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44 暇な様で、忙しい、暇な俺。
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学生の夏休みって暇な様で、意外と忙しい。
タットさんとお付き合いが始まって、その直後に兄ちゃんにタットさんを紹介して一緒にご飯を食べて……
そう、ようやく俺の夏休みが始まったと思ったのに。
結局俺はバイト三昧だった。後は大学のレポートに資格の勉強、CDフィットのイベントゲームにSNSで繋がってる友だちとオンゲでバトル。
まぁ、バイトが忙しいのは知ってた。8月もユネさんが『夏休み子育て頑張ってる保護者を応援月間』とか言って、5月同様に収益関係なく店を開けるし、枠も多く開く。そしてそこに付け込むイロトリクラスタ。どんなに営業日を増やそうとも、枠を多く開けようとも、相変わらず予約は満員御礼だった。
週一で貰える完全な休みは平日。タットさんと終日遊べる日は1日も無く8月は終わった。
それでも、一緒にご飯を食べに行ったり、俺がタットさんの家でご飯を作って一緒に食べて、そのまま家に泊まらせて貰ったり、お付き合いは順調、だと思ってる。
夜も……まぁ……2人とも大人なので……ほとんど俺が翻弄されるだけなんだけど……少しは返せていると思ってる。
終わると、いつもタットさんが愛しそうに抱きしめてくれるし。相思相愛って凄い。
俺の大学は、後期の始まりが10月だ。そのため、まるっと9月も休み。おそらく、文系の私立大学なんてどこも同じようなものだろう。
怒涛の8月が終わり、9月のイロトリは少し落ち着く。
恐らく、ユネさんも縮小モードに入っている気がする。毎年の事だ。
「ゆう君……おばちゃん……疲れちゃった……」
「8月頑張ってましたからね。それより、毎年言ってませんか?それ。あとユネさんはおばちゃんじゃなくて、お姉さんです」
「ありがと。そう……毎年言ってるのよ……けどね、今年のユネさんは一味違うのよ……疲れ具合が……」
歳だな、と思ったが口を紡ぐ。ユネさんはいつだって綺麗なお姉さんだ。
「9月……2週間まるっとイロトリおやすみしてもいいかしら?」
「はぁ!?」
雇用主であるはずのユネさんに、とんでもない反応をしてしまった。
それでも、俺のバイト代の事を心配してくれて、希望があれば短期で、ユネさんが昔働いていたコンセプトカフェの厨房に口利きするとも言ってくれたが、
「いやぁ……」
俺は尻込みをしてしまう。
恐らく、CANDY STAGEか、CANDY MILKのどちらかだろう。CANDY STAGEは、男女混合。CANDY MILKは、男性のみのコンセプトカフェ。
どっちもユネさんに言われて、厨房のヘルプに入った事があるが……めくるめく悪夢が呼び起こされた……
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【CANDY STAGE】
初めてヘルプに入ったのは高1の秋。1週間通った。因みに、まだCDフィットはリリースされていない。
前後左右に幅を取る俺は、見た目勝負な世界の方々に裏で『スノーマン』と呼ばれ笑われていた。
でも、厨房専属の方たちからは、仕事をしていれば何も言われなかったし、良いコミュニケーションが取れていた。やたらと好まれたし、最終日には「ここに居て……」と抱き締められ、俺も「お断りします」と抱き締め返した。
厨房は居心地良かったが、フロアを回すスタッフたちの好奇な目と態度が好きになれなかった。
【CANDY MILK】
高1の冬、まだCDフィットはリリースされていない。相変わらず、前後左右に幅を取る俺は、今度はCANDY MILKに送り込まれた。CANDY STAGEほどのあからさまな態度は無かったが、小柄な男たちから、やたらと腹と胸を揉まれると言うセクハラを受けた。
「うわぁ……きもちいい……」
俺は気持ち悪かった。なんでデブの体は初対面にも関わらず無断で触っていいなんて思ってるんだろう?友だちでもあるまいし。確かに高校の友だちもふざけ半分で触って来る事もあるが、それは『友だち』と言う距離感があってこその話であって、無差別に許可されるものでもない。俺は誇り高きデブだったが、距離感には厳しい。
厨房のマッチョな厨房長は、見付けると注意してくれたが、セクハラは後を絶たなかった。厨房の居心地は良かったが、フロアを回すスタッフたちが好きになれなかった。
【STAGEとMILK】
大学1年の秋、どっちにもヘルプに入った。CDフィットで別人になった俺、登場。どちらも見た目勝負な世界。別の意味で好奇の目に晒された。CANDY STAGEでは、帰る頃には何枚もの女の人のスタッフ名刺がエプロンの中に入っていた。全部捨てて帰った。CANDY MILKでも何枚か直接貰ったし、露骨に口説かれたりもした。小柄だからって全員小動物系だと思うなよ?俺を狙う奴らの目は猛禽類だった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
俺が渋い顔をしていると、ユネさんが申し訳なさそうに笑っていた。
「ゆう君には合わなかったね。あの時、人が居ないってオーナーに泣きつかれちゃったの。ゴメンね、無理やり行かせちゃって。辞めておこうね」
そう言ってくれたので、ホッとした。
そもそも、俺がイロトリでバイトをしているのは、お金が目的ではなく、ここのオリジナルスパイシーカレーが食べたくて働いてるようなものなので、長期休みに入ったとしても、特に問題ない。
俺も、ユネさんのお休みに合わせて、9月の2週間をまるっと休みにした。
学生の夏休みって暇な様で、意外と忙しい。
と、冒頭で言ってみたが、バイトが無くなってしまえば割と暇な大学生の出来上がりだ。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
【補足(念の為)】
