ミニマム男子の睦事

黒川

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ミニマム男子の睦事

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俺こと新井しのぶ、27歳は自分の人生を悲観した事が無い。身長154センチ体重41キロの俺は世間一般的に言えばチビである。けどチビである事をマイナスに捉えた事も無い。
何故なら、身長に見合ったショタ可愛い外見を持っているからだ。クリクリの二重パッチリな目は女子顔負け。チョンと乗った小さめの鼻と常に口角を上げるように意識した口元。全体的に作りは小さく、肌も毎日ケアしてるのでプリプリのツヤツヤ。髪の毛はショタらしさが際立つように前髪はふんわりと揃え、後ろの髪の毛は少し長めに切りそろえ、女子っぽく言うとショートボブだ。体格も線は細く薄い。男らしさは皆無。アラサーもアラサーなのだが、この見た目のため、私服姿だと未成年に間違われる。
そして、そんなショタ可愛い俺を好きだと言う女の子は必ず一定数存在する。そう言う女の子を狙えば恋人だって出来るし、エッチも出来るから異性関係で困った事はない。
仕事は一般企業の営業職に在籍してるが、低身長で不利に思った事は無い。むしろ常に営業成績はトップだ。給料も営業成績が一定基準を超えると歩合で反映されるので収入もそこそこ良い。
割と順風満帆な人生を送ってると思う。

と、思っていたのは昨日までの話だ。
うちの会社は4月と10月に大々的な異動がある。
そして今日はその大々的な異動があった10月1日。
うちの営業店舗に1人の男が異動してきた。

「はーい!身長150センチ、体重40キロの24歳。ちっちゃい暴れん坊!神田ミキでーっす。よろしくおねがいしまーっす!」

おいおいおい、どこのアイドルだよ。と突っ込みたくなる自己紹介を済ませたそいつは、俺よりも背が低く、俺よりも若く、俺よりも……いや……同じだと思いたい……可愛い容姿をしてた。

「いや、神田君。自己紹介ってそうじゃなくてね……」

紹介してる上司が苦笑いしながら突っ込んでる。アイドルまがいの自己紹介を済ませた神田はペロっと舌を出して

「てへっ、違ったみたい」

と、こぶしを作ってコツン、と自分の頭を叩いた。
あざとい!あざといぞ!この男!
しかし、それがまた奴の可愛らしさを際立たせてる。
既存の全社員の目が小動物を見るソレだ。
うちの営業店の紅一点で、俺を毎日愛でてくる浅井さんなんて手で口を抑えてフーフー言ってる。分かるよ、可愛さゲージが突破するとそうなるよな。浅井さん、俺に良くそれしてたもん。

「改めまして、神田ミキです。入社からずっと営業事務に携わっていました。営業そのものは初めてです。早く仕事を覚えて戦力になれるよう頑張ります。ご指導お願いします」

ピョコンっと茶色いフワフワとした髪の毛が揺れ、お辞儀をする。なんだ、まともな挨拶も出来るんじゃないか。パチパチと拍手をし、自己紹介は終わった。

「じゃぁ教育担当は、新井君。頼むよ。事前に浅井さんに教育担当の話を通してたんだけど、彼女のあの様子じゃ無理そうだし。神田君の指導は君の方が適任だ。急で悪いけど、よろしく」

「はぁっ????」

上司からの指名に思わず声が出てしまった。聞いてないし急すぎるし浅井さんも身体を震わせながら「無理です出来ません新井さんしか適任はいませんミニマムペア毎日拝めるとかどんなご褒美我が支店安泰ぞ……」とワケわからない事をノンブレス早口で呟き続けている。

