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共和国派の内紛
ベルグブリック1
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大陸歴1658年4月22日・ベルグブリック
マリア・リヒターは、遊撃部隊の隊長であるユルゲン・クリーガーの命令で、モルデンから北西にある街ベルグブリックに向かっていた。
クリーガーが、偽の命令書を使い、モルデンの副司令官を騙し、街の支配権を掌握したということをベルグブリックに集結しているはずの共和国派の部隊に伝えるためだ。
ベルグブリックにいる共和国派には、ヴァイテステン収容所に捕らわれていた精鋭であった“深蒼の騎士”の数多くが解放され、仲間として参加していると聞いている。そんな彼らがモルデンの共和国派に合流すれば大きな戦力の拡充になるだろう。
マリアは、十日ほど前の重装騎士団との戦いで受けた右腕の怪我の具合を確認する。クリーガーには『もう大丈夫』といったが、本当は大丈夫ではなかった。傷口はふさがったが、うまく指を動かすことができない状態であった。これでは剣を持つことも覚束ない。
マリアは馬を急がせる。途中、野宿を一度し、二日かけてベルグブリックに到着した。到着した時間は夕刻、陽も落ちてきて辺りは暗くなりつつあった。街の方に松明の光がいくつか見えた。
ベルグブリックという街はさほど大きくない。外壁や砦もないが、街の入り口付近で警戒している者達が数人いた。
彼らは、マリアの姿を見ると警戒して剣を抜いた。
「何者だ」
一人が叫んだ。
マリアは馬上から大声で答えた
「私は、マリア・リヒター。ユルゲン・クリーガーの命でやって来た。ここを指揮している者に会いに来た」
「なんだと? ユルゲン・クリーガー?」
彼らは二、三言何か話し合うとマリアに言った。
「少し待て」
彼らの内の一人が街の中の方に向かって行った。
マリアはしばらく待たされた。そして、街の中に向かった男が戻ってきて言った。
「着いて来い」
マリアは馬を降り、手綱を引いて男の後に続く。
少し歩いて、ある建物の前に着く。どうやら宿屋のようだ。
男に中に案内される。マリアは馬を外の柱に繋げると、その後に続いて宿屋の中に入った。
中はロビーで、テーブルと椅子が多数あり、そこで数名の男が話し合いをしていた。
その中に共和国派の首領ダニエル・ホルツの姿を見つけることが出来た。
ホルツもマリアの姿に気が付いて立ち上がり、大声で呼びかけて来た。
「おお!リヒターさん」
「お久しぶりです」
ここを指揮しているのが、以前に一度会ったこのとあるダニエル・ホルツで、マリアは少々安心した。クリーガーからはここの指揮をしている者が誰かわからないと聞いていたからだ。
ホルツはマリアに握手を求めて来た。そして、ホルツは隣にいる人物を紹介した。
「こちらは“深蒼の騎士” の騎士団長だったカール・ブロンベルクだ」
ブロンベルクの名前はよく知っている、共和国が帝国に占領される前、首都防衛隊の隊長だった人物だ。マリア自身も首都防衛隊に所属していたので、遠目に彼の事を見たことがあった。
「よろしく」
ブロンベルクは軽く頭を下げた。
マリアも会釈し言った。
「ブロンベルクさん。私も首都防衛隊に所属していました」
「そうでしたか、では私の元部下という事ですね」
ブロンベルクはそういって微笑んだ。
ホルツが改めてマリアに質問をぶつけた。
「しかし、どうしてここまで?」
「クリーガー隊長が、モルデンを掌握しました」
「なんだって?!」
そこにいた全員が驚きの声を上げた
「一体どうやって?!」
「クリーガー隊長が、モルデンを統治している旅団の司令官に就任したという偽の命令書を使いました。今、モルデンは完全に共和国派の支配下です」
「間違いないのだな?」
「もちろんです」
「おお!それは素晴らしい」
皆が歓喜の声を上げた。
「明日の朝、モルデンに向けて出発しよう!」
ホルツ達は気勢を上げた。
「全員に出発の準備をしておくように伝えろ」
ホルツは近くの仲間にそう言う。仲間たちは宿屋から出て、他の場所で待機しているのであろう残りの仲間に伝えに言ったようだ。
ホルツ達がモルデンの共和国派と合流すれば戦力の拡充となるだろう。とは言え、帝国軍数に比べると、まだまだ圧倒的に少ない。クリーガーの帝国軍の説得がうまくいくかどうかが我々の命運を決める。彼を信じるしかない。
