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第一章
5
朝からダンスの稽古は必須、所作は貴族らしく、テーブルマナーは常識ですし、バレエも歌劇も会話に困らない程度に知識を習得、ピアノは人前で披露が出来るまで、絵画も骨董への造詣も深くと鑑定三昧、貴族名鑑も頭に叩き込まれました。
「つらたん!!これならドラゴンと戦ってた方がマシ!!」
「坊ちゃま、これも根性ですわ!!」
「アリア、根性しか言わない!!」
「次はお茶会のイメージトレーニングですわぁぁ!」
「主催しねぇし呼ばれねぇぇぇよぉぉ!!」
「だとしてもですわぁぁ!!」
「理不尽っ!!」
◆◆◆◆◆◆
そんなこんなで貴族としての教育を受けながら、冒険者としての依頼をこなす日々が続きました。
そしてクインテスも10歳です。
貴族知識もマナーもその他諸々もマスターし、冒険者ランクもBランクに上がりました。
このランクは、大人冒険者のベテラン勢と同じレベルです。
アリアのスパルタOJTで、クインテスも強くなりました。
そして、貴族としての立ち振舞も、完璧に習得する事が出来ました。
なので、ちょっと品の良いお坊ちゃん冒険者に成長したのです。
「アリアー、アリアー、今日の依頼はどれー?」
「坊ちゃま、そろそろご自身で依頼を選ぶ練習をいたしましょう」
「え!?いいの!?」
今までの依頼は、全てアリアが決めていました。
故に、モンスター討伐が殆どで、かつクインテスの技量より難易度の高いモノが選ばれがちでした。
そんな選定から、今度は自分で選ぶのです。
「えぇ~……どれにしよう?迷っちゃう~……」
手を頬に当てて、さながら夕飯のメニューを決め兼ねるスーパーでうろつくお母さんです。
「よしっ!今日はこの薬草採取だ!!」
薬草採取なんて、低ランクの依頼かと思ってみれば、依頼レベルはA。なかなかに高い依頼でした。
「なるほど?マリィの葉の採取……妥当性はありますね。さすが坊ちゃまですわ」
自分のランクより一個上の依頼ランクを選ぶのは、アリア仕込みです。クインテスは、何も疑問を持たずにAランクの依頼を手にしました。
◆◆◆◆◆
「いっつもモンスター討伐だったから、たまには薬草採取と思って選んでみたけど……マリィの葉……見つかんない……」
早速、依頼の為に魔の森を抜け、その先のチミイルの森に入り、薬草を探しました。
「チミイルの森」とは、魔の森のその先の森で、高ランクの冒険者でないと辿り着く事が出来ず、辿り着いたとしても、本当に心身共に鍛えられた冒険者でないと100%心身が壊れてしまうと言われている森でした。
モンスターは格段に強くなり、合わせて奇々怪々な事が起こると言われている森なのです。
そんな森に、クインテスとアリアはサクっと辿り着き、入り込み、歩くたびに起こる怪異も物ともせず、なんかつよい剣を振り回しながら奥へ奥へと探すのでした。
「アリアー、ホントにここにマリィの葉って生えてんのか?」
怪異に満ちたモンスターをザシュザシュするクインテス。
「それは坊ちゃまがお調べになることですわ」
おどろおどろしい魔植物を拳でゴスゴスするアリア。
「アリアのけちんぼー」
「これも根性ですわ」
「あ、コレじゃね?」
そう言って、クインテスは歩みの先に見えた小さな葉の群生を見つけました。
「えぇーっと……『鑑定!』」
手のひらを広げて、その群生に鑑定魔法をかけます。
すると、葉の群生は薄く光を放ち、チラチラと文字が浮かび上がってきました。ちなみに、この文字は魔法をかけた者、もしくは魔法をかけた者より強い魔力を持った者しか見えないとされています。
「おぉー……ビンゴ!マリィの葉じゃーん!!ようやく見つけた!!んじゃぁ根こそぎ採取して早く帰ろうぜ」
