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第1話 嘘から本気にさせられちゃった恋のおはなし。
1−18 *
しおりを挟むちゅくちゅくとそこから水音が聞こえはじめて、わたしは真っ赤になった。なんだか妙に耳に響いて、落ち着かなくて。
それに気づいたのか、ラルフは気を良くしたように笑いながら、ますます指を激しく動かしてく。
背中がもぞもぞするのも落ち着かなくて彼に擦り寄ると、彼もまた、わたしに体をくっつけて。ついでに、その存在を意識させるように、熱い猛りも押しつけてくる。
「ラルフ……」
「んー?」
「あのっ、おちつか、ないっ」
「いいんだよ。そのままドキドキしてろ?」
「っ。あたって、まして……」
「あててんだ」
「っ……」
そうですか。
……そうですよね。
わかってたけど、ますます意識しちゃって、顔が熱くて。
そしたら彼は、そろそろか、なんてつぶやいて。
棚から出してたもうひとつの瓶の中から、今度は小さめの、ほんのりと桃色をした実のようなものを取り出す。
「これ、何かわかるな?」
そう言ってわたしを見下ろす彼の目は、欲に満ちていた。
「っ……」
もちろん、わたしだって噂だけは聞いたことがある。というよりも、いわゆる大人としての常識なわけで。
こくり、と首を縦に振ると、彼は満足そうにその小さな実を口にくわえる。そのまま少しだけ顔を寄せて、じっとわたしを見つめている。
うううっ。
これ、ほんとに、こんな風にするんだ……。
っていうのもね? 彼が咥えているのは、いわゆる魔法アイテムで……その……避妊するための、薬のようなもので。
それを咥えた男の人の口から、直接その実を口で受け取るのが……オーケーのサインと巷では言われておりまして……。
じっとわたしのほうを見ている彼と目があうと、彼の熱っぽい眼差しに抗うことなんかできるはずもなく。
……ううん。
お腹の奥、もう、熱くて。
わたしも……期待しているの、自覚してるよ?
「ラルフ――」
だからわたしも、ちょっと頭を持ち上げて、彼に顔を近づける。
無理のないようにって、ラルフはわたしの首の後ろを支えてくれて――彼の口から、その実を受け取って。
口の中で、ぷちゅん、と噛む。
なかからじゅわりと甘酸っぱい液体が出てきて、それを飲みほして。うっとりしながら、彼を見つめると、彼も眦を赤くしていて。
「もう、我慢できねえ。――嫌とは、いわねえよな?」
「…………ん」
もちろん。
そうやってこくりと頷くと、彼はわたしの太ももを持ち上げる。
体勢がちょっと恥ずかしくてそわそわしてるけど、それも、彼のモノが押し当てられるまで。
熱くて、なんだかすごい存在感のモノが、わたしの入り口にぐり、と寄せられると、呼吸するのも難しくなっちゃって。
心臓が、めちゃくちゃ暴れてる。
だって、彼のモノ、すごく大きくて、ぼこぼこしてて……。
グロテスクなそれがわたしのなかに挿入ると思うと、期待と緊張で、もうよくわかんなくて。
「……っ!」
ぐ、っと、彼が腰に力を入れるのがわかった。
ラルフが塗り込んでくれたローションのおかげで、滑りはよくなっているみたいだけど、それでも、やっぱり苦しい。
ぐ、ぐ、ぐ、って少しずつ押し込まれていく圧迫感に、わたしは泣きそうになりながら息をして。
「ラルフ……っ」
「ん。ほら、息して」
「ぅん、……んっ」
何度も何度も頷きながら、わたしは自分自身を抱きしめる。
狭いなかを押し広げながら、それでも彼が挿入ってくるのがわかる。それがうれしくて、もっと、深く繋がりたくて。
「き……きす……」
「ん?」
「キス、して……」
気がつけばおねだりしてて、彼はくしゃりと笑う。
手を伸ばしてきて、やんわりとわたしの腕をほどくようにして、指をからめる。
上半身を寄せて、唇を重ねながら――、
ぐっと、なにか。狭くて、つっかえていたところを押し分けて、どんって。衝撃が走って。
「ぁ……」
「ん。よく頑張った……」
挿入ったんだって、わかる。
繋がった。
ちゃんと、繋がれた。
唇が触れあう位置でふふふと笑いあい、抱きしめあう。
あのラルフと繋がる日がくるだなんて、ほんとうに思いもよらなかったけど、胸がいっぱいで。
「すき……」
なんて、無意識に呟いてたら、彼はぐっと唾を飲み込んで。
「……いや。うん。…………がんばって、優しく、するからよ」
なんて、自分に言い聞かせるように呟いてた。
反則だろ、とも呟いてたけど……。
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