「じゃぁ新井君、神田君の異動関係の手続きが完了したらそっちに向かわせるから。それまでに浅井さんから指導計画を貰っといて」

「……承知しました」

納得は出来ないが受け入れる。所詮会社の1歯車でしかないからな。
順風満帆だった俺の日常は、神田にショタポジを奪われる不安と、いきなり舞い降りた計画もクソも無い教育係と言う名で幕を閉じた。
てか、浅井さん。A4サイズの用紙にデカく「10月→1月 OJT、以降ひとり立ち」しか書いてないのは指導計画って言わない。浅井さんは「テヘペロ」と舌を出して可愛さアピールしてきたが、俺の方が可愛いから。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


と、まぁそんな不安しかない始まり方ではあったが、結論から言うと、上司の采配は正解だった。

俺は、いや、俺達2人は神田の教育期間中にも関わらず、前代未聞の営業成績を叩き出した。数字が異常過ぎて不正でもしてるんじゃないかと疑われ、監査部から調査が入る始末。
けど、残念ながら?と言うか当たり前と言うか。そんな不正は見つからず、正規ルートで獲得した数字しかなく、指摘事項は何も無かった。
俺だって毎回トップの成績を出していたが、今回の数字は見た事のないモノだった。

「新井先輩って本当に凄いんですねー。僕尊敬しちゃいますよ」

昼休み、俺は神田と一緒に昼飯を食べている。ちなみに、今日は少しリッチに会社近くの定食屋だ。お互いにカツ丼肉増し特盛980円(税込)を頼み、カウンター席で横並びで仲良くかき込んでる。

「そりゃ神田の方だろ。俺はそこまで事務に詳しくなかったからさ、営業事務から契約書不備で突き返されたり電話で文句言われるの超めんどくさかったけど、神田が全部見てくれるから返却も電話も全然無くて、かなり楽させて貰ってる。お前凄いよ。営業事務の知識完璧だよな」

そう。教育担当として営業のノウハウを俺が神田に研修しつつ、俺は俺で神田から、その後の事務周りを教わったりサポートをして貰っていた。

俺の会社は、営業と営業事務の店舗が離れてる。営業所は地域ごとに点在してるのだが、営業事務は集約されており、関東圏には1店舗しかない。その1店舗で点在してる営業店舗の事務周りをこなしているから、何か不備があると訂正や修正に時間がかかる。今どきなのでペーパーレス化が進み、必要書類はだいたいオンラインでやり取りしているが、店舗が違えば契約締結も遅れる。そんな遅延で対応が遅いとお客さまから不満を持たれ逃す契約も、神田が来る前はいくつかあった。てか、それはどこの店舗でもある事だと思う。
今回の数字は、そういう不備が無くなった事も要因のひとつだ。
あとは純粋に神田の営業力。まだまだ粗削りな所もあるが素質はある。と、言うか自分がどういう立ち位置に居るべきか良く理解し、自分をどう生かすかをコイツは知ってる。そこをうまく営業に乗っけられればこれからもどんどん伸びるだろう。そうなると俺も負けてられない。弱かった事務周りをコイツから吸収して、より高みを目指したい。

俺は小さくグッと拳を作って改めて決心した。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「あぁー、やっぱりねー。新井くーん。神田くーん、とりあえずおめでとうー。社長賞ノミネートされてるよ。プレゼン大会楽しみだね」

季節も変わり4月も終わる頃、上司がイントラネットの通達を見て俺たちに言ってきた。

神田と俺は、教育期間が終わってもペアを組み一緒に仕事を続けた。
毎月高い水準の成績を2人で積み上げつつ、他の社員に事務周りの研修や支店内の改善提案を行い、全体のスキルアップと効率化を試みた。2人で営業以外の仕事をするため、ペアになりお互いをフォローし合った。なので営業もそれ以外の仕事も回しやすかった。結果は良好で、俺ら以外の社員も全体的な営業力の底上げに繋がった。