「坊ちゃま!!それはチョメ!!ですわ!」
スコン、とアリアの手刀がクインテスの頭上に降り……ようとしたのですが、すんでのところでクインテスは避けました。しかも、顔色は真っ青になり、脂汗をかいております。
「はっ……はっ……アリア……っ、なんだよいきなり!!」
そう、アリアの手刀は岩をも砕く威力なのです。
それが不意打ちで頭上に来たものですから、クインテスは己の身体能力の全てを使って避けたのです。
「生態系を壊してはなりませんわ。根こそぎ採取してしまったら、以降マリィの葉が採取できなくなってしまいます」
「そりゃ……そうだけどさ、他にもどうせ生えてるんだろ?群生一箇所減ったくらいどうだっていいだろ?」
「いいえ、なりません。坊ちゃま。坊ちゃまはマリィの葉の特性を存じて今回の依頼を受けたのですか?」
「いやぁ……ちょうどいいランクかなって、ランクだけで決めた」
「そうでしょう、そうでしょう。マリィの葉が何たるかを知っていれば、先のような発言は無いはずですわ。いいですか?マリィの葉は、とても希少な薬草なのです。人の手で育てる事が出来ず、生えている場所も不明。野生で見つけるしか無い薬草なのです。今回の群生だって、ほぼ奇跡としか言いようがないのですわ」
「へぇ……」
クインテスは、マリィの葉の事を全然知りませんでした。
「坊ちゃまが、今後も討伐中心に依頼を受けるのであれば、今後もご自身で選ぶようにと思っておりましたが、採取にもご興味があるのでしたら……」
「あるのでしたら……」
クインテスはゴクリと生唾を飲み込みました。
すると、アリアはどこからともなく黒縁メガネを取り出しスチャっとかけると、
「薬草大全千本ノックですわぁー!!!」
「やっぱりぃぃぃ!?!?!?」
そうして、クインテスは少しばかりのマリィの葉を採取し、ギルドに提出し、その後はアリアに引きずられるように屋敷へ連れ戻され、薬草を始めとする植物全般についての勉強が始まるのでした。
「つらたんっ!!でも貴族教育よりは百倍マシ!!」
「その意気ですわぁぁぁ!!!」
「つらたん!!これならドラゴンと戦ってた方がマシ!!」
「坊ちゃま、これも根性ですわ!!」
「アリア、根性しか言わない!!」
「次はお茶会のイメージトレーニングですわぁぁ!」
「主催しねぇし呼ばれねぇぇぇよぉぉ!!」
「だとしてもですわぁぁ!!」
「理不尽っ!!」
◆◆◆◆◆◆
そんなこんなで貴族としての教育を受けながら、冒険者としての依頼をこなす日々が続きました。
そしてクインテスも10歳です。
貴族知識もマナーもその他諸々もマスターし、冒険者ランクもBランクに上がりました。
このランクは、大人冒険者のベテラン勢と同じレベルです。
アリアのスパルタOJTで、クインテスも強くなりました。
そして、貴族としての立ち振舞も、完璧に習得する事が出来ました。
なので、ちょっと品の良いお坊ちゃん冒険者に成長したのです。
「アリアー、アリアー、今日の依頼はどれー?」
「坊ちゃま、そろそろご自身で依頼を選ぶ練習をいたしましょう」
「え!?いいの!?」
今までの依頼は、全てアリアが決めていました。
故に、モンスター討伐が殆どで、かつクインテスの技量より難易度の高いモノが選ばれがちでした。
そんな選定から、今度は自分で選ぶのです。
「えぇ~……どれにしよう?迷っちゃう~……」
手を頬に当てて、さながら夕飯のメニューを決め兼ねるスーパーでうろつくお母さんです。
「よしっ!今日はこの薬草採取だ!!」
薬草採取なんて、低ランクの依頼かと思ってみれば、依頼レベルはA。なかなかに高い依頼でした。
「なるほど?マリィの葉の採取……妥当性はありますね。さすが坊ちゃまですわ」
自分のランクより一個上の依頼ランクを選ぶのは、アリア仕込みです。クインテスは、何も疑問を持たずにAランクの依頼を手にしました。
