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ブレイバーに渡る
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ギデオンクラスターに所属する事になったシュウ達は様々な恩恵を運営から受ける事になった。
その中の1つが“タイムシフト”と言う機能だ。
NOの世界は1秒毎に30分世界が進んでいる。
今は日曜日で学校はないが学校が始まれば、7~8時間は学校に拘束されればNOとの時間の空きは約580日となってしまう。
その間に何らかの事件が起きればシュウ達が対応できないと言う事もあり千鶴から提供されたのがタイムシフトだ。
これによりNO世界の任意時間に跳ぶ事ができる。
この説明を聴いたシュウは一種のタイムマシンなのではないか?と考えてしまった。
疑似的とは言え、過去に跳躍しているのだから、そう受け取れなくもないからだ。
それにログアウト後にNOの世界を現実世界で覗いた後にこの機能を使えば都合の悪いNO世界の過去を改変する事も可能だ。
ただ、この機能はシュウ達が最後にログアウトした時点から前の時間軸には動けないと言う制約があるようだ。
千鶴曰く「時間操作はただでさえ、安定性が無いから何らかの制約を設けて用途を限定しないと安定して使えない」からと説明を受けた。
もっとも千鶴自身、シュウの言うような使い方をしてでもNOの過去を改変する事に意味があると説明しているのでギデオンクラスターとしては正しいようだ。
加えて、運営の権限によりシュウ達のNOでの活動と現実の活動がリンクするようになった。
どう言う事かと言えば、NOで食事をすれば現実でも食事した事になり、水を飲めば水を飲んだ事になりトイレに行けばトイレした事になると言ったモノだ。
これによりシュウ達はNO内で無制限行動が可能となった。
これはギデオンクラスターとしての使命を最大効率で行う為の仕様と言う事らしい。
現実世界でのお手洗いや食事をする時間と言う”無駄”を最大限削減した実に効率的な手法だ。
運営から最大限の支援を受けギデオンクラスターとしての使命を果たすと言う使命を決めたシュウ達は現在、当初の目的通りブレイバー領内にある宝玉の素材を収集する為にネクシルで大陸を横断しブレイバーの入出国を管理するマイアポートを経由し問題なく入国を済ませ道中で魔物などを狩りながらネクシルで北部にある山脈、その近くにあるマイスシティと言うところを目指す。
近くでネクシルを降り空間収納で格納してからアーカイブの身分証を取り出しそのまま城内に入った。
本来なら機体と共に入国すると機体はこの国の騎士の管理下に一時的に置かれ入国に時間がかかってしまうが空間収納があると本当にその辺が楽だった。
そして、門を潜った先には巨大な白亜の都市が広がっていた。
「うわぁぁぁぁ」
「す、すごいわね」
「……何とも落ち着きのない色ですね」
カナは感嘆の声をあげマナは呆気に取られシュウはこの色合いが意に沿わないようだった。
良くも悪くも白い。
まるで街そのモノが正義を誇示するようにその白さを際立たせているようであった。
外観で言えば美しい白ではあったが内観的には正義を誇示するようでシュウの心証はあまり良くなかった。
門の向こうには顔がそれぞれ違うこの国を代表するかのような剣を番えた大理石で出来た騎士の石造が縦列に鎮座していた。
(どことなく恣意的ですね……)
こう言う趣向はあまりシュウは好まない。
やっぱり、自分にはエミルトシティのような落ち着いた街並みの方が合っていると思い、早くも帰りたいと思い始めていた。
だが、それも素材を手に入れるまでの辛抱だと奮い立たせ、丁度昼時だったのもあり近くのレストランに入った。
レストランの扉を開けるとそこには多くのプレイヤーがおり仲睦まじく食事をしていた。
だが、一部のプレイヤーがこちらに視線を向けてひそひそと話し始めた。
どうやら、ブレイバーにまで自分達の存在が知れ渡っているとこの時、ようやく自覚した。
テーブル席に腰かけメニュー開いてNPCに注文を頼んだ頃にシュウ達に声をかける者がいた。
「おぉ、シュウじゃないか?」
その馴れ馴れしい言い方に思わずそちらに目線を向けるとそこには栗色の髪に緑色の外套を着た吊り目の男と茶髪の筋骨隆々の格闘家みたいな豪胆そうな男がいた。
話かけて来たのは緑の外套の方だ。
(アレ?誰でしたっけ?)