マリアは宿屋の部屋を一つ案内され、明日の朝までそこで過ごすことにした。
マリア・リヒターは、遊撃部隊の隊長であるユルゲン・クリーガーの命令で、モルデンから北西にある街ベルグブリックに向かっていた。
クリーガーが、偽の命令書を使い、モルデンの副司令官を騙し、街の支配権を掌握したということをベルグブリックに集結しているはずの共和国派の部隊に伝えるためだ。
ベルグブリックにいる共和国派には、ヴァイテステン収容所に捕らわれていた精鋭であった“深蒼の騎士”の数多くが解放され、仲間として参加していると聞いている。そんな彼らがモルデンの共和国派に合流すれば大きな戦力の拡充になるだろう。
マリアは、十日ほど前の重装騎士団との戦いで受けた右腕の怪我の具合を確認する。クリーガーには『もう大丈夫』といったが、本当は大丈夫ではなかった。傷口はふさがったが、うまく指を動かすことができない状態であった。これでは剣を持つことも覚束ない。
マリアは馬を急がせる。途中、野宿を一度し、二日かけてベルグブリックに到着した。到着した時間は夕刻、陽も落ちてきて辺りは暗くなりつつあった。街の方に松明の光がいくつか見えた。
ベルグブリックという街はさほど大きくない。外壁や砦もないが、街の入り口付近で警戒している者達が数人いた。
彼らは、マリアの姿を見ると警戒して剣を抜いた。
「何者だ」
一人が叫んだ。
マリアは馬上から大声で答えた
「私は、マリア・リヒター。ユルゲン・クリーガーの命でやって来た。ここを指揮している者に会いに来た」
「なんだと? ユルゲン・クリーガー?」
彼らは二、三言何か話し合うとマリアに言った。
「少し待て」
彼らの内の一人が街の中の方に向かって行った。
マリアはしばらく待たされた。そして、街の中に向かった男が戻ってきて言った。
「着いて来い」
マリアは馬を降り、手綱を引いて男の後に続く。
少し歩いて、ある建物の前に着く。どうやら宿屋のようだ。
男に中に案内される。マリアは馬を外の柱に繋げると、その後に続いて宿屋の中に入った。
中はロビーで、テーブルと椅子が多数あり、そこで数名の男が話し合いをしていた。
その中に共和国派の首領ダニエル・ホルツの姿を見つけることが出来た。
ホルツもマリアの姿に気が付いて立ち上がり、大声で呼びかけて来た。
「おお!リヒターさん」
「お久しぶりです」
ここを指揮しているのが、以前に一度会ったこのとあるダニエル・ホルツで、マリアは少々安心した。クリーガーからはここの指揮をしている者が誰かわからないと聞いていたからだ。
ホルツはマリアに握手を求めて来た。そして、ホルツは隣にいる人物を紹介した。
「こちらは“深蒼の騎士” の騎士団長だったカール・ブロンベルクだ」
ブロンベルクの名前はよく知っている、共和国が帝国に占領される前、首都防衛隊の隊長だった人物だ。マリア自身も首都防衛隊に所属していたので、遠目に彼の事を見たことがあった。
「よろしく」
ブロンベルクは軽く頭を下げた。
マリアも会釈し言った。
「ブロンベルクさん。私も首都防衛隊に所属していました」
「そうでしたか、では私の元部下という事ですね」
ブロンベルクはそういって微笑んだ。
ホルツが改めてマリアに質問をぶつけた。
「しかし、どうしてここまで?」
「クリーガー隊長が、モルデンを掌握しました」
「なんだって?!」
そこにいた全員が驚きの声を上げた
「一体どうやって?!」
「クリーガー隊長が、モルデンを統治している旅団の司令官に就任したという偽の命令書を使いました。今、モルデンは完全に共和国派の支配下です」
「間違いないのだな?」
「もちろんです」
「おお!それは素晴らしい」
皆が歓喜の声を上げた。
「明日の朝、モルデンに向けて出発しよう!」
ホルツ達は気勢を上げた。
「全員に出発の準備をしておくように伝えろ」
ホルツは近くの仲間にそう言う。仲間たちは宿屋から出て、他の場所で待機しているのであろう残りの仲間に伝えに言ったようだ。
ホルツ達がモルデンの共和国派と合流すれば戦力の拡充となるだろう。とは言え、帝国軍数に比べると、まだまだ圧倒的に少ない。クリーガーの帝国軍の説得がうまくいくかどうかが我々の命運を決める。彼を信じるしかない。
マリアは宿屋の部屋を一つ案内され、明日の朝までそこで過ごすことにした。
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