地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

13-マチナカサガリ は、慣らしてく

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キリの腕を引っ張り、殆ど逃げるようにカナタ家を後にした。あんだけ話し込んでるのに家に招き入れもしない茶も出さねぇ弟妹には呆れたな。まぁ、招いて欲しかったか?と言われれば丁重にお断りしたい人間性ではあったが。
しばらく早足で歩いていたが、それなりにキリの実家から離れると歩みを緩めた。

「あの、僕の妹と弟がサガリ君に失礼な態度取って本当にゴメンね。やっぱり僕が1人で行けば良かったよ」

キリは深々と頭を下げていた。
あの態度が異常である事は理解出来たか。
キリに向けられた態度も言動も、一般的では無い事にも気付いて欲しいんだがな。
今は、俺に対する謝罪のみに思えた。
なかなか上がって来ないキリの頭を乱暴に撫で、髪の毛のセットを崩した。
気にするな、と失礼な態度はお互い様だと伝え、それよりかなり2人に軽んじられた態度が気になったので改めて確認した。

「うぅーん。まぁ、あの2人より勉強も運動も出来なかったからね」

「そこなぁ、俺は今となっては納得いかねぇ所もあるんだけど」

勉強出来なかったから、塾行く金が勿体ないと行かせてもらえなかったキリ。恐らく彼らは行かせてもらえていたのだろう。きちんと然るべき教育を受けていれば、恐らくあの2人よりは優秀だったと思う。まぁ、既に過去の事だからなんとも言えないけどな。
両親の事も聞いてみれば、彼らと同じと答えたので想像容易かった。本当にキリにとって毒でしかない。
そんな毒でしかない家族だと言うのに、なんて事も無いと言うように、

「見た目で言えば、妹は母さん似で弟は父さん似かな?」

世間話の様に家族の話をする。しかもどちらに似てるかとか、クッッッソどうでもいい情報だ。
てめぇんちの家族の容貌なんて興味無ぇと伝えると、ようやくキリに笑顔が見えた。

「笑っとけ、キリ。あの家族はキリにとって毒でしか無ぇ」

毒。ハッキリと伝えた。
それくらい周りがハッキリ言わないと、当事者は自覚出来ない。……なんて、部外者が何言ってんだって話でもあるけどな。
俺が望むのは、キリが幸せである事。
常識的に考えたって、キリがあの家族と一緒に居ることが幸せだなんて思えない。
だから、出来るだけ遠ざけたい。
キリもさっきから真剣な顔をしている。
何考えているんだか。
言葉にしてくれれば、俺も一緒に考えられるのに。
けど、真面目な顔は直ぐに笑顔に変わった。
かわいい。かわいい表情をする。

「かわいい。キリ、すんげーかわいいな」

こんな顔、実家では出来ねぇだろ。

「帰りがてらにさ、博物館の催事を見て行くか?キリが前に興味あるって言ってた古典絵画展のやつ」

「わっ!行きたい!僕もね、この用事が終わったら、サガリ君とデートしたいなって思ってたんだ!」

「それは僥倖。んじゃ、チケット取るわ」

実家の話は終わり。
これからの予定を提案すれば、キリはさらに喜んでくれた。
チケットはネットで買って準備万端。
キリは微妙な顔をしていたが、旦那の顔を立ててくれと言い続けていたら、この関係をようやく受け入れてくれた
この調子で色々と慣らしてキリを囲い、俺無しではいられなくさせたい。
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