完全に忘れた訳ではなく以前、エミルトシティで会った2人組なのは覚えている。
だが、名前が思い出せない。
シュウは障害の所為もあり対人識別能力が極めて低い。
もっと、精確に言うなら顔すら覚えていない。
最後に出会った時と同じ姿で自分に馴れ馴れしく話す第3者と言う情報をから“あの時の人物と同一人物だ”と客観的に判断しているだけに過ぎない。
だが、失礼にも今更、名前を聴くわけにもいかないと思いどうすれば良いかと悩んでいるとカナが助け舟を出してくれた。
「ドレイクさん、ラッシュさん。お久しぶりです。ドレイクさんは以前にも増して緑が引き立ちますね」
(カナ、ナイスです。そうだ。この2人はドレイクとラッシュで緑の方がドレイクでしたね)
「まぁそうかもな。この装備もだいぶ使い込んだからな……だが、オレとしてはそろそろ、新品が欲しいところだがな」
「似合っていると思いますけど……」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、やっぱりプレイヤーとしてはお前らみたいな1級品の装備が欲しいね」
カナとドレイクの他愛も無い話のお陰で対人識別する時間にゆとりができた事でシュウも話易くなった。
「たしか、ドレイク達は巨人のUWEの討伐に向かったのですよね?その後、どうですか?」
すると、ラッシュが口を開く。
「どうも何もねーよ。あの巨人、反則的に強すぎるぜ。あの巨体で動きは軽快な上に頭も良い。しかも、不意打ちの類もきかねーと来た」
「不意打ちが効かない?」
「そうだ。どうもあの巨人、どの包囲から攻撃しようと初撃は絶対無効と同じ攻撃を2回連続で放ってもそれも無効にするとか言う頭可笑しいスキルを持っているみたいでな」
「ファースト、セカンドアタックを無効にするスキルですか……」
「しかも、アイツの周辺では通常時よりも魔術の威力半減効果もあるらしくてな……討伐隊もかなり行き詰っているよ……」
シュウはこれまで数多くのUWEを倒したがその巨人は聴いた限り十分に強い。
魔術を半減するならイグニスビットが本来の効果を発揮しない。
要塞破砕 ガルバチュアも効果が薄くなり新しく手に入れた破壊術も効果が薄いかも知れない。
その話を聴くと自分達の戦いが魔術を支軸に戦っており魔術を封じられると本来の力を発揮できない可能性があると示唆できる話だった。
(今後の事も考えてアンチマジック対策をしておくべきかも知れない)
シュウはそう考え始めた。
すると、ドレイクが面白い話を口にした。
「まぁ、そのせいで一部のプレイヤーが巨人の倒す切り札を得る為に最近、ガチャを始める奴も多くてな。巨人と戦う前に資金切れで大敗するプレイヤーも最近増えているせいで巨人への難易度も相対的に上がってるわけなのよ」
「ガチャですか……アレに頼らないとならないほど追い詰められていると?」
シュウもガチャの存在は知っている。
ムナを使って回す宝くじだ。
ガチャを回す為に課金する者もいるがこのゲームは課金とムナの効率が悪いのでそれをする者は多くないが一部の金持ちはその方法で大量にガチャを回しているようだ。
だが、ガチャの確率はかなり“しょっぱい”
SRを当てればまだ、良い方だと言われるくらいには倍率が高く、SSRを当てたと言うプレイヤーは聴いた事がない。
普通のゲームと比べてもガチャが厳しいゲームなのは言うまでもないがシュウとしては製作者ちづるの意図を知っているので何故、ガチャが厳しいのか何となく想像はできた。
多分、真っ当なやり方ではガチャは巡って来ない。
それに気づき真っ当なやり方を捨てた先にプレイヤーを強くすると言う製作者の思惑があるのだとシュウは予測していた。
(まぁ……それに関しては心当たりがありますからね……これを機に試してみますか……)
「ドレイク。良ければ、この後、そのガチャがある場所に案内して貰えますか?」
「ん?別に構わないが……やるつもりなのか?」
「えぇ、少し試してみた事がありましてね」
その時のドレイクは微かに感じていた。
シュウの顔は不敵に笑っていた。
この男は何かに感づいているとドレイクは判断しそれが自分の有益になると思いシュウの申し出を引き受ける事にした。
