39 / 66
人民革命
プリブレジヌイの戦い4
しおりを挟む
大陸歴1660年11月27日・ブラミア帝国・プリブレジヌイ
今朝は朝から、天候は悪く、小雨が降っていた肌寒い日であった。
ルツコイの元に夜間偵察に立っていた兵士から、一枚の紙がもたらされた。
紙に書かれた内容は、こちらの帝国軍兵士に反乱を促す内容だった。矢に括り付けられ、十数本射られたらしい。おそらく、深夜に反乱軍が数人で街壁のそばまで近づいて放ったのだろう。
他の兵士の目につく前に、すべて回収したが、油断がならない。
そんな中、正午過ぎ、テレ・ダ・ズール公国軍五千名が国境を越え、プリブレジヌイの郊外の小高い丘に到着した。そこで陣を張っている。
公国軍の司令官、トム・フルニエの部隊が街まで来たというので、街壁の門を開けた。
フルニエと同行してきた士官三名は敬礼した。
ルツコイ、ユルゲン、ペシェハノフの三人は敬礼を返し、彼らを歓迎した。
「ご依頼を受け、公国軍、五千名で参上いたしました」。
「貴国の協力、大変感謝しております」。
ルツコイ達はフルニエを会議室まで案内した。
「反乱軍二万三千。しかし、そのうちの二万は急ごしらえで、ほとんど戦闘ができません。その内、三千はもともと帝国軍でしたが、裏切って反乱軍についております。現状、これらだけが、まともに戦える状況です。その三千の部隊が二万の部隊を遮るに前に陣を張っております。一方のわが軍は六千と重装騎士団三百です」。
「なるほど」。
「まず、わが軍六千と公国軍五千で、まず前にいる反乱軍三千を撃破しましょう」。
「いいでしょう」。
フルニエは早速自分の陣に戻り、ルツコイからの出撃の合図を待った。
しばらくして、帝国と公国の連合軍は攻撃を開始する。
街の外に待機していた公国軍が右から、城から出撃した帝国軍が左から、もともと帝国軍第四旅団であった三千の兵を挟み撃ちにする。
雨で視界も悪く、雨音にかき消されて、馬の蹄の音が聞こえなかったのか、連合軍がかなり接近したとことろで、ようやく反乱軍はこちらに気が付いたようだ。
まず、帝国と公国の連合軍の重装騎士団と騎兵が突撃する。反乱軍の兵士たちも剣を抜き、戦闘が始まった。
さすがに元帝国軍の兵士だった部隊だ、これまでの様に簡単にはいかなかった。
激しい抵抗があり、しばらくの戦闘の結果、連合軍にも犠牲者が出始めた。しかし、数で言えば連合軍の方が三倍以上、徐々に反乱軍が押されていった。
反乱軍の内、半分ほどが倒されたところで、退却を始めた。
連合軍はそのまま追撃を始める。後方に控えていた反乱軍まで到達しようとしたところ、天候が急変した。
巨大な雹が降り始めたのだ。人の頭ほどの雹が連合軍に降り注ぐ。
盾を持つ兵は、それを上に向けて雹から身を守る。盾を持たない兵は雹の直撃を受けその場に倒れていく。
「戦いにならん。一旦退却を!」
ルツコイはそう叫び、全軍に城に戻るように号令を掛けた。公国軍もそれに続いた。
城に戻った各司令官は会議室に集まって、今日の戦いについて話をしていた。
「今日、反乱軍の千五百は打ち取っただろう」。
「本陣まで、もう一歩のところでした」。
「しかし、あの雹は不自然だ。あのような雹が降るような季節でもないだろう」。
「あれは、大気魔術なのでは?」
ユルゲンが言う。
「そうかもしれません」。フルニエが頷いて答えた。「私も雹を降らせる魔術を見たことがあります」。
彼は二年前の “ソローキン反乱” の時、ソローキンが率いる帝国軍が公国の首都ソントルヴィレに迫った時、ヴィット王国の魔術師達が魔術で雹を降らせて、帝国軍の攻撃を退けたのだ。
ルツコイは不満げに言う。
「帝国にはあのような魔術を使えるものは居ないはずだ」。
「もしかて、ヴィット王国の者が反乱軍に味方しているのか?」
「もし、あれが魔術だとすると、戦略を練り直さないといけない。攻め方を間違えると、こちらが全滅する」。
しかし、そこにいる者に、魔術に対して何か対策を打ち出せるものは居なかった。当面、様子見で出撃は控えるということになった。
