16 / 24
第一章
第16話 《シルビア》
しおりを挟む
◆◆◆
「死ぬのはお前だけだ、日本人」
「同じ日本人が言うとはね…………ボス」
やっと気づいたか。
わずかに口角が上がった俺を睨みつける《シルビア》。
正直このまま気づかないんじゃないか、とヒヤヒヤしていたのだ。
「気が付くのがあまりに遅いな。……その素質を開花させようとも思ったが、ゆっくり検討し直そう」
「遅いも何も、あんなヒントじゃさすがに分からないよ。たったいま確信したくらいだし」
そういって引き金に指をかける《シルビア》。
牽制のつもりだろうか、何の意味もないのに。
「えーっと、ボク、ベッドからだと見えないんだけど、誰かいるの?」
「ああ。悪い、カナ。俺に用がある人がいるみたいなんだ」
終始カナには見えないよう、病室のドアを閉めた。
やりとりは続く。
《シルビア》は銃口を向けたままだが、俺に拳銃は通用しない。
「なぜわからない? ただの子供が『レネゲイド』の最高幹部と、本気で対等に会話できるとでも思っていたのか?」
全てはあの酒場で明かされていたのだ。
あれだけのヒントがあれば、彼女が先に地下フロアに入る前から分かっていて当然である。
そんな蔑むような俺の視線には気づいたようだ。
「君はいちいち人を挑発しないと気が済まないのかな」
「もちろんだとも。俺の組織に出来の悪い構成員は不要だからな」
彼女の眼光が鋭くなる。
出来が悪いことに変わりはない。これくらいでなければ、ウチの構成員など到底務まらない。
「どうした《シルビア》。ここで殺すか? その銃で?」
対する俺は、まさに余裕綽々といった態度で服装の乱れを正す。
ジャケットを整えるようにフロントを開き、服の内側を見せつけた。
「っ……」
このジャケットはやはりいい。
父の仕事に合わせて機能性を追求したが、これだけあれば十分だ。
「悪いがここで俺を撃っても、お前の目的は達成されないだろうな。どれか一つでもピンが外れれば、その瞬間お前は再び転生することになる」
「なんでそんなものがこの時代にあるのかな……」
ふむ……少し前に、その身をもって体験したはずなのだが。
「発煙筒やリボルバーが作れる俺に、手榴弾が作れないはずがないだろう」
どうやら彼女は世界史が苦手らしい。火薬は人類の三大発明だぞ。
この世界では違うらしいが。
「安心しろ、組織を裏切るのは自由だ」
「裏切者は殺すのが『レネゲイド』の掟じゃなかった?」
「何もしないとは言っていない。組織のために尽くすのも裏切るのも、全て自己責任ということだ」
したいならすればいい、ただそれだけのことだ。
……だが、このまま銃口を向けられたまま、というのは気分が悪い。
効果が大きいかは分からないが、少しカマをかけてみよう。効果がないということはないはずだ。
「お前の、いや、我々の目的――『叛逆』をあきらめるなら、そのまま引き金を引け。『大革命』を起こしたいなら、その銃を捨てろ」
その言葉に《シルビア》の瞳が揺らぐ。
彼女だってとっくに理解しているはずだ。俺に弾丸を命中させても、自分の命が危うくなることくらい。
「……分かった。降参だよ」
そういうと彼女はリボルバーの……トリガーガード、だったか。
引き金の輪っかの部分を指で器用に半回転させ、グリップをこちらへ、そして相対的に銃口を自分のほうへ向けて差し出した。
「いい心がけだ」
俺は差し出されたその銃を受け取って、同じように回転し――
パアン!
迷うことなく彼女の額に発砲した。
キン、と、弾丸が床に落ちる音がしあ。
「今日の不敬な行動はこれで帳消しにする。《シルビア》、ついてこい」
《シルビア》は無言で放心状態のまま、しばらく動けなかった。
◆◆◆
俺はカナのことをコピーに任せ、《シルビア》とともに「ハウス」に来ていた。
先日ケアンとも仕事の話をした「ハウス」最奥、その部屋の存在を知る幹部らに「玉座」とも呼ばれるボスの部屋にて。
「それで、私はここで何をするんだい?」
客人用のソファに心底おびえた様子で座る《シルビア》。
せっかく用意した紅茶にも手をつけていない。
この世界では貴族でも飲めるかどうか、という代物なのだが。
「安心しろ、正式な入団を認める紋章を入れるだけだ」
小さな薔薇のデザインを頭の中で再構築しながら、俺は《シルビア》に話をすることにした。
「そう警戒するな。今は組織のボスとしてお前と対話しているが、家に帰ればただの弟子くんにすぎない」
「そうは言っても……」
「……まあ無理もない、か」
だが、それではなんの進歩もない。
勝手に話を進めようと思う。
「作業には時間がかかるからな。三つ、お前の知らないことを教えてやろう」
「最初は二つ。この組織――『レネゲイド』の設立した理由と、その名の由来だ」
「……だが、これを話すにあたっては、ひとつだけ《シルビア》に質問しなければならない」
彼女は無言である。
「話したくなければ、話さなくてもいい。お前がこの異世界に来た経緯を教えてくれ」
「わかりました……」
《シルビア》は、どうやら話さないといけないことも理解していたようだった。
それだけ言ってから彼女は、俺の出した紅茶を一口飲んでから、事の成り行きを語り出した。
◆◆◆
「まず、ボスは私のことを、ひとつだけ勘違いしています……」
「敬語はいい。……俺も口調を変えますから、楽なように話してください」
「はい……いや、う、うん……わかった」
こうも気を張っては重要な話もできないだろう。
「それで、勘違いって?」
まだ《シルビア》についての情報は少ない。何かを決めつけた覚えはないが。
「私はね……」
そこから聞いた話は、確かに俺の勘違いで……想像を絶する内容だった。
「……私は、前世の記憶──確かに生きた人生の思い出を、何も覚えていないんだ」
「…………どういうことですか?」
「こういうの、記憶障害って言うのかな」
ため息をつきながら《シルビア》は語る。
その姿にどこか空虚な存在を感じる。
「日本語や前世で積んだ知識なんかは覚えてるんだけどね。…………向こうで私が誰だったのか、どこで生まれ育ったか、どんな性格で、歳がいくつでなぜ死んだのか、とか、丸々記憶が抜け落ちてるんだ」
「……ほう」
これまで俺はそれなりの数の転生者を見てきたが、こんな症例は聞いたことがない。
「だから今、異世界にいる私の性格は異世界でできたものだし、人生経験もすべて異世界で積んだものなんだよ」
「そうか……」
彼女が昨日言っていた「すぐにでも話さなければいけないこと」とは、このことだったというわけだ。
「でも、向こうでの知識はある程度残ってるんですよね?」
「うん。……それも、その知識が戻ったのは私が十二歳くらいのときだったんだ。急に色んなことが頭に浮かんで、でも全部前から知っていた気がした」
人間の脳は十二歳で大人と変わらないスペックになると言われている。
彼女の脳に、いわば記憶可能な容量が前世の情報にも耐えられるほど成長した時期に、急激に流れ込んできたらしい。
俺は、とある可能性を頭の中で浮かべた。
…………いや、まだ可能性にすぎない。
「なら、師匠は異世界に転生したとも思っていなかったんですね?」
「そのとおり。結局マトモに生活もできなかったから、自分のスキルも自分で研究しないとわからなかった」
「ましてや転生特典なんてものが自分にもあるとは、君が日本人だと気づくまで思ってもいなかったんだ。《ファリス》……私のお師匠さまにも言ってないよ」