それから一緒にテーブルに着き、食事を済ませた後にドレイク達の案内でシュウ達がガチャがある街の繁華街のNPCショップに向かった。
その中の1つが“タイムシフト”と言う機能だ。
NOの世界は1秒毎に30分世界が進んでいる。
今は日曜日で学校はないが学校が始まれば、7~8時間は学校に拘束されればNOとの時間の空きは約580日となってしまう。
その間に何らかの事件が起きればシュウ達が対応できないと言う事もあり千鶴から提供されたのがタイムシフトだ。
これによりNO世界の任意時間に跳ぶ事ができる。
この説明を聴いたシュウは一種のタイムマシンなのではないか?と考えてしまった。
疑似的とは言え、過去に跳躍しているのだから、そう受け取れなくもないからだ。
それにログアウト後にNOの世界を現実世界で覗いた後にこの機能を使えば都合の悪いNO世界の過去を改変する事も可能だ。
ただ、この機能はシュウ達が最後にログアウトした時点から前の時間軸には動けないと言う制約があるようだ。
千鶴曰く「時間操作はただでさえ、安定性が無いから何らかの制約を設けて用途を限定しないと安定して使えない」からと説明を受けた。
もっとも千鶴自身、シュウの言うような使い方をしてでもNOの過去を改変する事に意味があると説明しているのでギデオンクラスターとしては正しいようだ。
加えて、運営の権限によりシュウ達のNOでの活動と現実の活動がリンクするようになった。
どう言う事かと言えば、NOで食事をすれば現実でも食事した事になり、水を飲めば水を飲んだ事になりトイレに行けばトイレした事になると言ったモノだ。
これによりシュウ達はNO内で無制限行動が可能となった。
これはギデオンクラスターとしての使命を最大効率で行う為の仕様と言う事らしい。
現実世界でのお手洗いや食事をする時間と言う”無駄”を最大限削減した実に効率的な手法だ。
運営から最大限の支援を受けギデオンクラスターとしての使命を果たすと言う使命を決めたシュウ達は現在、当初の目的通りブレイバー領内にある宝玉の素材を収集する為にネクシルで大陸を横断しブレイバーの入出国を管理するマイアポートを経由し問題なく入国を済ませ道中で魔物などを狩りながらネクシルで北部にある山脈、その近くにあるマイスシティと言うところを目指す。
近くでネクシルを降り空間収納で格納してからアーカイブの身分証を取り出しそのまま城内に入った。
本来なら機体と共に入国すると機体はこの国の騎士の管理下に一時的に置かれ入国に時間がかかってしまうが空間収納があると本当にその辺が楽だった。
そして、門を潜った先には巨大な白亜の都市が広がっていた。
「うわぁぁぁぁ」
「す、すごいわね」
「……何とも落ち着きのない色ですね」
カナは感嘆の声をあげマナは呆気に取られシュウはこの色合いが意に沿わないようだった。
良くも悪くも白い。
まるで街そのモノが正義を誇示するようにその白さを際立たせているようであった。
外観で言えば美しい白ではあったが内観的には正義を誇示するようでシュウの心証はあまり良くなかった。
門の向こうには顔がそれぞれ違うこの国を代表するかのような剣を番えた大理石で出来た騎士の石造が縦列に鎮座していた。
(どことなく恣意的ですね……)
こう言う趣向はあまりシュウは好まない。
やっぱり、自分にはエミルトシティのような落ち着いた街並みの方が合っていると思い、早くも帰りたいと思い始めていた。
だが、それも素材を手に入れるまでの辛抱だと奮い立たせ、丁度昼時だったのもあり近くのレストランに入った。
レストランの扉を開けるとそこには多くのプレイヤーがおり仲睦まじく食事をしていた。
だが、一部のプレイヤーがこちらに視線を向けてひそひそと話し始めた。
どうやら、ブレイバーにまで自分達の存在が知れ渡っているとこの時、ようやく自覚した。
テーブル席に腰かけメニュー開いてNPCに注文を頼んだ頃にシュウ達に声をかける者がいた。
「おぉ、シュウじゃないか?」
その馴れ馴れしい言い方に思わずそちらに目線を向けるとそこには栗色の髪に緑色の外套を着た吊り目の男と茶髪の筋骨隆々の格闘家みたいな豪胆そうな男がいた。
話かけて来たのは緑の外套の方だ。
(アレ?誰でしたっけ?)