今朝は朝から、天候は悪く、小雨が降っていた肌寒い日であった。
ルツコイの元に夜間偵察に立っていた兵士から、一枚の紙がもたらされた。
紙に書かれた内容は、こちらの帝国軍兵士に反乱を促す内容だった。矢に括り付けられ、十数本射られたらしい。おそらく、深夜に反乱軍が数人で街壁のそばまで近づいて放ったのだろう。
他の兵士の目につく前に、すべて回収したが、油断がならない。
そんな中、正午過ぎ、テレ・ダ・ズール公国軍五千名が国境を越え、プリブレジヌイの郊外の小高い丘に到着した。そこで陣を張っている。
公国軍の司令官、トム・フルニエの部隊が街まで来たというので、街壁の門を開けた。
フルニエと同行してきた士官三名は敬礼した。
ルツコイ、ユルゲン、ペシェハノフの三人は敬礼を返し、彼らを歓迎した。
「ご依頼を受け、公国軍、五千名で参上いたしました」。
「貴国の協力、大変感謝しております」。
ルツコイ達はフルニエを会議室まで案内した。
「反乱軍二万三千。しかし、そのうちの二万は急ごしらえで、ほとんど戦闘ができません。その内、三千はもともと帝国軍でしたが、裏切って反乱軍についております。現状、これらだけが、まともに戦える状況です。その三千の部隊が二万の部隊を遮るに前に陣を張っております。一方のわが軍は六千と重装騎士団三百です」。
「なるほど」。
「まず、わが軍六千と公国軍五千で、まず前にいる反乱軍三千を撃破しましょう」。
「いいでしょう」。
フルニエは早速自分の陣に戻り、ルツコイからの出撃の合図を待った。
しばらくして、帝国と公国の連合軍は攻撃を開始する。
街の外に待機していた公国軍が右から、城から出撃した帝国軍が左から、もともと帝国軍第四旅団であった三千の兵を挟み撃ちにする。
雨で視界も悪く、雨音にかき消されて、馬の蹄の音が聞こえなかったのか、連合軍がかなり接近したとことろで、ようやく反乱軍はこちらに気が付いたようだ。
まず、帝国と公国の連合軍の重装騎士団と騎兵が突撃する。反乱軍の兵士たちも剣を抜き、戦闘が始まった。
さすがに元帝国軍の兵士だった部隊だ、これまでの様に簡単にはいかなかった。
激しい抵抗があり、しばらくの戦闘の結果、連合軍にも犠牲者が出始めた。しかし、数で言えば連合軍の方が三倍以上、徐々に反乱軍が押されていった。
反乱軍の内、半分ほどが倒されたところで、退却を始めた。
連合軍はそのまま追撃を始める。後方に控えていた反乱軍まで到達しようとしたところ、天候が急変した。
巨大な雹が降り始めたのだ。人の頭ほどの雹が連合軍に降り注ぐ。
盾を持つ兵は、それを上に向けて雹から身を守る。盾を持たない兵は雹の直撃を受けその場に倒れていく。
「戦いにならん。一旦退却を!」
ルツコイはそう叫び、全軍に城に戻るように号令を掛けた。公国軍もそれに続いた。
城に戻った各司令官は会議室に集まって、今日の戦いについて話をしていた。
「今日、反乱軍の千五百は打ち取っただろう」。
「本陣まで、もう一歩のところでした」。
「しかし、あの雹は不自然だ。あのような雹が降るような季節でもないだろう」。
「あれは、大気魔術なのでは?」
ユルゲンが言う。
「そうかもしれません」。フルニエが頷いて答えた。「私も雹を降らせる魔術を見たことがあります」。
彼は二年前の “ソローキン反乱” の時、ソローキンが率いる帝国軍が公国の首都ソントルヴィレに迫った時、ヴィット王国の魔術師達が魔術で雹を降らせて、帝国軍の攻撃を退けたのだ。
ルツコイは不満げに言う。
「帝国にはあのような魔術を使えるものは居ないはずだ」。
「もしかて、ヴィット王国の者が反乱軍に味方しているのか?」
「もし、あれが魔術だとすると、戦略を練り直さないといけない。攻め方を間違えると、こちらが全滅する」。
しかし、そこにいる者に、魔術に対して何か対策を打ち出せるものは居なかった。当面、様子見で出撃は控えるということになった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる