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29話 銭湯・入浴回
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銭湯オープン当日。
俺は家族プラス、ハインツさん御一家とおまけを一人連れて、暗い夜道を石ランプ片手に銭湯に向かって歩いていた。
今日は稼動日初日とあって、大変な混雑が予想されるため愛車を使っての移動は控えることにした。
あんなん、道端に置いてたら通行人の邪魔にしかならないからな……
荷車に乗れないとあって、レティとアーリーが若干お冠だったが“大きなお風呂に入るためには、歩いて行かないといけないのだ”と、取り敢えず適当な事を言ったら素直に大人しくなったので、まぁよしとしよう。
今は、“大きな”がどれくらい大きいのか、姉妹で話し合っている最中だった。
アーリーが“これくらいかな?”と、その小さな両手を目一杯広げると、それに対してレティが“きっともっとだよ!”と言っては、突然走り出し少し先で立ち止まり“これくらいだよ!”と実に楽しげに手を振っていた。
どこを基準にしてそこまでなのか、俺にはさっぱり分からなかったが、たぶん妹たちの想像はきっと裏切られる事になるだろう……いい意味で、だけどな。
そんな話をして、銭湯を楽しみにしているのは、実は妹たちだじゃなかったりする。
ママンズたちも、先ほどからその手の話題に華を咲かせていた。
ママンズたちにとっては今回が正真正銘の、お風呂初体験なのである。
今までは、俺や妹たち、あとは親父なんかから話に聞くだけだったからね……
うちのママンズたちだけではなく、村の女性陣のほぼ全員がお風呂初体験のはずだ。
野外に設置していたあの試作風呂は、結局男たちの裸の社交場と成り果ててしまった。
ただでさえ使用人数が多くて、サイクルが悪かった所に、銭湯の建築を行っていた戻り組みの人たちも加わり、まさにあの川岸一体は“ザ・漢裸津波”の様相を呈していたのだった。
各自、入浴の時間帯を朝にしたり、作業の合間ににしたり、仕事終わりにしたりと、ずらしてはいた様なのだが夜、寝る前と言うのが一番利用者が多く混雑解消には至らなかった。
そんな男だけらの中、一応、気持ち程度の衝立が用意されてはいたが周りが、
男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男……
そんな所に用意された風呂など、女性が利用する訳もなく……
まぁ、中には猛者なおばちゃんもいて、男共に混じって全裸で利用している所を目撃した事があったが……あんなのは、極一部の例外中の例外だ。
あれは……まぁ……その、なんだ……
失礼を承知で言うなら、災害だな。災害。ってか、人災か……
見目麗しい訳でもなく、スタイルが良い訳でもなく……
何が悲しゅうて、ジャバ・○・ハットのヌードを見にゃきゃならんのか……
もぅね……萎えるというか、折れそうになるね……心が……
現に、その場に居合わせた不幸な男たちは皆ドン引きしていたっけか……
まぁ、俺はそんな彼らを横目に広いが浅い生簀風呂でレティにアーリー、ミーシャなんかとキャッキャッウフフして、心の平穏を保っていた訳ですがね。
なんて、かく言う俺も銭湯のあのでかい浴槽を利用するのは、今日が初めてだったりする。
と言うのも、一度、全体の稼動チェックを行うために試運転をしたのだが、その時は棟梁たち作業員に利用してもらって、俺は各種チェックのため裏方に徹していたのだ。
基本、全自動設計にしているため、人の手が介在する部分などほとんどないのだけど、初回起動と言う事で一応な。
棟梁たちからの評判は上々で、皆満足してくれたようなので何よりだ。
と、銭湯の前まで辿り着けば案の定と言うか何と言うか……
そこは結構な人で賑わっていた。
まぁ、内部はかなり広く作っているので、村人が大挙しておしかけない限りは大丈夫……だと思う。
入り口には、この世界では珍しい引き戸を採用していた。
扉だと、一々開閉しなくてはならないため大勢の人が出入りするには不向きだからだ。
引き戸なら、必要がない限りは開けっ放しでいい。
で、この引き戸を設置するに当たって、棟梁に“引き戸”とはどう言う物かを説明する事になったのだが……
理解してもらうのに、酷く苦労した……
この世界では、引き戸はあまり一般的な技法ではないらしい。
個人的には、“ゆ”なんて書かれた暖簾が欲しい所だが、布は高級品なので今回は泣く泣く諦める事にした。
あくまで、個人の趣味の範囲の話なので、無くてもなんの問題もないのだ。
入り口を潜ると、目の前には大きなロビーが広がっている。
前回入ったときとは、打って変ってイスやテーブルなど様々な物が置かれ先客たちは思い思いの姿で寛いでいた。
寝椅子で寝転がっている者、テーブルにリバーシを広げて(たぶんアレ持込だな……日本なら将棋か囲碁と言ったところか?)対局を楽しんでいる者、談笑している者、等々……
俺たちは、早速靴を脱いで下駄箱へとしまうと、ロビーへと上がった。
別に、番台などはない。
そもそもが村人たちの収入から造った施設なので、利用料は無料にしていた。
なので、利用料を払うような場所も、それを受け取る人もいないのだ。
……が、それはあくまで村人に限った話であって、部外者にはこのルールは適用されない。
と、いう訳で俺は何故か俺たちに同行していたおまけに向かって手を突きつけた。
「村人は無料だが、てめぇはダメだ。金払えやイスュ」
「おいおい……オレ様がこいつを建てるのにどれだけ出資したと思ってんだ?
そんなオレから、お前は金を取ろうってのか? あぁん?」
あっ……そう言えばそうだった。すっかり忘れていた。
「ちっ、そうだった……特別に許してやろう」
「あんがとよ、相棒」
イスュはニシシッとドヤ顔で笑っていた。
一緒にいた“おまけ”とは、イスュの事だった。
イスュがいつものように、売り上げの引渡しと商品の回収に村を訪れた丁度その日、銭湯が完成したのだ。
村は銭湯の話題で持ちきりだったため、その話がイスュの耳に届き、銭湯と言う物にイスュが興味を引かれたのは当然と言えば、当然の流れだった。
こいつには銭湯が何か、一切説明してなかったからな……めんどかったし。
村人たちの話から、大体の予想はしていたようだが、自分も見てみたい体験してみたいと言う事で無理やりくっ付いて来たのが、事の経緯だった。
何時もだったら、商品を受け取ったら日が暮れる前には村を発っているのだが、余程銭湯が気になったのか、今回は一日村に滞在してする事にしたらしい。
よって、出発は明日の早朝だ。
他の隊商の人たちがどうしているかというと、荷馬車(引いているのは馬ではないが)で待機しているんだとか……
だったら、連れて来てやれよ……とも、思ったが余計な事は言わないでおこう。
そこにはそこのルールってもんがる。
他人がとやかく言うこと事じゃない。
「にしても、またでっかい建物造ったな……」
「利用する人数を考えたらこれくらいは必要だったんだよ」
イスュは関心を示すように、ロビーをキョロキョロと見渡していた。
その様子ははっきり言って“お上りさん”のそれだった。
そんなイスュに、うちのパパンが声をかけた。
「しかし、うちの子に君みたいな知り合いがいたとはね……イスュタード君と言ったか?
うちの子は迷惑をかけてはいないかい?
ロディフィスは多少生意気な所があるからね……
これでも根はいい子なんだ。気を悪くせず、これからも仲良くしてやってくれないか?」
「いえいえ、とんでもないですよ。ロランド殿。
僕の方が彼にお世話になっているくらいですからね。
むしろ、こちらからお願いしたいくらいですよ。
これからもずっと仲良くしてくれよ? ロディフィス君」
うっわぁ~……悪い事をする時の顔だ……余所行きの声だ……しかも“僕”とか……
歯とか、髪とか、目とかキラキラさせやがって……誰だよお前?
ってか、なんで俺がイスュに迷惑をかけている前提で話を進めていますかパパン?
むしろ、俺が面倒みてやっているんですけど?
なんて事をしているうちに、俺たちは“男湯”“女湯”と書かれた看板の前に立っていた。
ホントはここにも暖簾が欲しいのだが、いたし方ない……
で、ここからは、しばしパパンたちとはお別れだ。
男共は男湯へ、そして、女、子供は女湯へGO! である。
「それじゃ、ロランド。あとでここで合流でいいのかしら?」
「ああ。ゆっくり楽しんでくるといい」
「ええ、そうさせてもらうわ。じゃ、行きましょノーラ」
「そうね。んじゃ、ロランにガゼインまたあとでね~
あっ! イケメン君だけなら、こっちでも大歓迎だけど?」
「ちょっ、おまっ……!」
「ちょっ! ノーラッ!? あんた何言ってんのよ!?」
「いえ、折角のご好意ですが遠慮させて頂きます。
お気持ちだけ有難く受け取っておく事にしますよ」
突然、ノーラおばさんがとんでもない事を口走った所為で、うちのママンとガゼインおじさんが慌てふためいていたが、肝心のイスュが華麗に回避していた。
チッ、これだからイケメンって奴は嫌いなんだ……容姿だけで得しやがって……
「ちぇ~、つまんないの……」
なんて、本当につまらなさそうに言って、ノーラおばさんはツカツカと女湯の中へと入って行った。
そのあとをミーシャがテトテトと付いて行く。
「ほら、アーリーもレティも行くわよ」
「「あーいっ!」」
ノーラおばさんに続いて、ママンと妹たちも女湯へと消えていく。
んでは、俺もっと……
ママンたちのあとを追って、一歩を踏み出そうとしたその時……
ガシッ
「どこへ行くんだよロディフィス?
お前は男の子なんだから、父さんと一緒にこっちだろ?」
急に体が動かなくなったと思ったら、俺の左腕を親父がガッシリと掴んでいた。
「えっ? あっ、いや、今日はボク、ママいっしょにおふろにはいりたい気分だなぁって……」
「さみしい事言うなよ。たまには男同士、ゆっくり話しでもしようじゃないか」
「そうだぜ相棒?
ゆっくりじっくり聞きたい事がたっぷりあるんだらよぉ」
ガシッと、今度はイスュに反対の右の手をしっかりと掴まれた。
そしてそのまま、俺の意思とは無関係にズルズルと男湯の方へと引っ張り込んで行く……
「あっ! ちょっ! たんまっ!? ストップ! ストーーーーップぅぅぅ!?」
「なんだ? ロディフィスはそんなに父さんと一緒に風呂に入るのが嫌なのか?」
本当に寂しそうな目で俺の事を見てくる親父だったが、そんな事を言っている場合ではないっ!
向こうには、女湯には、漢の夢とロマンと希望が詰まっているのだっ!
壁一枚隔てた、天国と地獄……
漢なら誰しも一度は、夢想した事があるはずだっ! 叶わぬ願いと分かりつつ、それでも願わずにはいられなかった事があるはずだっ!
子供に戻って、堂々と女湯に入りたいと!!
俺は今、その全人類(漢限定)の夢を叶える第一号となろうとしていると言うのにこの2人と来たら……
俺は、2人の手を振り解こうと、ジタバタと抵抗を試みたのだが、そこは所詮5歳児の力……
何が出来る訳でもなく、俺はただただ男湯へと連行された。
ああ……桃色の桃源郷が……イブだけの園が……
「あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……」
「こらっ! 他の人の迷惑になるから静かにしなさい!」
そしてただただ、俺の慟哭がロビーの喧騒の中に谺したのだった……
きっと、この時の俺の目は死んだ魚の様な目をしていた事だろうよ……もしかしたら、口から魂が半分くらいは抜けていたかもしれない……
入浴規則。
そう書かれた看板が脱衣所にはあった。
銭湯を利用するに当たり、注意事項がまとめられた物だ。
別に特に変わった事は書かれてはいない。
湯船に入る前に体を洗え(“湯船”に該当する言葉が分からなかったので、ここは単純に“お湯”と表記した)、手ぬぐいは湯船に浸けるな(こっちは“人が入っているお湯”にした)、そして、走るな、騒ぐな、浴槽で泳ぐな等々……
一言で言ってしまえば、人の迷惑になるような事はするな、と言う事が書かれているだけだ。
で、俺たちはその規則に則り、体を洗ってから湯船へと浸かる。
ちなみにだが、この銭湯には“ケ○リン(桶)”などの備品は一切無い。
全て自前で用意して、持ってくることが大前提となっている。
お湯を溜める為の桶は勿論、体を洗う手ぬぐい、石鹸(の実)に風呂上りに体を拭く手ぬぐい(これは、体を洗うのに使った手ぬぐいと兼用である場合が多い)。
唯一、レンガを組んで作られた長イスだけは、浴室内に固定のものが設置されていた。
内装も、一般的な銭湯と大した違いは無い。
入って正面にでかい浴槽が設けられており、壁に沿って固定イスが置かれている。
壁には残念ながら鏡こそ無いものの、一応水道モドキは設置していた。
用意された2本の配管からは、熱めのお湯と水がそれぞれ出る仕組みだ。
利用者は、自分の好みで温度を調整して使う事になる。
配管には、育ちきる前の細めの竹(っぽい植物)を継いでパイプとして利用していた。
そのパイプの下側には、等間隔に穴が開いており、穴の部分には木で出来た栓が詰められている。
この栓のパイプ側には、パイプを貫通して棒が取り付けられており、棒を上下することで栓の開閉を行う事が出来る仕組みとなっていた。
栓の隙間や、棒を通した穴から多少の水漏れはあったが、気にするほどじゃない。
仕組みは洗濯場のポンプと一緒で、お湯または水に浸かっている先端部分に水流を制御する魔術陣を刻み込んであるだけだ。
だから、水圧もそこまで高くはしていない。
勿論、設定次第では強くすることも出来なくはないが、それでは内圧に負けて栓が吹っ飛んでしまうので止めている。
そんな構造故に、全部の栓を一斉に開くと、ケツの方からはお湯がチョロチョロとしか流れなくなってしまう、と言う欠陥を抱えていたが……まぁ、そんな奇跡の瞬間など滅多に起きるものではないだろうと、見て見ぬ振りをしていた。
銭湯の基本構造は実に単純なもので、このポンプ化した竹パイプを川から加熱槽に引っ張って来ているだけだ。
途中、水と一緒に巻き上げてしまった砂利や石ころを取り除く貯水槽は通すが、水はそのまま加熱槽へ送られお湯になって浴槽を満たす。
加熱方式は、試作風呂で使ったのと同じ空間自体に直接熱量を加える方式だ。
レンガを加熱する発熱式の加熱機は、ここでは別のところで使っている。
お湯は基本掛け捨てだ。
あふれた分や、洗い場で使ったお湯はそのまま川へとご返却されている。
循環させようかとも思ったが、節約する意味がないので取り敢えずこのままでいいだろう。
汚水を捨てることに、若干迷いはあったが洗濯場での事もあるから今更か……
化学薬品みたいなものは使っている訳でもないので、大丈夫……だと思いたい。
もし、そういうものを使うようになったら考えよう。
で、肝心の施設だが、この大型の湯船以外にも、水流と風をコントロールする魔術陣を使ってジャグジーを再現してみたり、発熱型の加熱機を利用してサウナを作ってみたり(発熱型はサウナの焼き石になりました)、肌や皮膚病などに良いと言われている薬草を放り込んだ薬湯なんてのも用意してみた。
電気風呂……なんてのも用意しようかと思ったが、出力の調整がまだ心許ないので見送る事にした。
うっかり出力上げ過ぎて、全員丸焦げとか嫌過ぎるからな……
で、これだけの大規模な魔道具を動かすための動力源をどこから確保しているかと言うと……
実は、この銭湯を利用している村人そのものが、マナの供給源だったりするのだ。
厳密に言えば、浴槽に入っている人たちが、だが……
この湯船は、内部が一種の魔術陣になっていて、中に入っている者たちからじわじわと少量のマナを吸い上げている。
それを、動力に当てているのだ。
勿論、一人から吸収するマナは、本人に自覚すら与えない程の微々たるものだが、それがほぼ村人全員からともなれば膨大な量になる。
故に、この銭湯は人が入っている限り稼動し続ける仕組みになっていた。
とは言え、24時間常に誰かが入っている訳でもないので、人の流入がなくなった時点でこの銭湯は機能を停止してしまうのだけどね。
初回起動時だけ、どうしても多目のマナが必要になってしまうのだが、その供給源もしっかり確保しているので今のところは問題ない。
「……っと言うと、この変な模様が魔術を“代行”してるっていうのかよ?」
「あぁ~、うん、そう……そんなカンジでいいんじゃね?」
「……なんだよ? さっきから気の無い返事ばっかり返しやがって……」
「べっつにぃ~……」
で、俺とイスュはと言うと2人でサウナに入っているところだった。
親父は先に上がっている。
さっきから、“どういう仕組みで動いているのか”と、しつこく聞いてくるイスュに俺は魔術陣について極々簡単に説明していた。
……それも、すごく投げやりな感じで。
俺はお前らが俺に対して行った仕打ちを、絶対に忘れない。そう、ゼッタニダッ!
「で? なんでお前はこんな事知ってんだよ?」
「あ~? ああ……
昔、魔術陣を研究していた人がいてな、その人の研究資料をたまたま見る機会があって……それから個人で研究しているうちに、なんとか使える様になっていった……ってとこかな?」
「個人で研究とか……お前みたいなガキから出る言葉じゃないな……」
「うるせぇ……」
「なぁ? やっぱりその魔術陣ってのを使った道具をさぁ……」
「その話は前もしたろ? 俺は、こいつを売り物にするつもりはないってな……しつこいと怒るぞ?」
「はぁ……分かった分かった、分かりましたよ! ちっ、儲かると思うんだがな……
あっ! それじゃあ、オレにその魔術陣の使い方って言うか、作り方を教えてくれよ!
お前が売りたくないなら、オレが覚えて自分で作ればいいんだよっ!
それならいいだろ? なっ!」
ほぉ……制御技術を学びたいと?
今まで誰一人として……あの神父様でさえ理解出来きない制御を勉強したいと?
よろしいっ!
ならば教えて上げようじゃないかっ!
「先生、イスュ君が勉強熱心で、感動しました。
では、早速、制御とは何かという話からしたいと思います」
と、言うわけで俺はイスュに制御の初歩の初歩の初歩のついて話したのだが……
「ファ、くぅ~ん……」
ものの5分もしないうちに、目をグルグルに回して倒れてしまった。
サウナという苛酷な環境プラス、難しい(イスュにとっては)話からくる知恵熱のダブルパンチで完全にのぼせてしまったらしい……軟弱者め。
取り敢えず、そのままって訳にも行かなかったので、近くの人たちに頼んで脱衣所まで運んでもらったのだった。
ちなみに、それ以降イスュに制御の話をしようとすると、飛ぶように逃げる様になってしまった……軟弱者め。
俺は家族プラス、ハインツさん御一家とおまけを一人連れて、暗い夜道を石ランプ片手に銭湯に向かって歩いていた。
今日は稼動日初日とあって、大変な混雑が予想されるため愛車を使っての移動は控えることにした。
あんなん、道端に置いてたら通行人の邪魔にしかならないからな……
荷車に乗れないとあって、レティとアーリーが若干お冠だったが“大きなお風呂に入るためには、歩いて行かないといけないのだ”と、取り敢えず適当な事を言ったら素直に大人しくなったので、まぁよしとしよう。
今は、“大きな”がどれくらい大きいのか、姉妹で話し合っている最中だった。
アーリーが“これくらいかな?”と、その小さな両手を目一杯広げると、それに対してレティが“きっともっとだよ!”と言っては、突然走り出し少し先で立ち止まり“これくらいだよ!”と実に楽しげに手を振っていた。
どこを基準にしてそこまでなのか、俺にはさっぱり分からなかったが、たぶん妹たちの想像はきっと裏切られる事になるだろう……いい意味で、だけどな。
そんな話をして、銭湯を楽しみにしているのは、実は妹たちだじゃなかったりする。
ママンズたちも、先ほどからその手の話題に華を咲かせていた。
ママンズたちにとっては今回が正真正銘の、お風呂初体験なのである。
今までは、俺や妹たち、あとは親父なんかから話に聞くだけだったからね……
うちのママンズたちだけではなく、村の女性陣のほぼ全員がお風呂初体験のはずだ。
野外に設置していたあの試作風呂は、結局男たちの裸の社交場と成り果ててしまった。
ただでさえ使用人数が多くて、サイクルが悪かった所に、銭湯の建築を行っていた戻り組みの人たちも加わり、まさにあの川岸一体は“ザ・漢裸津波”の様相を呈していたのだった。
各自、入浴の時間帯を朝にしたり、作業の合間ににしたり、仕事終わりにしたりと、ずらしてはいた様なのだが夜、寝る前と言うのが一番利用者が多く混雑解消には至らなかった。
そんな男だけらの中、一応、気持ち程度の衝立が用意されてはいたが周りが、
男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男男……
そんな所に用意された風呂など、女性が利用する訳もなく……
まぁ、中には猛者なおばちゃんもいて、男共に混じって全裸で利用している所を目撃した事があったが……あんなのは、極一部の例外中の例外だ。
あれは……まぁ……その、なんだ……
失礼を承知で言うなら、災害だな。災害。ってか、人災か……
見目麗しい訳でもなく、スタイルが良い訳でもなく……
何が悲しゅうて、ジャバ・○・ハットのヌードを見にゃきゃならんのか……
もぅね……萎えるというか、折れそうになるね……心が……
現に、その場に居合わせた不幸な男たちは皆ドン引きしていたっけか……
まぁ、俺はそんな彼らを横目に広いが浅い生簀風呂でレティにアーリー、ミーシャなんかとキャッキャッウフフして、心の平穏を保っていた訳ですがね。
なんて、かく言う俺も銭湯のあのでかい浴槽を利用するのは、今日が初めてだったりする。
と言うのも、一度、全体の稼動チェックを行うために試運転をしたのだが、その時は棟梁たち作業員に利用してもらって、俺は各種チェックのため裏方に徹していたのだ。
基本、全自動設計にしているため、人の手が介在する部分などほとんどないのだけど、初回起動と言う事で一応な。
棟梁たちからの評判は上々で、皆満足してくれたようなので何よりだ。
と、銭湯の前まで辿り着けば案の定と言うか何と言うか……
そこは結構な人で賑わっていた。
まぁ、内部はかなり広く作っているので、村人が大挙しておしかけない限りは大丈夫……だと思う。
入り口には、この世界では珍しい引き戸を採用していた。
扉だと、一々開閉しなくてはならないため大勢の人が出入りするには不向きだからだ。
引き戸なら、必要がない限りは開けっ放しでいい。
で、この引き戸を設置するに当たって、棟梁に“引き戸”とはどう言う物かを説明する事になったのだが……
理解してもらうのに、酷く苦労した……
この世界では、引き戸はあまり一般的な技法ではないらしい。
個人的には、“ゆ”なんて書かれた暖簾が欲しい所だが、布は高級品なので今回は泣く泣く諦める事にした。
あくまで、個人の趣味の範囲の話なので、無くてもなんの問題もないのだ。
入り口を潜ると、目の前には大きなロビーが広がっている。
前回入ったときとは、打って変ってイスやテーブルなど様々な物が置かれ先客たちは思い思いの姿で寛いでいた。
寝椅子で寝転がっている者、テーブルにリバーシを広げて(たぶんアレ持込だな……日本なら将棋か囲碁と言ったところか?)対局を楽しんでいる者、談笑している者、等々……
俺たちは、早速靴を脱いで下駄箱へとしまうと、ロビーへと上がった。
別に、番台などはない。
そもそもが村人たちの収入から造った施設なので、利用料は無料にしていた。
なので、利用料を払うような場所も、それを受け取る人もいないのだ。
……が、それはあくまで村人に限った話であって、部外者にはこのルールは適用されない。
と、いう訳で俺は何故か俺たちに同行していたおまけに向かって手を突きつけた。
「村人は無料だが、てめぇはダメだ。金払えやイスュ」
「おいおい……オレ様がこいつを建てるのにどれだけ出資したと思ってんだ?
