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第二章:本編
27-マチナカサガリ は、気付かせたい
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クソ弟が無言だったためか、キリが日本語で話しかけた。
……優しいな。
「通訳関係の人がね、ダメだって」
『は!?』
「え!?」
クソ弟が驚いている事に驚いている。
俺もビックリだ。
なんでアレでOKだと思えたんだ?
『なんでソコに関係者が居るんだよ!早く言えよ!』
まさかのキリの説明が伝わっていなかった件。
え?理解せずにクソ弟はOKと言ったのか。
馬鹿だろ。
「英語で伝えたよ。そしたらOKって言ってくれたじゃん」
『ぐぅっ……』
人って何も言い返せないと本当に「ぐう」て鳴くんだな、と現実逃避な感想が出てくる。
そう言えば、キリも俺が言い包めると唸ったりするし、似たようなものか。
キリの方が何億倍も可愛いので比較にもならねえが。
「あのね、高卒の僕が言うのも何だけど……通訳の仕事を譲るのは……無理だと思う。今ね、僕に通訳の仕事を紹介してくれる人がね、大きく手でバッテン作ってるんだ……僕も紹介出来ない。観光客の人に迷惑かけられないよ」
ここまでスキルを磨いているキリなのだから、もはや学歴なんて関係無いのに、わざわざクソ弟に合わせて説明している。
英語が出来ると、どの口が言っているのか不思議なくらい出来ないクセに、良く自分を売り込めるよな。
どうせ理解出来ない事は分かっているが、俺は敢えて英語でクソ弟に進言する。
キリみたいに優しくは無ぇからな?
「『学歴なんて関係無ぇんだよこういうのは。どれだけ努力して身につけて、会話が出来て必要とされる知識を持ってるかなんだよ。お前英語も出来ねぇ日本の魅力も伝えられねぇとか使えねぇにも程があるからな?それで仕事を譲れだなんて恥を知れ恥を』」
当然だが返事は無い。
理解出来てないのだろう。
「あのね、日本の観光地とか歴史とか、英語で紹介出来るようになってね。だって」
キリは、俺の言いたい事を何重にもオブラートに包んでクソ弟に日本語で伝えた。
どこまでお人好しなんだよ。
『うぜー。もういいわ。そもそもそこまで興味無ぇし』
「嘘でしょ?」
そしてクソ弟は、どこまでもクソだった。
俺も思う。
嘘でしょ?
思わずキリの口調が移った。
『うるせーよ高卒!!もう電話してくるな!』
「電話してきたのはそ……」
キリが言い返す前に電話は切れた。
キリが今までに見たことが無い顔をしている。
怒ってはない、悲しんでもない。
自分の感情が処理しきれていない、が表現としてはしっくり来るだろう。
「理不尽極まりねぇな、お前のクソきょうだい」
率直な感想をキリに伝えると、納得した顔になった。
「それだ。理不尽。うん、今のは理不尽だった。サガリ君もごめんね。嫌な思いさせちゃったよね……僕の弟、、、」
理不尽、と言う言葉が出て来なかったのか。
キリの今までの家族からの扱いなんて、理不尽の塊でしか無いだろうに、初めて理不尽な事をされました!と言わんばかりの顔をしている。
今までのキリの扱いを思うと、憤りも感じるが、こうやって自分自身で気づけるようになったのは、進歩かも知れない。
それと同時に出てきたキリの謝罪の言葉。
これは否定しておかないと駄目だ。
「いやぁ、キリは関係無ぇだろ。クソなのは弟だけだ。キリは努力家で知性に溢れた俺の可愛い恋人でしかない」
キリを褒めて抱きしめる。
スキンシップが好きなキリだ。
少しは気も紛れるだろう。
当然のように、ヤツは俺の体に密着するように自身の体を擦り付けてくる。
満足そうに笑っている顔を見て、俺も安心した。
「でも……本当にお前の家族……両親はまだ分からないが、アレを育てた親って思えば……酷そうだな……」
「う……うん……ごめん……」
「あとは妹か?アレからも電話がかかってくるんだろ?……気が滅入る……」
「うん、僕も、出来れば出たくない……なぁ……」
「今日の事もあるし、妹の方はかけてこないかもな」
「うん、だといいなぁ」
なるべくキリには傷付いて欲しくない。
けれども、家族の違和感には気付いて欲しい。
接触はさせたく無いが、接触させないと気付けない部分もある。
もどかしい。
……優しいな。
「通訳関係の人がね、ダメだって」
『は!?』
「え!?」
クソ弟が驚いている事に驚いている。
俺もビックリだ。
なんでアレでOKだと思えたんだ?