期の終わりである3月中頃に、上司から業績評価と行動評価における賞への推薦を、神田と俺で出したと言ってくれた。多分、その結果が通達で来たのだろう。

「うわぁ~!凄い!凄いですね!新井さん。営業店でエントリー出来るって珍しくないですか?」

神田が俺に抱きつきながら上司に聞いてる。
神田はいつの間にか「新井先輩」から「先輩」抜けた。まぁ、俺が教育期間が終わったタイミングで「先輩などいらない」と言ったからなんだけど。
くわえて、この半年そこそこで、俺たちは割とスキンシップ過多な関係になった。
もともと神田はスキンシップ多めで、俺もそれを受け入れてる。その方が周囲の反応が良いんだ。
なので今では「手を繋ぐ(恋人繋ぎでは無い)」「抱きつく」「頭を撫でる」「頬を擦り合わせる」「ひざまくら」「膝の上に乗る(対面、背面両方)」ここら辺は日常茶飯事だ。俺たち以外でやったらセクハラ110番待った無しだが、俺たちは互いに納得してるし、浅井さんなんて毎日涙ぐんで「尊い……尊い……萌は活力……生きる力……オレ……イキル……アリガトウ……セカイ……」と呟いて鬼のような営業成績を叩き上げてる。

「営業店でエントリしたのは、5~6年振りかな?今回はうちの他にも神奈川支店が営業店としてエントリーしてるね。珍しい。こりゃ負けてられないなぁ!」

「うふふー♡そうですね。コテンパンにヤってやりましょうね!新井さん♡」

ムギュムギュと俺に頬を擦り寄せてギューギュー抱きつく神田。それを微笑ましく見る上司と俺ら以外の社員。浅井さんは相変わらずフーフー息荒くしてるがこれが通常運転。

「推薦ありがとうございました。皆さんの期待に応えられる様に頑張ってきますね」

神田の肩を抱きしめながら、もう片方の手で頭を撫でる。

「一緒にプレゼン大会頑張ろうな?」

鼻と鼻がくっ付くんじゃないかって位、顔を近づけて言うと「はいっ!」と良い笑顔で返事する神田の向こう側で「もう耐えられない…………!」とうずくまる浅井さんが見えた。浅井さんは今日も元気そうだ。


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「はーい!身長150センチ、体重40キロ、24歳。ちっちゃい暴れん坊!神田ミキでーっす。よろしくおねがいしまーっす!」

「はーい!身長154センチ、体重41キロ、年齢……もぐぐぐ……」

「年齢ダメ!アラサーは年齢言っちゃいけない法律なの!」

プンスコ怒る素振りを見せながら俺の口を封じる神田。

「年齢は秘密!ちっちゃい策士家!新井しのぶでーっす!よろしくおねがいしまーっす」

俺らの自己紹介で会場はシンと静まり返った。想定の範囲内だ。
ここは、会社本社の一室。中には今回社長賞にノミネートされた他の支店の奴らと社長とその他お偉い役職の方々。あとどっかの暇そうなギャラリー社員たちが集まっている。
今日は、社長賞ノミネートされた人達が如何に創意工夫を凝らして良い結果を出せたかプレゼンをする大会だ。大会と言ってもノミネートされる支店は5支店しか無いのでそこまで人数は多くない。
ここでアピールを存分に行って、社長賞1支店、優秀賞1支店、貢献賞3支店が決まる。まぁ、ここに来てると言う時点で何かしら賞が貰えるのだ。

で、俺たちは何をしたかと言うと。
クソ真面目にプレゼンする他の支店を無視してネタに振り切った。
資料は真面目に作った。神田が。
俺はこういう資料作りがあまり得意でなく、ノミネートが決定しても嬉しい反面、プレゼン資料作りが面倒くさいと思ってた。けどそこは元営業事務の神田だ。WordExcelPowerPointなんでもござれで資料を2日で仕上げた。その間の営業は俺が全力でやったから適材適所ってやつだ。
資料はしっかり。プレゼンはネタに全振り。
テーマは「アイドルのライブステージ」らしい。神田も俺も笑顔だのあざとい仕草を振りまきつつ、数字報告と戦略説明はキチンと行った。奇を衒うプレゼン(と言うには邪道かも知れないが)に、良くも悪くも皆釘付けだ。
質疑応答の時間もある程度想定してた質問だったので、スムーズに終わった。