なるほど。
確かにこれは、非常に重要な情報だ。
「このことは内密にします」
「大丈夫だと思うけど……一応お願いね」
「わかりました」
こちらも手元のティーカップを持ち、一口。
ああ、やはり紅茶はいい。思考がクリアになる。
「それじゃ、私に聞かせてくれるかな?」
そういって身を乗り出す《シルビア》。
「いいですよ」
「まず、我が組織『レネゲイド』がなぜ、反逆という名前なのか、そこから話すとしよう」
「死ぬのはお前だけだ、日本人」
「同じ日本人が言うとはね…………ボス」
やっと気づいたか。
わずかに口角が上がった俺を睨みつける《シルビア》。
正直このまま気づかないんじゃないか、とヒヤヒヤしていたのだ。
「気が付くのがあまりに遅いな。……その素質を開花させようとも思ったが、ゆっくり検討し直そう」
「遅いも何も、あんなヒントじゃさすがに分からないよ。たったいま確信したくらいだし」
そういって引き金に指をかける《シルビア》。
牽制のつもりだろうか、何の意味もないのに。
「えーっと、ボク、ベッドからだと見えないんだけど、誰かいるの?」
「ああ。悪い、カナ。俺に用がある人がいるみたいなんだ」
終始カナには見えないよう、病室のドアを閉めた。
やりとりは続く。
《シルビア》は銃口を向けたままだが、俺に拳銃は通用しない。
「なぜわからない? ただの子供が『レネゲイド』の最高幹部と、本気で対等に会話できるとでも思っていたのか?」
全てはあの酒場で明かされていたのだ。
あれだけのヒントがあれば、彼女が先に地下フロアに入る前から分かっていて当然である。
そんな蔑むような俺の視線には気づいたようだ。
「君はいちいち人を挑発しないと気が済まないのかな」
「もちろんだとも。俺の組織に出来の悪い構成員は不要だからな」
彼女の眼光が鋭くなる。
出来が悪いことに変わりはない。これくらいでなければ、ウチの構成員など到底務まらない。
「どうした《シルビア》。ここで殺すか? その銃で?」
対する俺は、まさに余裕綽々といった態度で服装の乱れを正す。
ジャケットを整えるようにフロントを開き、服の内側を見せつけた。
「っ……」
このジャケットはやはりいい。
父の仕事に合わせて機能性を追求したが、これだけあれば十分だ。
「悪いがここで俺を撃っても、お前の目的は達成されないだろうな。どれか一つでもピンが外れれば、その瞬間お前は再び転生することになる」
「なんでそんなものがこの時代にあるのかな……」
ふむ……少し前に、その身をもって体験したはずなのだが。
「発煙筒やリボルバーが作れる俺に、手榴弾が作れないはずがないだろう」
どうやら彼女は世界史が苦手らしい。火薬は人類の三大発明だぞ。
この世界では違うらしいが。
「安心しろ、組織を裏切るのは自由だ」
「裏切者は殺すのが『レネゲイド』の掟じゃなかった?」
「何もしないとは言っていない。組織のために尽くすのも裏切るのも、全て自己責任ということだ」
したいならすればいい、ただそれだけのことだ。
……だが、このまま銃口を向けられたまま、というのは気分が悪い。
効果が大きいかは分からないが、少しカマをかけてみよう。効果がないということはないはずだ。
「お前の、いや、我々の目的――『叛逆』をあきらめるなら、そのまま引き金を引け。『大革命』を起こしたいなら、その銃を捨てろ」
その言葉に《シルビア》の瞳が揺らぐ。
彼女だってとっくに理解しているはずだ。俺に弾丸を命中させても、自分の命が危うくなることくらい。
「……分かった。降参だよ」
そういうと彼女はリボルバーの……トリガーガード、だったか。
引き金の輪っかの部分を指で器用に半回転させ、グリップをこちらへ、そして相対的に銃口を自分のほうへ向けて差し出した。
「いい心がけだ」
俺は差し出されたその銃を受け取って、同じように回転し――
パアン!
