を、私は目を丸くして見つめてしまった。
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