神隠しに巻き込まれた2人が出逢う話

さんかく

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「しょっ、しょうがねぇだろ!嘘ついたら閻魔様に舌引っこ抜かれるって、じいちゃんの話、中学くらいまで信じてたんだから……」

拗ねたような口調で耳まで赤くした叶翔に、今はもうすっかり生意気になってしまった幼い頃の弟を思い出して、なんか、こう……可愛い。同級生の男に思うことじゃないけれど、幼い見た目と行動と言動が合わさって__

「__って違ぇ!」
「じゅ、純……?」
「脱出方法!知ってんならなんで教えてくれねぇんだよ!?」

あらぬ方向へと思考が向かっているのを慌てて抑えて再び問い詰める。出る方法を知っているのならなぜ3日もこの場所に留まっているのか。なぜ出ようとしないのか。
俺からしたら、叶翔が3日も留まっていてくれたおかげで、こうして叶翔と出会えて、わけの分からない状況でも大して取り乱さずにいられるのだけれど。

「俺は、早く帰りたい。あいつらにも監督たちにも家族にも心配かけちまう。最後の大会にも支障が出る可能性だってあるし。……だから、頼むから知ってることあんなら教えてくれ」

右へ左へと視線を彷徨わせる叶翔に、いくらか冷静になった頭で落ち着いた声色を意識して三度問えば、下から覗き込む形で俺の顔色を伺うように、おずおずと口を開いた。

「じゃあ……聞くけど」
「おう」
「その、純って……好きな人、いる?」
「……は?」

深刻そうな表情をしているから、何を言われるのかと身構えていれば“好きな人”とは。どうしてこの流れで、恋バナに発展するのか。

「いねぇ、けど……なんだよ、急に」
「えっと……俺もずっと作り話だって思ってたから、その話の細かいことまでは覚えてないんだけど……ここはね、縁結びの神社なんだって。じいちゃんにとって、ばあちゃんが運命の相手で、ここは“運命の人と出逢える神社”だって言ってた。だから、その……つまり、」
「つまり?」
「運命の人と、じゃないと、出られないんだと、思う」

言いにくそうに続いた言葉にようやく、なるほど、と今まで叶翔が言い渋っていた理由に納得した。確かに普通はそんなの信じねぇし、今の俺でも半信半疑だ。
それでもここに閉じ込められる前の俺なら欠片も信じなかっただろうから、半分だけでも信じられているのは確実にこの異常事態のせいだろう。

「な、んだ、そのメルヘンチックな脱出条件は……冗談、じゃあ、ねぇよな」
「こんな時に冗談なんて言うかよ。間違いない、と思う」

その根拠は?と、再び問うと、もうすぐ分かる、と、赤く染まった空を一瞥して短くそう答えた。

「もう少しで黄昏時だからな」


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