完全に忘れた訳ではなく以前、エミルトシティで会った2人組なのは覚えている。
だが、名前が思い出せない。
シュウは障害の所為もあり対人識別能力が極めて低い。
もっと、精確に言うなら顔すら覚えていない。
最後に出会った時と同じ姿で自分に馴れ馴れしく話す第3者と言う情報をから“あの時の人物と同一人物だ”と客観的に判断しているだけに過ぎない。
だが、失礼にも今更、名前を聴くわけにもいかないと思いどうすれば良いかと悩んでいるとカナが助け舟を出してくれた。
「ドレイクさん、ラッシュさん。お久しぶりです。ドレイクさんは以前にも増して緑が引き立ちますね」
(カナ、ナイスです。そうだ。この2人はドレイクとラッシュで緑の方がドレイクでしたね)
「まぁそうかもな。この装備もだいぶ使い込んだからな……だが、オレとしてはそろそろ、新品が欲しいところだがな」
「似合っていると思いますけど……」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、やっぱりプレイヤーとしてはお前らみたいな1級品の装備が欲しいね」
カナとドレイクの他愛も無い話のお陰で対人識別する時間にゆとりができた事でシュウも話易くなった。
「たしか、ドレイク達は巨人のUWEの討伐に向かったのですよね?その後、どうですか?」
すると、ラッシュが口を開く。
「どうも何もねーよ。あの巨人、反則的に強すぎるぜ。あの巨体で動きは軽快な上に頭も良い。しかも、不意打ちの類もきかねーと来た」
「不意打ちが効かない?」
「そうだ。どうもあの巨人、どの包囲から攻撃しようと初撃は絶対無効と同じ攻撃を2回連続で放ってもそれも無効にするとか言う頭可笑しいスキルを持っているみたいでな」
「ファースト、セカンドアタックを無効にするスキルですか……」
「しかも、アイツの周辺では通常時よりも魔術の威力半減効果もあるらしくてな……討伐隊もかなり行き詰っているよ……」
シュウはこれまで数多くのUWEを倒したがその巨人は聴いた限り十分に強い。
魔術を半減するならイグニスビットが本来の効果を発揮しない。
要塞破砕 ガルバチュアも効果が薄くなり新しく手に入れた破壊術も効果が薄いかも知れない。
その話を聴くと自分達の戦いが魔術を支軸に戦っており魔術を封じられると本来の力を発揮できない可能性があると示唆できる話だった。
(今後の事も考えてアンチマジック対策をしておくべきかも知れない)
シュウはそう考え始めた。
すると、ドレイクが面白い話を口にした。
「まぁ、そのせいで一部のプレイヤーが巨人の倒す切り札を得る為に最近、ガチャを始める奴も多くてな。巨人と戦う前に資金切れで大敗するプレイヤーも最近増えているせいで巨人への難易度も相対的に上がってるわけなのよ」
「ガチャですか……アレに頼らないとならないほど追い詰められていると?」
シュウもガチャの存在は知っている。
ムナを使って回す宝くじだ。
ガチャを回す為に課金する者もいるがこのゲームは課金とムナの効率が悪いのでそれをする者は多くないが一部の金持ちはその方法で大量にガチャを回しているようだ。
だが、ガチャの確率はかなり“しょっぱい”
SRを当てればまだ、良い方だと言われるくらいには倍率が高く、SSRを当てたと言うプレイヤーは聴いた事がない。
普通のゲームと比べてもガチャが厳しいゲームなのは言うまでもないがシュウとしては製作者ちづるの意図を知っているので何故、ガチャが厳しいのか何となく想像はできた。
多分、真っ当なやり方ではガチャは巡って来ない。
それに気づき真っ当なやり方を捨てた先にプレイヤーを強くすると言う製作者の思惑があるのだとシュウは予測していた。
(まぁ……それに関しては心当たりがありますからね……これを機に試してみますか……)
「ドレイク。良ければ、この後、そのガチャがある場所に案内して貰えますか?」
「ん?別に構わないが……やるつもりなのか?」
「えぇ、少し試してみた事がありましてね」
その時のドレイクは微かに感じていた。
シュウの顔は不敵に笑っていた。
この男は何かに感づいているとドレイクは判断しそれが自分の有益になると思いシュウの申し出を引き受ける事にした。
それから一緒にテーブルに着き、食事を済ませた後にドレイク達の案内でシュウ達がガチャがある街の繁華街のNPCショップに向かった。
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