そんなオレから、お前は金を取ろうってのか? あぁん?」
あっ……そう言えばそうだった。すっかり忘れていた。
「ちっ、そうだった……特別に許してやろう」
「あんがとよ、相棒」
イスュはニシシッとドヤ顔で笑っていた。
一緒にいた“おまけ”とは、イスュの事だった。
イスュがいつものように、売り上げの引渡しと商品の回収に村を訪れた丁度その日、銭湯が完成したのだ。
村は銭湯の話題で持ちきりだったため、その話がイスュの耳に届き、銭湯と言う物にイスュが興味を引かれたのは当然と言えば、当然の流れだった。
こいつには銭湯が何か、一切説明してなかったからな……めんどかったし。
村人たちの話から、大体の予想はしていたようだが、自分も見てみたい体験してみたいと言う事で無理やりくっ付いて来たのが、事の経緯だった。
何時もだったら、商品を受け取ったら日が暮れる前には村を発っているのだが、余程銭湯が気になったのか、今回は一日村に滞在してする事にしたらしい。
よって、出発は明日の早朝だ。
他の隊商の人たちがどうしているかというと、荷馬車(引いているのは馬ではないが)で待機しているんだとか……
だったら、連れて来てやれよ……とも、思ったが余計な事は言わないでおこう。
そこにはそこのルールってもんがる。
他人がとやかく言うこと事じゃない。
「にしても、またでっかい建物造ったな……」
「利用する人数を考えたらこれくらいは必要だったんだよ」
イスュは関心を示すように、ロビーをキョロキョロと見渡していた。
その様子ははっきり言って“お上りさん”のそれだった。
そんなイスュに、うちのパパンが声をかけた。
「しかし、うちの子に君みたいな知り合いがいたとはね……イスュタード君と言ったか?
うちの子は迷惑をかけてはいないかい?
ロディフィスは多少生意気な所があるからね……
これでも根はいい子なんだ。気を悪くせず、これからも仲良くしてやってくれないか?」
「いえいえ、とんでもないですよ。ロランド殿。
僕の方が彼にお世話になっているくらいですからね。
むしろ、こちらからお願いしたいくらいですよ。
これからもずっと仲良くしてくれよ? ロディフィス君」
うっわぁ~……悪い事をする時の顔だ……余所行きの声だ……しかも“僕”とか……
歯とか、髪とか、目とかキラキラさせやがって……誰だよお前?
ってか、なんで俺がイスュに迷惑をかけている前提で話を進めていますかパパン?
むしろ、俺が面倒みてやっているんですけど?
なんて事をしているうちに、俺たちは“男湯”“女湯”と書かれた看板の前に立っていた。
ホントはここにも暖簾が欲しいのだが、いたし方ない……
で、ここからは、しばしパパンたちとはお別れだ。
男共は男湯へ、そして、女、子供は女湯へGO! である。
「それじゃ、ロランド。あとでここで合流でいいのかしら?」
「ああ。ゆっくり楽しんでくるといい」
「ええ、そうさせてもらうわ。じゃ、行きましょノーラ」
「そうね。んじゃ、ロランにガゼインまたあとでね~
あっ! イケメン君だけなら、こっちでも大歓迎だけど?」
「ちょっ、おまっ……!」
「ちょっ! ノーラッ!? あんた何言ってんのよ!?」
「いえ、折角のご好意ですが遠慮させて頂きます。
お気持ちだけ有難く受け取っておく事にしますよ」
突然、ノーラおばさんがとんでもない事を口走った所為で、うちのママンとガゼインおじさんが慌てふためいていたが、肝心のイスュが華麗に回避していた。
チッ、これだからイケメンって奴は嫌いなんだ……容姿だけで得しやがって……
「ちぇ~、つまんないの……」
なんて、本当につまらなさそうに言って、ノーラおばさんはツカツカと女湯の中へと入って行った。
そのあとをミーシャがテトテトと付いて行く。
「ほら、アーリーもレティも行くわよ」
「「あーいっ!」」
ノーラおばさんに続いて、ママンと妹たちも女湯へと消えていく。
んでは、俺もっと……
ママンたちのあとを追って、一歩を踏み出そうとしたその時……
ガシッ
「どこへ行くんだよロディフィス?
