地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

13-カナタキリ は、慣らされる

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サガリ君に腕を引っ張られて、逃げるように実家を出た。
早歩きで駅を目指していたけど、ある程度実家から離れるとどちらとともなく歩くスピードが緩くなった。

「あの、僕の妹と弟がサガリ君に失礼な態度取って本当にゴメンね。やっぱり僕が1人で行けば良かったよ」

さっきのやり取りを思い出して、深々と頭を下げた。
きっと嫌な気持ちになっただろうな。
僕は慣れているから何を言われても平気だけど、サガリ君の家族は、あんな事を言わないだろうし。
ああ言う嫌味なやり取りって、初めてだったんじゃないかな?
頭を下げながら、だいぶ惨めな気持ちでいると、サガリ君は僕の後頭部を大きな手でワシャワシャと撫でてくれた。

「俺も失礼な態度取ったし、お互い様だ。なんか、話には聞いていたけど、本当にお前って妹弟きょうだいから軽んじられてるんだな」

「うぅーん。まぁ、あの2人より勉強も運動も出来なかったからね」

「そこなぁ、俺は今となっては納得いかねぇ所もあるんだけど。もう過去の話だから検証も何も無ぇもんな。両親もあんなかんじなのか?」

「そうだね。母さんも父さんも、妹と弟みたいな感じかなぁ?見た目で言えば、妹は母さん似で弟は父さん似かな?」

「そこは聞いて無ぇし興味も無ぇ」

そうだよねぇって僕もちょっと余計な事を言ったなぁと笑ってしまった。

「笑っとけ、キリ。あの家族はキリにとって毒でしか無ぇ」

毒……キムラさんや職場の人たちにも言われた単語だった。家族だからと言って全てが正しいとは限らないよって。毒になる事もあるって。サガリ君も同じ事を言ってる。
僕にとっては、それが当たり前だと思っていたのにね。
だったら、僕の今までの人生って間違っていたのかな……?
考えた事すら無かった。

でも、……今までの人生があったから、僕はラキちゃんに出会って、サガリ君に出会って、んー……仕事もそうかな?今の仕事を見つけて、あとは……デイブさんにも出会って、ちょびっとだけ副業もして……うん、今が悪い人生じゃないから、いっか!

そう思ったら、サガリ君の「笑っとけ」の言葉もストンと心の中に落ちた。
そうだね、笑うのが一番だよね。
僕もね、ラキちゃんのキラッキラな笑顔が大好きだし、サガリ君の笑顔も好きだよ。
そんな気持ちを込めて、改めて僕も心からの笑顔をサガリ君に見せた。

「かわいい。キリ、すんげーかわいいな」

サガリ君が満足そう。
僕も満足だよー。

「帰りがてらにさ、博物館の催事を見て行くか?キリが前に興味あるって言ってた古典絵画展のやつ」

「わっ!行きたい!僕もね、この用事が終わったら、サガリ君とデートしたいなって思ってたんだ!」

「それは僥倖。んじゃ、チケット取るわ」

サガリ君がスマホでチケットを買ってくれたので、僕は甘えた。
……この2年で僕もだいぶサガリ君に甘やかされてしまっているんだけど、チケット代とか外食に関しては、サガリ君が払っちゃうんだよね。
最初のうちは割り勘で戦ったんだけど「旦那の甲斐性を奪うな」って……
今ではそれが当たり前になっちゃっているから、慣れって怖いなぁ。
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