俺たちの発表が最後だったので、後は結果を待つだけだ。30分ほど、選考時間が設けられ、俺たちは別室で待つはずだったのだが……

「社長賞は言わずもがな、町田支店の新井神田ペア。優秀賞は神奈川支店の平久、他の支店も良い結果だったよ。おめでとう」

社長の一声で選考結果が終わった。俺はポカンと口をあけて神田を見てた。
神田は相変わらずショタ可愛い笑顔を振りまき「やったぁ!」と両手をグーにして身体の前に置いていた。あざとい、あざといぞ、神田。
表彰式になれば俺もなんとか気持ちを持ち直し、両手を頬に付けて「未だに信じられないのですが……でも、とっても嬉しいです♡」等、あざとく可愛らしく振る舞い続けた。


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「ふふふー♡意外とチョロかったですね、プレゼン大会も」

「いや、ほとんど神田のおかげだろ。資料もプレゼンの方向性も全部神田が作ってくれたじゃん。お前の方が策士家だよ」

大会も表彰式も無事終わり、俺たちは直帰で帰路に向かってる。大会後の慰労会は完全任意なので俺たちは不参加にした。お偉いさんとか他のノミネートされた支店の人にかなり残念がられたが、2人して

「僕……お酒の席苦手……」

と、顔を斜め下に伏せてウルウルしながら呟けば、お偉いさんは孫見てんのかと言わんばかりのデレ顔で「そーかそーか、なら仕方ないな」とか言うし、貢献賞を受賞した支店の女性社員は小動物を守るかの如く「無理に参加する必要は無いですよ!帰りたかったら帰りましょう!」と加勢してくれた。

本当にチョロいな。
正直な所で言うと、俺たち2人して酒はザルだし飲み会そのものは嫌いではない。ただ、今回のメンツが嫌なだけだ。完全にマスコット扱いされ、コンパニオン紛いのお酌を強要されセクハラ三昧に陥るのが目に見えてる。特に男共の目がそれだ。自分たちからショタ可愛い外見を利用するのは構わないが、俺たちの望まない場所でそれを利用されるのは反吐が出る程嫌なのだ。これは神田も共通認識。

「利用するのは大好きですが利用されるのは嫌ですねー♡」

と平気でのたまう。
よって、俺たちは互いを守る様に2人して表彰式終了後、速やかに本社を出て、今に至る。

「でも、新井さんと二人きりならお祝いしたい。なー……」

クイッと袖を引かれ、唇を少し尖らせながらの口角を上げるいわゆるアヒル口。

「んん……!!!」

ギュッと目をつむって神田の可愛さに耐える。
いや本当に何なの?この可愛さ。俺だって神田と並ぶ位の可愛い容姿をしてる筈なのに、こいつの可愛さに慣れない。

「ダメ……?……ですか……?」

クイックィッと更に袖を引っ張られる。

「うん……!うん……!お祝いしような?2人でしよう!」

よしよし、と頭を撫でれば嬉しそうに抱きついてきた。あー、可愛い。あといま俺たち電車の中ー。視線が怖いーって思ったけど、なんか微笑ましく見られてた。多分、学生同士のジャレ合いにでも見られてるんだろう。2人してスーツだけど。

「じゃぁ、僕のお家でお祝いしましょ?……ね?一緒に新井さんも来てくれますよね?」

うんうん、宅飲みな?俺も好き。てか俺ら2人して居酒屋入ろうとすれば確実に年齢証明出来るやつ求められるもんな。知ってる知ってる。
服はアレだろ、神田の借りれば良いんだろ?どうせ似たような体格だ。俺の方が4センチ高いけど。

