133 / 145
番外編
episode R & L 1
しおりを挟む
代表戦の壮行会が明日、行われるらしい。
私たちエルト代表選手は最後の特訓に励んでいた。
「ラロック!もっと距離を詰めるんだ!接近戦が得意な相手に対して極端に距離を開けちゃダメだ!逆にサキは魔法を使って距離を変えていかないといけないよ!ラロックに一定距離を保たれ続けているよ」
「うっす!」
「はい」
ラロック先輩と私の模擬戦を見ながら、レオン先輩が横でアドバイスをする。
私はアドバイスを受けて、手を前に出した。
「第一グランド」
「うおっ!?」
私は地面を少しだけ盛り上げラロック先輩の足元を不安定にする。
ラロック先輩はその地面にバランスを崩し、一瞬立ち止まった。
「ネル流武術スキル…陽ノ型・炎天華」
「う…!?」
私はラロック先輩に一気に距離を詰めて、その勢いを使ってジャンプし、上から手刀攻撃を行った。
ラロック先輩は両腕でガードしているが、そこでレフさんが攻撃が当たった声を上げる。
「はぁ!?今のは防いだだろ!?」
「手の先が…お腹に当たった…もん」
「んなもん攻撃にも入んねーだろ!?」
「もーラロックさん。そんなに意地にならないでくださいよ」
レフさんに抗議するラロック先輩をリリア先輩が止めながら、ラロック先輩と私に飲み物をくれた。
「くそっ…次こそぜってー勝つ…」
「のぞむ…ところ…」
「はは、二人ともやる気満々だね」
「もう…笑い事じゃないですよ。代表戦まであと一週間、今日で特訓は終わりなんですから」
お互いに睨み合うラロック先輩と私を、横でレオン先輩が面白そうに見ていた。
リリア先輩は心底心配そうにはぁ…とため息をついた。
「やる気のところあれなんだけど、今日はもう時間だよ。明日からはみんな体を休めて、体調を万全にすること。いいね」
レオン先輩に言われて、私たちは帰り支度を始める。
そして、4人で訓練室を出て玄関へ向かう。
「そういえば……去年の代表戦は……どうだったの…?」
ふと、気になったのでリリア先輩に聞いてみる。
すると、リリア先輩は困ったような笑顔になった。
「うぅん…実は私、去年は代表じゃないの。エルト開催だったから見てはいたんだけど…去年のことならレオン先輩かラロックさんのほうが詳しいよ」
「去年のことに興味があるのかい?」
「少し…ラロック先輩の……戦いっぷり…とか…」
「なんで俺なんだよ」
「なんとなく……?どうせ…レオン先輩は……めちゃくちゃだと思う…から」
「まぁ、それは当たってるな」
「めちゃくちゃとはひどいなぁ。ちょっと3人くらい倒しただけさ」
ほぼ全員じゃん!?
