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遭遇
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翌朝。今日は曇り空だが気温は少々高いようだ。
時間通りに、私とオットー、ソフィアは宿屋のロビーに集合した。
「師。おはようございます」。
オットーは昨夜の酒が残って、若干、二日酔いだ。それをごまかすように、何とか明るく振舞って挨拶した。
私は、彼の顔色が悪いのを見て、声を掛けた。
「体調、悪そうだな」。
「昨夜、知人と偶然再会して、ちょっと飲みすぎました」。
「知人と会えたのか。それはよかったな」。
モルデンでは軍人だけでなく市民も大勢犠牲になったと聞く、そんな状況で、知人と再会できた嬉しさは想像に難くない。私は、二日酔いのことは触れずに置いた。
ソフィアのほうも、まだ昨日の初実戦の影響でまた気分が優れなさそうだ。
「ソフィア、君も大丈夫か?」
と、私は声を掛けた。
「大丈夫です」。
ソフィアは無理に微笑んで見せた。しかし、顔色はあまりよくない。
「ところで、知人と会った話ですが」。オットーが私に話しかけてきた。「彼と一緒に酒場に行ってきたのですが、そこでヴィット王国の者に会いました」。
「ヴィット王国の?珍しいな」。
「あの服の刺繍は間違いありません。本人は商人だと言っていましたが、どうやら嘘のようです。何か隠しているみたいで」。
私は、ソフィアのルームメイトのアグネッタ・ヴィクストレーム以外ではヴィット王国の出身者を知らない。
「なるほど、不思議だな。ほかに何か言っていたか?」
「一年ぐらい前から、ここにいるそうです」。
「そういえば、アグネッタも一年ぐらい前から傭兵部隊に参加していたな」。
私は、ソフィアに向かって尋ねた。
「そうです」。
ソフィアは力なく答えた。
ヴィット王国の者はあまり国外に出ないと聞くが、その時はそれは珍しい、としか思わなった。
私は話題を変えた。
「私の方は、あの後、城の方に行って帝国の関係者、ここの治安部隊の副隊長という人物に会って、昨日の盗賊の事などを聞いてきた」。
三人は宿を出て、馬屋に方へ向かった。
「昨日の盗賊の遺体は、今日、帝国の者たちが処理をしてくれるそうだ」。私は話を続ける。「このあたりには、ただの盗賊と、元共和国軍の残党が盗賊まがいのことをしている、二つのグループがいるらしい。盗賊は主に旅人を襲うが、元共和国軍は帝国関係者を襲っているらしい。我々が昨日遭遇したのは、ただの盗賊だったようだ」。
「確かに、戦い方が訓練された兵士という感じはなかったですからね」。
オットーは、昨日の戦いの手ごたえを思い出しながら言った。
「共和国軍の残党は気になるな。帝国はたびたび街の周辺を捜索しているらしいが、住処や人数を把握できてないらしい」。
私は馬屋から馬の手綱を引き、馬屋から歩み出た。弟子の二人もそれに続く。
「帝国は、共和国軍残党やら、翼竜の襲撃やら、いろいろ問題がありますね」。
ソフィアが鞍に上がりながら言った。
「“帝国”であるがため、孕む問題だろう。侵略とその後の帝国の統治の手法は禍根しか残らない」。と言って、私も鞍に上がり、馬に合図を出し進み始めた。
私はふと空を見上げた。ズーデハーフェンシュタットは晴れの日が多いが、帝国の首都に向かって内陸に入るにつれ、空に雲が多いと感じるようになった。
モルデンを出発して午後には、帝国と共和国の国境であったズードヴァイフェル川という小さな川を渡り、夕方には最後の宿泊地であるヤチメゴロドへ着く予定だ。この川は大雨でも降らない限り、馬で渡ることのできる深さと穏やかな流れの速さだ。
辺りを見回すと川沿いの旧共和国であったのこちら側には土塁が長く築いてある。帝国の侵略に備えて十数年も前から準備して築いたものだ。しかしながら、二年前の戦争では易々と突破されてしまった。街道の近くには、国境警備隊の兵舎であっただろう焼け残った建物の跡が残っている。
ソフィアの叔父は当時、国境防衛隊にいて、戦争の端緒に行方不明になっていると聞いたことがある。それを思い出した私は、振り返ってソフィアを見た。ソフィアは、周辺をきょろきょろと見回している。
「ソフィア、大丈夫か?」
私は声を掛けた。
ソフィアは呼ばれてハッとして答えた。
「大丈夫です」。
その表情には陰りがある。やはり叔父のことを思っているのだろうか。
「ちょっと、あの焼け跡を見てみよう」。
私は兵舎跡を指し、三人はそちらの方へ馬を進めた。兵舎はかろうじて柱が残っているような状態だ。その柱も焼け焦げ、炭化して真っ黒になっている。足元には兵士が使っていたのであろう食器や家具の一部など焼け焦げた状態で散乱している。
私は馬を降り、食器の残骸を見るためしゃがみこんだ。
「ひどいな」。
と、言ったと同時に、何かが空を切る音がした。
それは、どこからか放たれた矢だ。矢は、私の近くの焼け焦げた柱に突き刺さった。反射的に私は身を伏せ、矢が飛んできた方向に目を向けた。何者かが馬で逃げ去るのが見えた。まだ馬上に居たオットーとソフィアは、すぐさま手綱で馬を叩き、その者の追跡を開始した。
「まて、追うな!」
私は二人に向かって叫んだ。
二人には私の声が届かったのか、そのまま謎の射手を追い続ける。私もあわてて馬に戻り、二人の後を追った。
二人は必死に追うも謎の射手との距離は縮まらない。少し遅れて私も二人に続く。
しばらく追うと、道は草原からゴツゴツした岩場へと変った。道の両脇は小高い崖になっている。
この地形は、まずい。と思ったと同時に先を行く二人の馬が止まった。私も二人に追い付いた。そこで、二人が止まった理由が分かった。
追っていた射手はふりかえった。そして、正面には五、六人の武装した人物が立っていた。その風貌から彼らは剣士や魔術師であろう。
私がオットーとソフィアに追いついたと同時に二人は剣を抜いた。
その時、同時に崖の上から何者かが声を上げた。
「武器を捨てて降伏しろ」。
声の方に目を向けると、崖の上にも五人の弓を構えた人物が並んでいた。反対側の崖にも同様に五人の人物がこちらを狙っている。
ここで、抵抗しても弓をかわし切れないだろう。
「仕方ない、ここは従おう」。
私はそういうと、剣とナイフを捨てた。オットーとソフィアもそれに続いて剣を地面に投げ捨てた。
時間通りに、私とオットー、ソフィアは宿屋のロビーに集合した。
「師。おはようございます」。
オットーは昨夜の酒が残って、若干、二日酔いだ。それをごまかすように、何とか明るく振舞って挨拶した。
私は、彼の顔色が悪いのを見て、声を掛けた。
「体調、悪そうだな」。
「昨夜、知人と偶然再会して、ちょっと飲みすぎました」。
「知人と会えたのか。それはよかったな」。
モルデンでは軍人だけでなく市民も大勢犠牲になったと聞く、そんな状況で、知人と再会できた嬉しさは想像に難くない。私は、二日酔いのことは触れずに置いた。
ソフィアのほうも、まだ昨日の初実戦の影響でまた気分が優れなさそうだ。
「ソフィア、君も大丈夫か?」
と、私は声を掛けた。
「大丈夫です」。
ソフィアは無理に微笑んで見せた。しかし、顔色はあまりよくない。
「ところで、知人と会った話ですが」。オットーが私に話しかけてきた。「彼と一緒に酒場に行ってきたのですが、そこでヴィット王国の者に会いました」。
「ヴィット王国の?珍しいな」。
「あの服の刺繍は間違いありません。本人は商人だと言っていましたが、どうやら嘘のようです。何か隠しているみたいで」。
私は、ソフィアのルームメイトのアグネッタ・ヴィクストレーム以外ではヴィット王国の出身者を知らない。
「なるほど、不思議だな。ほかに何か言っていたか?」
「一年ぐらい前から、ここにいるそうです」。
「そういえば、アグネッタも一年ぐらい前から傭兵部隊に参加していたな」。
私は、ソフィアに向かって尋ねた。
「そうです」。
ソフィアは力なく答えた。
ヴィット王国の者はあまり国外に出ないと聞くが、その時はそれは珍しい、としか思わなった。
私は話題を変えた。
「私の方は、あの後、城の方に行って帝国の関係者、ここの治安部隊の副隊長という人物に会って、昨日の盗賊の事などを聞いてきた」。
三人は宿を出て、馬屋に方へ向かった。