連れられるがままに、俺は神田と一緒に電車を降りる。改札口を出ると「ハイ、」と手を出されたので無意識に神田の手を握った。恋人繋ぎをされたが、特に気にせず、と言うか、今日の表彰で気分が高揚してんのかな?位に思ってた。

駅から降りて歩いて10分ほどで、神田の住むマンションに着いた。何処にでもある普通のマンションの3階の角部屋が、神田の部屋。
玄関を抜けると、まぁそこそこ散らかっては居るが不衛生では無い、良くある独身男性の部屋に通された。

「新井さんが俺の部屋に居るって夢みたーい♡」

ドサッとカバンを床に放り投げた神田は、クルッと俺の方へ振り向いてギューギュー抱きついてきた。俺もいつもの通り、キュッと抱き締め返し、頭をよしよしと撫でる。フッと身体を離され向き合い、神田が鼻と鼻をくっ付けてきた。俺はスリスリと鼻同士を擦り合わせる。
あー……、ちょっとヤバい。至近距離ながら、神田の目を見るとトロンとしている。っと思った矢先、

むちゅん

唇が触れ合った。これはキスだな。正真正銘の。
しかし、神田の唇は薄く小さく、割とガッツリ触れてるにも関わらず、天使の羽根でも降りてきたかな?と思う位軽かった。むちゅん、て音がしそうな位触れてる筈なのに。ちなみに舌はまだ。まだって何だよ。
1人で脳内で突っ込んでたら、今度はペロペロと唇を舐められた。神田の赤く小さな舌が見え、何かイケナイ事をしてる気分になる。
……こう、児ポ的な意味で……

「神田……」

神田の頬を触って、唇を舐めるのを止めさせる。
相変わらずトロンとした目で俺を見てる。
ここまで来れば、俺も鈍感では無い。

「そう言う意味で捉えろって事だよな?」

ムニムニと神田の頬を揉む。やつは俺の手に頬を更に押し付け、小さく「はい」と答えた。

「嫌ですか……?」

滅多にされない上目遣いが新鮮で、グッと喉が詰まる。

「んーん。嫌じゃねーよ。今までどんだけスキンシップしてたと思ってるんだよ」

そう、結局そう言う事なんだよな。スキンシップ過多な所も、職場の奴(浅井さんは除く)からは「ビジネスショタカップル」とか言われてるけど、ビジネスや周囲の期待に応える為だけに普通あそこまでしない。好意が無ければ出来ないだろう。ただ、俺はそれが後輩に対する好意なのか、1人の人間への恋愛的な好意なのか判断し兼ねる部分はあった。でも、神田の態度で確信した。

「「好き」」

お互いの台詞が被った。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「社長賞のお祝いは、新井さんが欲しいです……」

「……うん……んっ……ぁ…………」

ソファに押し倒されて、そのまま神田の唇が、俺の口、頬、鼻、目尻、と移動し、耳元まで来るとハムハムと耳たぶを甘噛みされた。背筋からゾワゾワとしたものがせり上がってきて思わず声も漏れる。

「耳、好きですか?」

「んんんんっ……!」

反対側の耳たぶもムニムニと触られ、口元を寄せてる方はペロペロと舐められてる。

「かわいい……」

いや、可愛いのは神田も同じなんだけど。

「なぁ……キス……」

顔を神田の方へ向け口を開いてキスを強請る。

「んぐっ……!!」

神田が、目を見開いたかと思うとギュッと目を閉じ何かを耐えるような顔をした。俺知ってる。可愛いが過ぎるとそう言う表情になるよな。俺も良く神田の仕草やら表情やらでその顔になるから気持ちは良く分かる。神田も可愛いが、俺も可愛い。同じくらい可愛いと自負してる。それが神田の事を求めてるんだ。そりゃそうなるだろう。
チロっと舌を出して、やつの唇の横を舐める。すぐさま唇を合わされ口の中をクチュクチュと舐められる。上顎を擽られ、歯列をなぞられ、舌を絡み取られる。俺も応えるように絡み合わせ、わざとクチュクチュと音を立てる。