私が驚きの顔でレオン先輩を見ると、満足げなレオン先輩の顔が目に入った。
……自慢したかっただけだな…。
「でも、ラロックの話は僕も興味あるよ。ちょっと話を聞くためにも少し寄り道していかないかい?」
「はぁ?なんでそんな…」
「あ、私も聞きたいです」
「リリア…」
「それじゃあ…行きたいお店が…あります…」
「じゃあそこでじっくり聞こうじゃないか」
「決定かよ!?」
「サキちゃん、どこのお店?」
「商業区の…冬の木テラスって…お店」
「あぁ!そのお店、噂で聞いたことありますよ!可愛い店主さんが変わった料理を出してくれるって」
「よし、さっそく向かおうじゃないか」
「だから俺の意見は…」
「いいじゃないか。試合前に親睦を深めようよ」
「ラロックさん、いきましょうよ」
リリア先輩が言うと、ラロック先輩がしばらく黙ってからはぁ…と大きなため息をついた。
「わかったよ…ちょっとだけな」
「やった!」
こうして、私たちは冬の木テラスですラロック先輩の話を聞くことになった。
私たちエルト代表選手は最後の特訓に励んでいた。
「ラロック!もっと距離を詰めるんだ!接近戦が得意な相手に対して極端に距離を開けちゃダメだ!逆にサキは魔法を使って距離を変えていかないといけないよ!ラロックに一定距離を保たれ続けているよ」
「うっす!」
「はい」
ラロック先輩と私の模擬戦を見ながら、レオン先輩が横でアドバイスをする。
私はアドバイスを受けて、手を前に出した。
「第一グランド」
「うおっ!?」
私は地面を少しだけ盛り上げラロック先輩の足元を不安定にする。
ラロック先輩はその地面にバランスを崩し、一瞬立ち止まった。
「ネル流武術スキル…陽ノ型・炎天華」
「う…!?」
私はラロック先輩に一気に距離を詰めて、その勢いを使ってジャンプし、上から手刀攻撃を行った。
ラロック先輩は両腕でガードしているが、そこでレフさんが攻撃が当たった声を上げる。
「はぁ!?今のは防いだだろ!?」
「手の先が…お腹に当たった…もん」
「んなもん攻撃にも入んねーだろ!?」
「もーラロックさん。そんなに意地にならないでくださいよ」
レフさんに抗議するラロック先輩をリリア先輩が止めながら、ラロック先輩と私に飲み物をくれた。
「くそっ…次こそぜってー勝つ…」
「のぞむ…ところ…」
「はは、二人ともやる気満々だね」
「もう…笑い事じゃないですよ。代表戦まであと一週間、今日で特訓は終わりなんですから」
お互いに睨み合うラロック先輩と私を、横でレオン先輩が面白そうに見ていた。
リリア先輩は心底心配そうにはぁ…とため息をついた。
「やる気のところあれなんだけど、今日はもう時間だよ。明日からはみんな体を休めて、体調を万全にすること。いいね」
レオン先輩に言われて、私たちは帰り支度を始める。
そして、4人で訓練室を出て玄関へ向かう。
「そういえば……去年の代表戦は……どうだったの…?」
ふと、気になったのでリリア先輩に聞いてみる。
すると、リリア先輩は困ったような笑顔になった。
「うぅん…実は私、去年は代表じゃないの。エルト開催だったから見てはいたんだけど…去年のことならレオン先輩かラロックさんのほうが詳しいよ」
「去年のことに興味があるのかい?」
「少し…ラロック先輩の……戦いっぷり…とか…」
「なんで俺なんだよ」
「なんとなく……?どうせ…レオン先輩は……めちゃくちゃだと思う…から」
「まぁ、それは当たってるな」
「めちゃくちゃとはひどいなぁ。ちょっと3人くらい倒しただけさ」
ほぼ全員じゃん!?
私が驚きの顔でレオン先輩を見ると、満足げなレオン先輩の顔が目に入った。
……自慢したかっただけだな…。
「でも、ラロックの話は僕も興味あるよ。ちょっと話を聞くためにも少し寄り道していかないかい?」
「はぁ?なんでそんな…」
「あ、私も聞きたいです」
「リリア…」
「それじゃあ…行きたいお店が…あります…」
「じゃあそこでじっくり聞こうじゃないか」
「決定かよ!?」
「サキちゃん、どこのお店?」
「商業区の…冬の木テラスって…お店」
「あぁ!そのお店、噂で聞いたことありますよ!可愛い店主さんが変わった料理を出してくれるって」
「よし、さっそく向かおうじゃないか」
「だから俺の意見は…」
「いいじゃないか。試合前に親睦を深めようよ」
「ラロックさん、いきましょうよ」
リリア先輩が言うと、ラロック先輩がしばらく黙ってからはぁ…と大きなため息をついた。
「わかったよ…ちょっとだけな」
「やった!」
こうして、私たちは冬の木テラスですラロック先輩の話を聞くことになった。
29
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。