裕也が言ってる「大人なので」の関係→ベロチュー、手コキ、兜合わせ、素股
まだ挿入ってません
タットさんとお付き合いが始まって、その直後に兄ちゃんにタットさんを紹介して一緒にご飯を食べて……
そう、ようやく俺の夏休みが始まったと思ったのに。
結局俺はバイト三昧だった。後は大学のレポートに資格の勉強、CDフィットのイベントゲームにSNSで繋がってる友だちとオンゲでバトル。
まぁ、バイトが忙しいのは知ってた。8月もユネさんが『夏休み子育て頑張ってる保護者を応援月間』とか言って、5月同様に収益関係なく店を開けるし、枠も多く開く。そしてそこに付け込むイロトリクラスタ。どんなに営業日を増やそうとも、枠を多く開けようとも、相変わらず予約は満員御礼だった。
週一で貰える完全な休みは平日。タットさんと終日遊べる日は1日も無く8月は終わった。
それでも、一緒にご飯を食べに行ったり、俺がタットさんの家でご飯を作って一緒に食べて、そのまま家に泊まらせて貰ったり、お付き合いは順調、だと思ってる。
夜も……まぁ……2人とも大人なので……ほとんど俺が翻弄されるだけなんだけど……少しは返せていると思ってる。
終わると、いつもタットさんが愛しそうに抱きしめてくれるし。相思相愛って凄い。
俺の大学は、後期の始まりが10月だ。そのため、まるっと9月も休み。おそらく、文系の私立大学なんてどこも同じようなものだろう。
怒涛の8月が終わり、9月のイロトリは少し落ち着く。
恐らく、ユネさんも縮小モードに入っている気がする。毎年の事だ。
「ゆう君……おばちゃん……疲れちゃった……」
「8月頑張ってましたからね。それより、毎年言ってませんか?それ。あとユネさんはおばちゃんじゃなくて、お姉さんです」
「ありがと。そう……毎年言ってるのよ……けどね、今年のユネさんは一味違うのよ……疲れ具合が……」
歳だな、と思ったが口を紡ぐ。ユネさんはいつだって綺麗なお姉さんだ。
「9月……2週間まるっとイロトリおやすみしてもいいかしら?」
「はぁ!?」
雇用主であるはずのユネさんに、とんでもない反応をしてしまった。
それでも、俺のバイト代の事を心配してくれて、希望があれば短期で、ユネさんが昔働いていたコンセプトカフェの厨房に口利きするとも言ってくれたが、
「いやぁ……」
俺は尻込みをしてしまう。
恐らく、CANDY STAGEか、CANDY MILKのどちらかだろう。CANDY STAGEは、男女混合。CANDY MILKは、男性のみのコンセプトカフェ。
どっちもユネさんに言われて、厨房のヘルプに入った事があるが……めくるめく悪夢が呼び起こされた……
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【CANDY STAGE】
初めてヘルプに入ったのは高1の秋。1週間通った。因みに、まだCDフィットはリリースされていない。
前後左右に幅を取る俺は、見た目勝負な世界の方々に裏で『スノーマン』と呼ばれ笑われていた。
でも、厨房専属の方たちからは、仕事をしていれば何も言われなかったし、良いコミュニケーションが取れていた。やたらと好まれたし、最終日には「ここに居て……」と抱き締められ、俺も「お断りします」と抱き締め返した。
厨房は居心地良かったが、フロアを回すスタッフたちの好奇な目と態度が好きになれなかった。
【CANDY MILK】
高1の冬、まだCDフィットはリリースされていない。相変わらず、前後左右に幅を取る俺は、今度はCANDY MILKに送り込まれた。CANDY STAGEほどのあからさまな態度は無かったが、小柄な男たちから、やたらと腹と胸を揉まれると言うセクハラを受けた。
「うわぁ……きもちいい……」
俺は気持ち悪かった。なんでデブの体は初対面にも関わらず無断で触っていいなんて思ってるんだろう?友だちでもあるまいし。確かに高校の友だちもふざけ半分で触って来る事もあるが、それは『友だち』と言う距離感があってこその話であって、無差別に許可されるものでもない。俺は誇り高きデブだったが、距離感には厳しい。
厨房のマッチョな厨房長は、見付けると注意してくれたが、セクハラは後を絶たなかった。厨房の居心地は良かったが、フロアを回すスタッフたちが好きになれなかった。
【STAGEとMILK】
大学1年の秋、どっちにもヘルプに入った。CDフィットで別人になった俺、登場。どちらも見た目勝負な世界。別の意味で好奇の目に晒された。CANDY STAGEでは、帰る頃には何枚もの女の人のスタッフ名刺がエプロンの中に入っていた。全部捨てて帰った。CANDY MILKでも何枚か直接貰ったし、露骨に口説かれたりもした。小柄だからって全員小動物系だと思うなよ?俺を狙う奴らの目は猛禽類だった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
俺が渋い顔をしていると、ユネさんが申し訳なさそうに笑っていた。
「ゆう君には合わなかったね。あの時、人が居ないってオーナーに泣きつかれちゃったの。ゴメンね、無理やり行かせちゃって。辞めておこうね」
そう言ってくれたので、ホッとした。
そもそも、俺がイロトリでバイトをしているのは、お金が目的ではなく、ここのオリジナルスパイシーカレーが食べたくて働いてるようなものなので、長期休みに入ったとしても、特に問題ない。
俺も、ユネさんのお休みに合わせて、9月の2週間をまるっと休みにした。
学生の夏休みって暇な様で、意外と忙しい。
と、冒頭で言ってみたが、バイトが無くなってしまえば割と暇な大学生の出来上がりだ。
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【補足(念の為)】
裕也が言ってる「大人なので」の関係→ベロチュー、手コキ、兜合わせ、素股
まだ挿入ってません
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