「新井さん……めっちゃエッチなんですけど……」

チュッと唇を離して神田が呟く。

「エッチな俺は嫌い……?」

と小首を傾げてあざとく聞いてやった。

「ぐっ……!だいすきでっしゅ!!!」

あ、神田が噛んだ。いや、洒落では無いんだが洒落になった。不可抗力だ。スマン。
勢いよく答えた神田は、俺のシャツの下に手を突っ込み上半身を撫で回し始めた。俺は自分でシャツのボタンを外し、前をはだけさせる。脱いだ方が良いかなー?と思ってシャツに手をかけると、真剣な目で「そのままでお願いします……!」と懇願された。分かる。そう言う性癖もあるよな。俺も着衣エッチ好き。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「……あぁ……好き……そこ……」

カリカリと乳首を弄られ、ピンと勃った粒がもっとと主張する。キュッと強めにつねられれば、ビクッと身体を跳ね上げてしまう。

「新井さん、ここ好きなんですか?」

「ん……っ!ん……!」

コクコクと首を縦に振って自ら神田の指に乳首を擦り付け、快感を追いながら身体を震わせる。……気持ち良い。我慢出来ずにベルトとズボンをくつろがせ、ユルユルと立ち上がった下半身に、神田の手を掴んでソコに押し当てた。

「こっちも……んぁ……」

下着をズリ下ろされ、直接モノを握られ、上下に動かされると先から透明な液体が溢れ出る。それを刷り込むように先端を弄られれば、勝手に身体がビクビクと跳ね上がる。

「……かっわいー……たまんない……えっろー……」

神田の呟きと共に激しくなる手技。男としての良いところを的確に攻めて来るのだから、俺も為す術もなく身体を震わせるだけだった。

「あぁっ……いぃ……!神田っ……!神田……!俺イッちゃう!もう出るから……!」

「ん、イキましょう。新井さんの可愛いイキ顔、僕に見せてください」

「ふぁ……!ん……見て……ね、俺のイクの……!あ……あ……出る……!!!」

ギュッと身体を硬直させた後、パタタッと俺の先端から精液が飛んで神田と手を汚した。

「ふぁぁ……」

俺が惚けてる間に、神田はティッシュで自分の手を拭い、再び俺の上に乗り上げてきた。

「新井さん、想像以上にエロいんですけど……!」

「ん……エロい俺も好きなんだろ?続き、しようぜ。神田のはまだなんだし……」

神田の張り詰めた下半身を両手でキュッと握ってやると「ひゃん!」と何とも可愛い声が漏れた。

「ふはっ……かーわいー……舐めよっか?それ」

チロチロと舌を出して誘えば「こっち、欲しいです」と言って俺の奥を指でトントンとつついてきた。「なのでそっちはコレで……」とキスで絡み取られた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


男のソコは、と言うより生物としてのソコは一般的に受け入れる場所ではないのだが、稀に受け入れるケースもある。そして今がソレだ。神田は何処からか俺が良くお世話になってるオレンジ色の蓋のローションを持ち出し、ソコを解している。多分、神田も俺が未経験では無い事に気づいてるんだろう。複雑な表情をしてるが、そこはどう頑張っても処女にはなれないので俺は俺で後ろの快楽を拾う。

「ひぁっ……!うん……!それぇ……あああ……もっとぉぉ……おっぱいも触ってぇー……ああああぁぁぁ……!!!」

メスイキも習得済なので前はガチガチのままビクンビクンと身体を跳ねさせる。こうなるとイキっぱなしの状態に陥るので何されても気持ちいいしか分からなくなる。

「もう……いれて!神田のガチガチのそれ、俺の中にいれて!突いて!……」

仰向けの状態で、自ら膝を持ち上げ足を開く。自分でも後ろの穴がヒクヒクと動いてるのが分かる。もう、中に挿れて良い所を突いて欲しくて堪らない。ワケが分からなくなるくらいグチャグチャにして欲しい。