「昨日の盗賊の遺体は、今日、帝国の者たちが処理をしてくれるそうだ」。私は話を続ける。「このあたりには、ただの盗賊と、元共和国軍の残党が盗賊まがいのことをしている、二つのグループがいるらしい。盗賊は主に旅人を襲うが、元共和国軍は帝国関係者を襲っているらしい。我々が昨日遭遇したのは、ただの盗賊だったようだ」。
「確かに、戦い方が訓練された兵士という感じはなかったですからね」。
オットーは、昨日の戦いの手ごたえを思い出しながら言った。
「共和国軍の残党は気になるな。帝国はたびたび街の周辺を捜索しているらしいが、住処や人数を把握できてないらしい」。
私は馬屋から馬の手綱を引き、馬屋から歩み出た。弟子の二人もそれに続く。
「帝国は、共和国軍残党やら、翼竜の襲撃やら、いろいろ問題がありますね」。
ソフィアが鞍に上がりながら言った。
「“帝国”であるがため、孕む問題だろう。侵略とその後の帝国の統治の手法は禍根しか残らない」。と言って、私も鞍に上がり、馬に合図を出し進み始めた。
私はふと空を見上げた。ズーデハーフェンシュタットは晴れの日が多いが、帝国の首都に向かって内陸に入るにつれ、空に雲が多いと感じるようになった。
モルデンを出発して午後には、帝国と共和国の国境であったズードヴァイフェル川という小さな川を渡り、夕方には最後の宿泊地であるヤチメゴロドへ着く予定だ。この川は大雨でも降らない限り、馬で渡ることのできる深さと穏やかな流れの速さだ。
辺りを見回すと川沿いの旧共和国であったのこちら側には土塁が長く築いてある。帝国の侵略に備えて十数年も前から準備して築いたものだ。しかしながら、二年前の戦争では易々と突破されてしまった。街道の近くには、国境警備隊の兵舎であっただろう焼け残った建物の跡が残っている。
ソフィアの叔父は当時、国境防衛隊にいて、戦争の端緒に行方不明になっていると聞いたことがある。それを思い出した私は、振り返ってソフィアを見た。ソフィアは、周辺をきょろきょろと見回している。
「ソフィア、大丈夫か?」
私は声を掛けた。
ソフィアは呼ばれてハッとして答えた。
「大丈夫です」。
その表情には陰りがある。やはり叔父のことを思っているのだろうか。
「ちょっと、あの焼け跡を見てみよう」。
私は兵舎跡を指し、三人はそちらの方へ馬を進めた。兵舎はかろうじて柱が残っているような状態だ。その柱も焼け焦げ、炭化して真っ黒になっている。足元には兵士が使っていたのであろう食器や家具の一部など焼け焦げた状態で散乱している。
私は馬を降り、食器の残骸を見るためしゃがみこんだ。
「ひどいな」。
と、言ったと同時に、何かが空を切る音がした。
それは、どこからか放たれた矢だ。矢は、私の近くの焼け焦げた柱に突き刺さった。反射的に私は身を伏せ、矢が飛んできた方向に目を向けた。何者かが馬で逃げ去るのが見えた。まだ馬上に居たオットーとソフィアは、すぐさま手綱で馬を叩き、その者の追跡を開始した。
「まて、追うな!」
私は二人に向かって叫んだ。
二人には私の声が届かったのか、そのまま謎の射手を追い続ける。私もあわてて馬に戻り、二人の後を追った。
二人は必死に追うも謎の射手との距離は縮まらない。少し遅れて私も二人に続く。
しばらく追うと、道は草原からゴツゴツした岩場へと変った。道の両脇は小高い崖になっている。
この地形は、まずい。と思ったと同時に先を行く二人の馬が止まった。私も二人に追い付いた。そこで、二人が止まった理由が分かった。
追っていた射手はふりかえった。そして、正面には五、六人の武装した人物が立っていた。その風貌から彼らは剣士や魔術師であろう。
私がオットーとソフィアに追いついたと同時に二人は剣を抜いた。
その時、同時に崖の上から何者かが声を上げた。
「武器を捨てて降伏しろ」。
声の方に目を向けると、崖の上にも五人の弓を構えた人物が並んでいた。反対側の崖にも同様に五人の人物がこちらを狙っている。
ここで、抵抗しても弓をかわし切れないだろう。
「仕方ない、ここは従おう」。
私はそういうと、剣とナイフを捨てた。オットーとソフィアもそれに続いて剣を地面に投げ捨てた。
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