◆◆◆◆◆
「いっつもモンスター討伐だったから、たまには薬草採取と思って選んでみたけど……マリィの葉……見つかんない……」
早速、依頼の為に魔の森を抜け、その先のチミイルの森に入り、薬草を探しました。
「チミイルの森」とは、魔の森のその先の森で、高ランクの冒険者でないと辿り着く事が出来ず、辿り着いたとしても、本当に心身共に鍛えられた冒険者でないと100%心身が壊れてしまうと言われている森でした。
モンスターは格段に強くなり、合わせて奇々怪々な事が起こると言われている森なのです。
そんな森に、クインテスとアリアはサクっと辿り着き、入り込み、歩くたびに起こる怪異も物ともせず、なんかつよい剣を振り回しながら奥へ奥へと探すのでした。
「アリアー、ホントにここにマリィの葉って生えてんのか?」
怪異に満ちたモンスターをザシュザシュするクインテス。
「それは坊ちゃまがお調べになることですわ」
おどろおどろしい魔植物を拳でゴスゴスするアリア。
「アリアのけちんぼー」
「これも根性ですわ」
「あ、コレじゃね?」
そう言って、クインテスは歩みの先に見えた小さな葉の群生を見つけました。
「えぇーっと……『鑑定!』」
手のひらを広げて、その群生に鑑定魔法をかけます。
すると、葉の群生は薄く光を放ち、チラチラと文字が浮かび上がってきました。ちなみに、この文字は魔法をかけた者、もしくは魔法をかけた者より強い魔力を持った者しか見えないとされています。
「おぉー……ビンゴ!マリィの葉じゃーん!!ようやく見つけた!!んじゃぁ根こそぎ採取して早く帰ろうぜ」
「坊ちゃま!!それはチョメ!!ですわ!」
スコン、とアリアの手刀がクインテスの頭上に降り……ようとしたのですが、すんでのところでクインテスは避けました。しかも、顔色は真っ青になり、脂汗をかいております。
「はっ……はっ……アリア……っ、なんだよいきなり!!」
そう、アリアの手刀は岩をも砕く威力なのです。
それが不意打ちで頭上に来たものですから、クインテスは己の身体能力の全てを使って避けたのです。
「生態系を壊してはなりませんわ。根こそぎ採取してしまったら、以降マリィの葉が採取できなくなってしまいます」
「そりゃ……そうだけどさ、他にもどうせ生えてるんだろ?群生一箇所減ったくらいどうだっていいだろ?」
「いいえ、なりません。坊ちゃま。坊ちゃまはマリィの葉の特性を存じて今回の依頼を受けたのですか?」
「いやぁ……ちょうどいいランクかなって、ランクだけで決めた」
「そうでしょう、そうでしょう。マリィの葉が何たるかを知っていれば、先のような発言は無いはずですわ。いいですか?マリィの葉は、とても希少な薬草なのです。人の手で育てる事が出来ず、生えている場所も不明。野生で見つけるしか無い薬草なのです。今回の群生だって、ほぼ奇跡としか言いようがないのですわ」
「へぇ……」
クインテスは、マリィの葉の事を全然知りませんでした。
「坊ちゃまが、今後も討伐中心に依頼を受けるのであれば、今後もご自身で選ぶようにと思っておりましたが、採取にもご興味があるのでしたら……」
「あるのでしたら……」
クインテスはゴクリと生唾を飲み込みました。
すると、アリアはどこからともなく黒縁メガネを取り出しスチャっとかけると、
「薬草大全千本ノックですわぁー!!!」
「やっぱりぃぃぃ!?!?!?」
そうして、クインテスは少しばかりのマリィの葉を採取し、ギルドに提出し、その後はアリアに引きずられるように屋敷へ連れ戻され、薬草を始めとする植物全般についての勉強が始まるのでした。
「つらたんっ!!でも貴族教育よりは百倍マシ!!」
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