「うぅ……ほんと、可愛いが過ぎるんですけど……!」

神田に足を掴まれ、グリグリと後ろに擦り付けられた。早く欲しくて俺もそれに合わせるように腰を動かし迎える。ゆっくりと腰を進めてくるから、内壁の感覚がクリアになり、自分から良い場所に当てようとしてしまう。

「神田……早く、んんっ……俺のイイ場所突けって……あああああ!!!!!!」

ゆっくり入ってたのに、いきなりバツン!と奥をめがけて挿れられる。それと同時に擦られた前立腺。目がチカチカするくらいの快感にいきなり殴られた。

「ひぁっ……!いい!んっ……んっ!神田……!」

「新井さん!好き!愛してます!愛してるんです!」

「ん、あ……っく……おれ……も!ねぇ……いっぱい……こっちも……!して!触ってイかせて!先っぽ、グリグリしてぇ……!」

激しく挿入されたソレに、俺のいい所をガンガンに攻められるのも気持ち良くて堪らない。ダラダラと先端から流れ出る液体を自分で竿に擦り付けながら、神田に触って欲しいとオネダリする。両方でイキたい。
「はやく、」と催促するように神田を見やると、今まで自分の快楽を追うばかりで気づかなかったのだが、普段は可愛い神田が……ちょっとだけカッコ良く見えて……

「あ……っ……あっ!!!んんんんんーーー!!!!」

と、同時に後ろの穴がキュンと締まり、前は神田に触られる前に果てた。が、中に居る神田のペニスは萎えてない。

「……イッちゃった……ごめん……神田が……可愛い過ぎて……」

「それはこっちのセリフです。新井さん、もう少し頑張ってください、……ね!」

ドチュン!と挿入が再開される。

「あぁぁぁん!!いった!……俺もうイッたぁからぁぁ……あっ……!ふぁぁぁぁ!!!」

「俺がイクまで付き合ってください……っ」

イッたばかりの中を再び抉られる。気持ちとは裏腹にビクンビクンと身体が跳ね上がるのはメスイキしてるせいだ。

「またイッてるのぉー!かんだぁぁ……やだぁ……!イッてる!イッてるってばぁ……あ……あ……」

「うん……っ!きもちいーですね……!」

「うぅ……!気持ちイー……んんんん……!!!あ……!前は触っちゃダメ!」

「先っぽ、グリグリしてってさっき言いましたもんね?」

「言った……けど……!ひぁっ!だめ!違うの出ちゃう!!ダメなやつ!ダメなやつだからぁぁぁ!!!」

「ダメじゃないですよ……!俺も……そろそろなんで……!あぁ……!可愛い……!俺の新井さん……!」

「もぅ……やだぁぁぁぁ……きもちいーの……やだからぁ…………」

奥の奥を突かれながら、前を握られる。ダメなやつが出てくると思ったが、辛うじてコポコポと精液が溢れ出た。
しばらく神田に良い様に揺さぶられていたが、無事、やつもイけたみたいで、眉をしかめてビクビクと身体を震わせた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「久々に凄いエッチした」

「新井さん、最近彼女さん居なかったですもんね」

ソファで流れる様にエッチした後、お互いの身体を流すために一緒に風呂入ってそこでまたエッチ。腹減ったと宅配ピザを頼んで待ってる間にオカワリ。もう猿かよと。
お互い搾りに搾った身体をくっ付けながら、改めて社長賞のお祝いを2人で始めた。
常備してると言うビールで乾杯し、好きに摘む。

「んー……」

モッシャモシャとピザを咀嚼しながら神田の話に相づちを適当に打つ。そろそろ突っ込まれるだろうか?

