雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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新生徒会は呉越同舟編

お菓子パーティー

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 水曜日。
 いよいよ応援演説の日となった。
 僕は、応援演説の時に話す内容の書かれたカンペを忘れずに持って家を出た。
 午前中は、通常の授業が行われ、午後は全校生徒が体育館に集まって、生徒会長候補と応援弁士の演説を聞くことになる。

 昼休み。
 僕と毛利さんが机を合わせて弁当を食べているところに雪乃が歩み寄ってきた。

 雪乃は軽く打ち合わせをしたいようだ。
 雪乃は尋ねてきた。
「純也、応援演説、よろしくね。準備は万端?」

「もちろん」
 僕は珍しく自信満々に答えた。
「考えてきた内容を見てみるかい?」
 一応、カンペを雪乃に見せて確認してもらおう。
 僕はカンペを取り出して見せた。

 雪乃はそれを受け取って軽く読んでみる。
「ふーん、いいわね」
 そういって、僕にカンペを返してきて微笑んだ。

 まあ、事前の調査では、雪乃の圧倒的優勢だから、あまり心配することもなく僕らには精神的余裕があった。

 雪乃は続ける。
「今日の放課後、当選の前祝いをやるんだけど、純也たちも来るよね?」

「え? 前祝い?」

「そうよ。圧倒的な勝利は確実なようだから、もう、打ち上げをやっちゃおうって思って」

 さすがにそれは、油断のしすぎなのでは?
 とも思ったが、断る理由もなく、僕は快諾した。
「わかった、参加するよ…。どこでやるの?」

「生徒会室よ。私の発案で、伊達先輩たち現役員と将来の役員が集まって、お菓子パーティーでもしようかなって」

 僕は副会長候補だし、毛利さんは書記候補だからな。

「あ、そう。じゃあ、放課後行くよ」
 僕は、そう言って会話を終了した。

 そして、昼休みが終わり、演説会のために体育館に向かう。
 全校生徒が一斉にぞろぞろと移動するので、廊下も混雑している。
 壇上にはテーブルと椅子が用意され、生徒会の選挙管理委員会で、司会進行役の伊達先輩が端っこで座っている。
 壇上の右側に僕と雪乃が並んで座り、反対側には、対立候補の今川さんと、見たことはあるが名前は知らない女子生徒が並んで座っている。

 全校生徒がそろったところで、伊達先輩が話を始める。
「では、雑司が谷高校生徒会長選挙の公開討論会を始めます」
 伊達先輩は、これからの流れを簡単に説明すると、さっそく演説に入る。
 最初は、今川さん。

 今川さんは、つかつかと壇上の真ん中に歩み寄ると、マイクに向かって話し始める。
 内容は、校則を守って規律正しい生活を、というようなお堅い内容。
 今川さん、少々緊張しているようで、たびたび噛んでしまっていた。

 続いて、雪乃。
 演劇部で人前に立つのに慣れている彼女は、ぜんぜん緊張している様子がない。
 余裕の笑みも見えた。
 話す内容は、現会長の伊達先輩の方針を継続しつつ、生徒の要望を聞いて楽しい学校生活を、とかなんとか言うような軽い内容。

 やっぱり、お堅い内容より、軽いほうが受けがいいだろうな。

 そして、応援演説。
 今川さんのサイドの応援演説は、今川さんがいかに風紀委員で頑張ってきたかとか、生活態度が真面目だとかそういう内容だった。

 最後に僕の応援演説。
 昨年ほど緊張はしていないが、やっぱり人前に立つのは苦手だ。

 僕を見ている生徒たちから、「エロマンガ伯爵だ」という声とともに失笑が漏れた。
 その不名誉な呼び名は、まだ有効なのか。
 そして、1年生がいるあたりから、「あの2人って、食堂でキスしてたよね?」という声も聞こえた。
 先日、演劇部の宣伝で、雪乃の芝居に巻き込まれて、公衆の面前でキスしたからな。知れ渡ってしまっている。
 僕らの公開キスは選挙に悪影響は出ていないようだが。

 僕はカンペを広げて、応援演説を始める。
 雪乃は、いろんなことに果敢に挑戦するアグレッシブな性格で、挑戦するだけでなくほとんどすべてで成果を上げているというような内容を中心に褒めちぎった。
 楽しい学校生活になるに間違いない、みたいなことを言って締めくくった。

 演説を終えた僕が席に戻ると「お疲れ」と雪乃が労ってくれた。

 その後は雪乃と今川さんで公開討論。

 僕はただ聞いているだけだったが、ここでも雪乃は有利な雰囲気で進んでいる。
 やっぱり、雪乃の圧倒的な勝利で終わりそうだな。

 選挙演説会が終わると、放課後となった。
 いったん教室に戻り、先ほど、雪乃から提案のあったお菓子パーティーに参加するため僕と毛利さんは生徒会室に向かった。

 参加者が三々五々集まってきた。

 現生徒会=会長の伊達先輩、副会長の松前先輩、書記の佐竹先輩、会計の津軽先輩。
 次期生徒会=会長の雪乃、副会長の僕、書記の毛利さん、会計の佐久間さん。
 ほかにも雪乃の選挙を手伝った数名の陽キャ仲間がやってきた。
 僕以外、女子ばっかり。

 参加者が少しずつお金を出し合って、近所のミニスーパーにドリンクとお菓子を買いに行くことになった。
 この場に男子は僕しかいないので、僕がメインの荷物持ちで、雪乃と毛利さん、佐久間さんの4人で買い出しに行く。

 無事、戻って購入物をテーブルの上に展開する。
 そして、宴会開始。

 佐久間さんが音頭をとる。
「織田雪乃の生徒会長当選を祝って、乾杯!」
 それぞれ手に持った紙コップで乾杯をして、お菓子を食べ始める。

 宴会は盛り上がっているが、伊達先輩が少々浮かない顔をしているのが気になって、僕は彼女に近づいて話しかけた。
「どうしたんですか? 浮かない顔ですね」

「ええ。ちょっと、気になることがあって」

 伊達先輩、前も同じようなことを言ってたな。
「雪乃が落選するかもしれないのですか?」
 僕はちょっと不安になった。

「当選は大丈夫だと思うんだけど、その後がね…」

 雪乃だと生徒会長職が、できないとでも言うのだろうか?
 他に何かあるのだろうか?
 巻き込まれるのも嫌だし、あまり深入りしないほうがいいかな、と思って僕は話を終えて、毛利さんのそばに移動して、その後は宴会を楽しんだ。 
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