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第1章 歴史への旅
百年前の『世界』
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そういいながら翔極は、行灯から火を分ける。いくつもの香炉に火をともす翔極。
部屋は様々な色の煙がたゆたい、何とも言えぬ香りが充満する。
思わず灰簾は身構えた。
「毒ではない。怖がることはない」
そう翔極は諭す。
「あの~これっていったい?」
「先ほども申した通り、これは鳳朝に伝わる古の『秘術』、その名を『亜理斯の業』と呼ぶ」
まるで音楽のような翔極の説明。なぜか灰簾はだんだんと眠たくなってくる。
「この『亜理斯の業』秘術によって、歴史書の記された時代、世界言うなれば別の世へと精神を誘うことができるのだ」
(歴史書の時代......?別の世......?って?!)
はその瞬間意識を失う。どうやら自分がその別な世界の『旅人』にされたことをなんとなく理解しながら――
目を開く。
頬に木板の冷たい感覚がする。どうやら床に横になっているらしい。
体を起こしてあたりを見回す灰簾。
暗く、そして人気のない廊下。新しい床の木のにおいがやけにきつく感じられた。
「ここは......」
思わず声にする。
『ここは、隆朝が宮殿『左豊宮』の奥の院である』
灰簾はドキッとする。あたりに人はいない。
頭の中に直接響き渡る声、それは――
『どうやら成功したらしいな、よかった』
「翔極様!これはいったい!」
頭の中に直接響き渡る翔極の声。あたりに彼の姿は存在しない。
『何度も言う通り、これが『亜理斯の業』の本領である。灰簾、お前はいま百年以上前の世界にいるのだ」
「へ?」
『もちろん現実ではない。とはいえ夢というわけでもない。痛みは感じるし、腹も減る。この世界で起こったことはおまえ自身が体験し、介入することができるのだ』
なぜか、自慢げな翔極の口調。
やはりやばい奴だったか......と灰簾はげっそりする。
「それで――俺をこんなあやかしに放り込んでおいて、何が目的なんだ!」
大声が響き渡る。
『目的――そうそれは歴史の真実に迫ることだ」
「歴しぃ~?」
『先ほども申したではないか。『文字』に残された歴史が本当かどうかはわからないということを。それをお前に探ってもらう』
「なんで俺が!」
少しの沈黙ののち、翔極は語り始める。
『この秘術を用いられる人間は完全にその本を覚えておく必要がある。すこしでも間違った暗記をしていると、完全な再現をすることはできなくなるのだ。私といえども数冊の本を完全に暗記することはなかなか難しい。中途半端な暗記で別の世界に行くことは――大きな危険をはらむこともあるのだ』
「だから俺を?!」
自分を指さしながら、そう灰簾は叫ぶ。
うん、と軽い返事がき答えた気がした。
灰簾はめまいを感じる。
見たこともない、この世界に一人で放り込まれたことに――
部屋は様々な色の煙がたゆたい、何とも言えぬ香りが充満する。
思わず灰簾は身構えた。
「毒ではない。怖がることはない」
そう翔極は諭す。
「あの~これっていったい?」
「先ほども申した通り、これは鳳朝に伝わる古の『秘術』、その名を『亜理斯の業』と呼ぶ」
まるで音楽のような翔極の説明。なぜか灰簾はだんだんと眠たくなってくる。
「この『亜理斯の業』秘術によって、歴史書の記された時代、世界言うなれば別の世へと精神を誘うことができるのだ」
(歴史書の時代......?別の世......?って?!)
はその瞬間意識を失う。どうやら自分がその別な世界の『旅人』にされたことをなんとなく理解しながら――
目を開く。
頬に木板の冷たい感覚がする。どうやら床に横になっているらしい。
体を起こしてあたりを見回す灰簾。
暗く、そして人気のない廊下。新しい床の木のにおいがやけにきつく感じられた。
「ここは......」
思わず声にする。
『ここは、隆朝が宮殿『左豊宮』の奥の院である』
灰簾はドキッとする。あたりに人はいない。
頭の中に直接響き渡る声、それは――
『どうやら成功したらしいな、よかった』
「翔極様!これはいったい!」
頭の中に直接響き渡る翔極の声。あたりに彼の姿は存在しない。
『何度も言う通り、これが『亜理斯の業』の本領である。灰簾、お前はいま百年以上前の世界にいるのだ」
「へ?」
『もちろん現実ではない。とはいえ夢というわけでもない。痛みは感じるし、腹も減る。この世界で起こったことはおまえ自身が体験し、介入することができるのだ』
なぜか、自慢げな翔極の口調。
やはりやばい奴だったか......と灰簾はげっそりする。
「それで――俺をこんなあやかしに放り込んでおいて、何が目的なんだ!」
大声が響き渡る。
『目的――そうそれは歴史の真実に迫ることだ」
「歴しぃ~?」
『先ほども申したではないか。『文字』に残された歴史が本当かどうかはわからないということを。それをお前に探ってもらう』
「なんで俺が!」
少しの沈黙ののち、翔極は語り始める。
『この秘術を用いられる人間は完全にその本を覚えておく必要がある。すこしでも間違った暗記をしていると、完全な再現をすることはできなくなるのだ。私といえども数冊の本を完全に暗記することはなかなか難しい。中途半端な暗記で別の世界に行くことは――大きな危険をはらむこともあるのだ』
「だから俺を?!」
自分を指さしながら、そう灰簾は叫ぶ。
うん、と軽い返事がき答えた気がした。
灰簾はめまいを感じる。
見たこともない、この世界に一人で放り込まれたことに――
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