『なんでソコに関係者が居るんだよ!早く言えよ!』
まさかのキリの説明が伝わっていなかった件。
え?理解せずにクソ弟はOKと言ったのか。
馬鹿だろ。
「英語で伝えたよ。そしたらOKって言ってくれたじゃん」
『ぐぅっ……』
人って何も言い返せないと本当に「ぐう」て鳴くんだな、と現実逃避な感想が出てくる。
そう言えば、キリも俺が言い包めると唸ったりするし、似たようなものか。
キリの方が何億倍も可愛いので比較にもならねえが。
「あのね、高卒の僕が言うのも何だけど……通訳の仕事を譲るのは……無理だと思う。今ね、僕に通訳の仕事を紹介してくれる人がね、大きく手でバッテン作ってるんだ……僕も紹介出来ない。観光客の人に迷惑かけられないよ」
ここまでスキルを磨いているキリなのだから、もはや学歴なんて関係無いのに、わざわざクソ弟に合わせて説明している。
英語が出来ると、どの口が言っているのか不思議なくらい出来ないクセに、良く自分を売り込めるよな。
どうせ理解出来ない事は分かっているが、俺は敢えて英語でクソ弟に進言する。
キリみたいに優しくは無ぇからな?
「『学歴なんて関係無ぇんだよこういうのは。どれだけ努力して身につけて、会話が出来て必要とされる知識を持ってるかなんだよ。お前英語も出来ねぇ日本の魅力も伝えられねぇとか使えねぇにも程があるからな?それで仕事を譲れだなんて恥を知れ恥を』」
当然だが返事は無い。
理解出来てないのだろう。
「あのね、日本の観光地とか歴史とか、英語で紹介出来るようになってね。だって」
キリは、俺の言いたい事を何重にもオブラートに包んでクソ弟に日本語で伝えた。
どこまでお人好しなんだよ。
『うぜー。もういいわ。そもそもそこまで興味無ぇし』
「嘘でしょ?」
そしてクソ弟は、どこまでもクソだった。
俺も思う。
嘘でしょ?
思わずキリの口調が移った。
『うるせーよ高卒!!もう電話してくるな!』
「電話してきたのはそ……」
キリが言い返す前に電話は切れた。
キリが今までに見たことが無い顔をしている。
怒ってはない、悲しんでもない。
自分の感情が処理しきれていない、が表現としてはしっくり来るだろう。
「理不尽極まりねぇな、お前のクソきょうだい」
率直な感想をキリに伝えると、納得した顔になった。
「それだ。理不尽。うん、今のは理不尽だった。サガリ君もごめんね。嫌な思いさせちゃったよね……僕の弟、、、」
理不尽、と言う言葉が出て来なかったのか。
キリの今までの家族からの扱いなんて、理不尽の塊でしか無いだろうに、初めて理不尽な事をされました!と言わんばかりの顔をしている。
今までのキリの扱いを思うと、憤りも感じるが、こうやって自分自身で気づけるようになったのは、進歩かも知れない。
それと同時に出てきたキリの謝罪の言葉。
これは否定しておかないと駄目だ。
「いやぁ、キリは関係無ぇだろ。クソなのは弟だけだ。キリは努力家で知性に溢れた俺の可愛い恋人でしかない」
キリを褒めて抱きしめる。
スキンシップが好きなキリだ。
少しは気も紛れるだろう。
当然のように、ヤツは俺の体に密着するように自身の体を擦り付けてくる。
満足そうに笑っている顔を見て、俺も安心した。
「でも……本当にお前の家族……両親はまだ分からないが、アレを育てた親って思えば……酷そうだな……」
「う……うん……ごめん……」
「あとは妹か?アレからも電話がかかってくるんだろ?……気が滅入る……」
「うん、僕も、出来れば出たくない……なぁ……」
「今日の事もあるし、妹の方はかけてこないかもな」
「うん、だといいなぁ」
なるべくキリには傷付いて欲しくない。
けれども、家族の違和感には気付いて欲しい。
接触はさせたく無いが、接触させないと気付けない部分もある。
もどかしい。
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