お前は男の子なんだから、父さんと一緒にこっちだろ?」
急に体が動かなくなったと思ったら、俺の左腕を親父がガッシリと掴んでいた。
「えっ? あっ、いや、今日はボク、ママいっしょにおふろにはいりたい気分だなぁって……」
「さみしい事言うなよ。たまには男同士、ゆっくり話しでもしようじゃないか」
「そうだぜ相棒?
ゆっくりじっくり聞きたい事がたっぷりあるんだらよぉ」
ガシッと、今度はイスュに反対の右の手をしっかりと掴まれた。
そしてそのまま、俺の意思とは無関係にズルズルと男湯の方へと引っ張り込んで行く……
「あっ! ちょっ! たんまっ!? ストップ! ストーーーーップぅぅぅ!?」
「なんだ? ロディフィスはそんなに父さんと一緒に風呂に入るのが嫌なのか?」
本当に寂しそうな目で俺の事を見てくる親父だったが、そんな事を言っている場合ではないっ!
向こうには、女湯には、漢の夢とロマンと希望が詰まっているのだっ!
壁一枚隔てた、天国と地獄……
漢なら誰しも一度は、夢想した事があるはずだっ! 叶わぬ願いと分かりつつ、それでも願わずにはいられなかった事があるはずだっ!
子供に戻って、堂々と女湯に入りたいと!!
俺は今、その全人類(漢限定)の夢を叶える第一号となろうとしていると言うのにこの2人と来たら……
俺は、2人の手を振り解こうと、ジタバタと抵抗を試みたのだが、そこは所詮5歳児の力……
何が出来る訳でもなく、俺はただただ男湯へと連行された。
ああ……桃色の桃源郷が……イブだけの園が……
「あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……」
「こらっ! 他の人の迷惑になるから静かにしなさい!」
そしてただただ、俺の慟哭がロビーの喧騒の中に谺したのだった……
きっと、この時の俺の目は死んだ魚の様な目をしていた事だろうよ……もしかしたら、口から魂が半分くらいは抜けていたかもしれない……
入浴規則。
そう書かれた看板が脱衣所にはあった。
銭湯を利用するに当たり、注意事項がまとめられた物だ。
別に特に変わった事は書かれてはいない。
湯船に入る前に体を洗え(“湯船”に該当する言葉が分からなかったので、ここは単純に“お湯”と表記した)、手ぬぐいは湯船に浸けるな(こっちは“人が入っているお湯”にした)、そして、走るな、騒ぐな、浴槽で泳ぐな等々……
一言で言ってしまえば、人の迷惑になるような事はするな、と言う事が書かれているだけだ。
で、俺たちはその規則に則り、体を洗ってから湯船へと浸かる。
ちなみにだが、この銭湯には“ケ○リン(桶)”などの備品は一切無い。
全て自前で用意して、持ってくることが大前提となっている。
お湯を溜める為の桶は勿論、体を洗う手ぬぐい、石鹸(の実)に風呂上りに体を拭く手ぬぐい(これは、体を洗うのに使った手ぬぐいと兼用である場合が多い)。
唯一、レンガを組んで作られた長イスだけは、浴室内に固定のものが設置されていた。
内装も、一般的な銭湯と大した違いは無い。
入って正面にでかい浴槽が設けられており、壁に沿って固定イスが置かれている。
壁には残念ながら鏡こそ無いものの、一応水道モドキは設置していた。
用意された2本の配管からは、熱めのお湯と水がそれぞれ出る仕組みだ。
利用者は、自分の好みで温度を調整して使う事になる。
配管には、育ちきる前の細めの竹(っぽい植物)を継いでパイプとして利用していた。
そのパイプの下側には、等間隔に穴が開いており、穴の部分には木で出来た栓が詰められている。
この栓のパイプ側には、パイプを貫通して棒が取り付けられており、棒を上下することで栓の開閉を行う事が出来る仕組みとなっていた。
栓の隙間や、棒を通した穴から多少の水漏れはあったが、気にするほどじゃない。
仕組みは洗濯場のポンプと一緒で、お湯または水に浸かっている先端部分に水流を制御する魔術陣を刻み込んであるだけだ。
だから、水圧もそこまで高くはしていない。
勿論、設定次第では強くすることも出来なくはないが、それでは内圧に負けて栓が吹っ飛んでしまうので止めている。
そんな構造故に、全部の栓を一斉に開くと、ケツの方からはお湯がチョロチョロとしか流れなくなってしまう、と言う欠陥を抱えていたが……まぁ、そんな奇跡の瞬間など滅多に起きるものではないだろうと、見て見ぬ振りをしていた。
銭湯の基本構造は実に単純なもので、このポンプ化した竹パイプを川から加熱槽に引っ張って来ているだけだ。
途中、水と一緒に巻き上げてしまった砂利や石ころを取り除く貯水槽は通すが、水はそのまま加熱槽へ送られお湯になって浴槽を満たす。
加熱方式は、試作風呂で使ったのと同じ空間自体に直接熱量を加える方式だ。
レンガを加熱する発熱式の加熱機は、ここでは別のところで使っている。
お湯は基本掛け捨てだ。
あふれた分や、洗い場で使ったお湯はそのまま川へとご返却されている。
循環させようかとも思ったが、節約する意味がないので取り敢えずこのままでいいだろう。
汚水を捨てることに、若干迷いはあったが洗濯場での事もあるから今更か……
化学薬品みたいなものは使っている訳でもないので、大丈夫……だと思いたい。
もし、そういうものを使うようになったら考えよう。
で、肝心の施設だが、この大型の湯船以外にも、水流と風をコントロールする魔術陣を使ってジャグジーを再現してみたり、発熱型の加熱機を利用してサウナを作ってみたり(発熱型はサウナの焼き石になりました)、肌や皮膚病などに良いと言われている薬草を放り込んだ薬湯なんてのも用意してみた。
電気風呂……なんてのも用意しようかと思ったが、出力の調整がまだ心許ないので見送る事にした。
うっかり出力上げ過ぎて、全員丸焦げとか嫌過ぎるからな……
で、これだけの大規模な魔道具を動かすための動力源をどこから確保しているかと言うと……
実は、この銭湯を利用している村人そのものが、マナの供給源だったりするのだ。
厳密に言えば、浴槽に入っている人たちが、だが……
この湯船は、内部が一種の魔術陣になっていて、中に入っている者たちからじわじわと少量のマナを吸い上げている。
それを、動力に当てているのだ。
勿論、一人から吸収するマナは、本人に自覚すら与えない程の微々たるものだが、それがほぼ村人全員からともなれば膨大な量になる。
故に、この銭湯は人が入っている限り稼動し続ける仕組みになっていた。
とは言え、24時間常に誰かが入っている訳でもないので、人の流入がなくなった時点でこの銭湯は機能を停止してしまうのだけどね。
初回起動時だけ、どうしても多目のマナが必要になってしまうのだが、その供給源もしっかり確保しているので今のところは問題ない。
「……っと言うと、この変な模様が魔術を“代行”してるっていうのかよ?」
「あぁ~、うん、そう……そんなカンジでいいんじゃね?」
「……なんだよ? さっきから気の無い返事ばっかり返しやがって……」
「べっつにぃ~……」
で、俺とイスュはと言うと2人でサウナに入っているところだった。
親父は先に上がっている。
さっきから、“どういう仕組みで動いているのか”と、しつこく聞いてくるイスュに俺は魔術陣について極々簡単に説明していた。
……それも、すごく投げやりな感じで。
俺はお前らが俺に対して行った仕打ちを、絶対に忘れない。そう、ゼッタニダッ!
「で? なんでお前はこんな事知ってんだよ?」
「あ~? ああ……
昔、魔術陣を研究していた人がいてな、その人の研究資料をたまたま見る機会があって……それから個人で研究しているうちに、なんとか使える様になっていった……ってとこかな?」
「個人で研究とか……お前みたいなガキから出る言葉じゃないな……」
「うるせぇ……」
「なぁ? やっぱりその魔術陣ってのを使った道具をさぁ……」
「その話は前もしたろ? 俺は、こいつを売り物にするつもりはないってな……しつこいと怒るぞ?」
「はぁ……分かった分かった、分かりましたよ! ちっ、儲かると思うんだがな……
あっ! それじゃあ、オレにその魔術陣の使い方って言うか、作り方を教えてくれよ!
お前が売りたくないなら、オレが覚えて自分で作ればいいんだよっ!
それならいいだろ? なっ!」
ほぉ……制御技術を学びたいと?
今まで誰一人として……あの神父様でさえ理解出来きない制御を勉強したいと?
よろしいっ!
ならば教えて上げようじゃないかっ!
「先生、イスュ君が勉強熱心で、感動しました。
では、早速、制御とは何かという話からしたいと思います」
と、言うわけで俺はイスュに制御の初歩の初歩の初歩のついて話したのだが……
「ファ、くぅ~ん……」
ものの5分もしないうちに、目をグルグルに回して倒れてしまった。
サウナという苛酷な環境プラス、難しい(イスュにとっては)話からくる知恵熱のダブルパンチで完全にのぼせてしまったらしい……軟弱者め。
取り敢えず、そのままって訳にも行かなかったので、近くの人たちに頼んで脱衣所まで運んでもらったのだった。
ちなみに、それ以降イスュに制御の話をしようとすると、飛ぶように逃げる様になってしまった……軟弱者め。
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