「てか、新井さん……今までのお付き合いって女性だけって言ってましたよね?」

「言った」

「で、それであの乱れっぷりは何なんですか……?」

「それなぁ……」

俺は遠い目をした。

「俺らみたいな外見を好きって言う女の子ってさ、一定数居るだろ?で、その一定数の中の、そのまた一定数にはさ……男を攻めたい女の子も居る……って言う……、」

「で、開発されちゃったんですか?」

「そんなところだ。そんでクセになって1人の時も弄るってカラクリだな……」

「えろ……」

「エロい俺も好きなんだろ?」

どこか納得しない様な表情をしてるが、コクコクとうなづいてる。俺の身体のネタばらしをして、引くかと思ったけど大丈夫そうだ。

「てか、俺初めて自分より小さい体型の奴とエッチした。小さいって新鮮だな。あとホンモノ挿れたのも。おもちゃとは違うなー」

ギューっと神田に抱きつく。
そう、今まで付き合ってきた女の子は、皆俺より背格好が大きかった。俺は納得して、付き合ってきたつもりだったけど、何処か『自分より小柄で可愛い子』に夢を見てたのかも知れない。残念ながら、そう言う女の子は大抵高身長イケメンに流れてたけど。

「小さいって本当に可愛いんだなぁ……神田だから余計可愛く見えるのかも知れないんだけどさ、」

「ふふ……僕、ミニマムでこんなに嬉しいと思った事は初めてですよ。あぁ、悲観してたワケでも無いですけどね。新井さんに可愛いって言われるのが1番好きです」

「したらもっと神田を可愛がらないとな。ベッドじゃ俺が可愛がられる立場だけど!」

ふはっ!と笑ってビールを煽る。

「僕だって新井さんの事、可愛がりますよ。だって奇跡じゃないですか。僕だって可愛いのに同じくらい可愛い新井さんが同じ会社の同じ店舗でペア組んで仕事して賞まで取っちゃうんですよ?その可愛い新井さんは僕と同じくらい可愛いって言いましたけど、ちょっとガサツでオスっぽい所もあって、でも普段はそれを上手に隠してて、僕と二人きりになるとそれが出てくるのも別の意味で可愛いです」

「お、おう……」

なんか神田の熱量が凄い。
神田は、フフっと笑うと、クイッと残りのビールを煽ってタンっと缶をテーブルに置いた。

「新井さん……もう逃がさないですからね……」

「それはこっちのセリフだって。身体の相性も仕事の相性もこんだけ合うやつなんて何処探しても神田以外居ねぇよ、ほんと好き。これ、俺の神田だからな」

逃がさんと言わんばかりにギューギューと更にしがみついてやる。

「そうですよ。僕は新井さんのモノだし新井さんは僕のモノ。これからもずっとですからね?」

「当たり前だろ」

そう言いながら目を閉じ、どちらとともなくキスをした。
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大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【完結】それより俺は、もっとあなたとキスがしたい

佑々木(うさぎ)
BL
一ノ瀬(27)は、ビール会社である「YAMAGAMI」に勤めていた。 同僚との飲み会に出かけた夜、帰り道にバス停のベンチで寝ている美浜部長(32)を見つけてしまう。 いつも厳しく、高慢で鼻持ちならない美浜と距離を取っているため、一度は見捨てて帰ろうとしたのだが。さすがに寒空の下、見なかったことにして立ち去ることはできなかった。美浜を起こし、コーヒーでも飲ませて終わりにしようとした一ノ瀬に、美浜は思いも寄らないことを言い出して──。 サラリーマン同士のラブコメディです。 ◎BLの性的描写がありますので、苦手な方はご注意ください *   性的描写 *** 性行為の描写 大人だからこその焦れったい恋愛模様、是非ご覧ください。 年下敬語攻め、一人称「私」受けが好きな方にも、楽しんでいただけると幸いです。 表紙素材は abdulgalaxia様 よりお借りしています。

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