迷うことなく彼女の額に発砲した。
キン、と、弾丸が床に落ちる音がしあ。
「今日の不敬な行動はこれで帳消しにする。《シルビア》、ついてこい」
《シルビア》は無言で放心状態のまま、しばらく動けなかった。
◆◆◆
俺はカナのことをコピーに任せ、《シルビア》とともに「ハウス」に来ていた。
先日ケアンとも仕事の話をした「ハウス」最奥、その部屋の存在を知る幹部らに「玉座」とも呼ばれるボスの部屋にて。
「それで、私はここで何をするんだい?」
客人用のソファに心底おびえた様子で座る《シルビア》。
せっかく用意した紅茶にも手をつけていない。
この世界では貴族でも飲めるかどうか、という代物なのだが。
「安心しろ、正式な入団を認める紋章を入れるだけだ」
小さな薔薇のデザインを頭の中で再構築しながら、俺は《シルビア》に話をすることにした。
「そう警戒するな。今は組織のボスとしてお前と対話しているが、家に帰ればただの弟子くんにすぎない」
「そうは言っても……」
「……まあ無理もない、か」
だが、それではなんの進歩もない。
勝手に話を進めようと思う。
「作業には時間がかかるからな。三つ、お前の知らないことを教えてやろう」
「最初は二つ。この組織――『レネゲイド』の設立した理由と、その名の由来だ」
「……だが、これを話すにあたっては、ひとつだけ《シルビア》に質問しなければならない」
彼女は無言である。
「話したくなければ、話さなくてもいい。お前がこの異世界に来た経緯を教えてくれ」
「わかりました……」
《シルビア》は、どうやら話さないといけないことも理解していたようだった。
それだけ言ってから彼女は、俺の出した紅茶を一口飲んでから、事の成り行きを語り出した。
◆◆◆
「まず、ボスは私のことを、ひとつだけ勘違いしています……」
「敬語はいい。……俺も口調を変えますから、楽なように話してください」
「はい……いや、う、うん……わかった」
こうも気を張っては重要な話もできないだろう。
「それで、勘違いって?」
まだ《シルビア》についての情報は少ない。何かを決めつけた覚えはないが。
「私はね……」
そこから聞いた話は、確かに俺の勘違いで……想像を絶する内容だった。
「……私は、前世の記憶──確かに生きた人生の思い出を、何も覚えていないんだ」
「…………どういうことですか?」
「こういうの、記憶障害って言うのかな」
ため息をつきながら《シルビア》は語る。
その姿にどこか空虚な存在を感じる。
「日本語や前世で積んだ知識なんかは覚えてるんだけどね。…………向こうで私が誰だったのか、どこで生まれ育ったか、どんな性格で、歳がいくつでなぜ死んだのか、とか、丸々記憶が抜け落ちてるんだ」
「……ほう」
これまで俺はそれなりの数の転生者を見てきたが、こんな症例は聞いたことがない。
「だから今、異世界にいる私の性格は異世界でできたものだし、人生経験もすべて異世界で積んだものなんだよ」
「そうか……」
彼女が昨日言っていた「すぐにでも話さなければいけないこと」とは、このことだったというわけだ。
「でも、向こうでの知識はある程度残ってるんですよね?」
「うん。……それも、その知識が戻ったのは私が十二歳くらいのときだったんだ。急に色んなことが頭に浮かんで、でも全部前から知っていた気がした」
人間の脳は十二歳で大人と変わらないスペックになると言われている。
彼女の脳に、いわば記憶可能な容量が前世の情報にも耐えられるほど成長した時期に、急激に流れ込んできたらしい。
俺は、とある可能性を頭の中で浮かべた。
…………いや、まだ可能性にすぎない。
「なら、師匠は異世界に転生したとも思っていなかったんですね?」
「そのとおり。結局マトモに生活もできなかったから、自分のスキルも自分で研究しないとわからなかった」
「ましてや転生特典なんてものが自分にもあるとは、君が日本人だと気づくまで思ってもいなかったんだ。《ファリス》……私のお師匠さまにも言ってないよ」
なるほど。
確かにこれは、非常に重要な情報だ。
「このことは内密にします」
「大丈夫だと思うけど……一応お願いね」
「わかりました」
こちらも手元のティーカップを持ち、一口。
ああ、やはり紅茶はいい。思考がクリアになる。
「それじゃ、私に聞かせてくれるかな?」
そういって身を乗り出す《シルビア》。
「いいですよ」
「まず、我が組織『レネゲイド』がなぜ、反逆という名前なのか、そこから話すとしよう」
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる