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その1

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「マリア!!!!!私はとうとう堪忍袋が切れてしまったのだ!!!!!私は心から君と言う人間を愛したはずなのだが、もうそれも許されることではない。これは全て私の過ちなのだ!!!!!」

「王子様。何をおっしゃるのですか。私にはよく分かりませんが……」

「とぼけるのもいい加減にしろ!!!!!君が今までしてきた事に関して、私は最大限目をつぶってきたつもりだ。だがしかし、今回のことに関しては、到底許すことができないと思うんだ!!!!!」

私は公爵令嬢のマリアと申します。王子様との婚約が決まって、今日はその披露宴であったわけです。やっとの思いで、婚約が決まったわけでございますから、私は大変嬉しく思っていました。それなのに、いきなり婚約破棄とはどういうわけでございましょうか。

と思っていると、何やら不思議なことがわかりました。それはつまり、王子様の隣に座っている女性のことでした。私は最初、その女性が王子様の親戚か何かだと思っていました。あるいは妹とか、そういった関係の人だと思っていました。ですが、よくよく見てみると、女性は王子様の隣に座っているだけではなく、王子様と腕組みをしているわけでございます。そして、非常に怯えた目で、私のことを見ているわけでございます。もちろん、私は彼女のことを何も知りません。しかしながら、彼女はおそらく、王子様にとって非常に親しい存在であることがわかりました。そして、婚約破棄の原因が、ひょっとしたら彼女になるのではないか、私はそのように考えました。

そして、この考えは当たることになりました。彼女は王子様の腕組みを非常に喜んでいました。そして、

「私は今までマリア様からたくさんいじめられてきたのです!!!!!」

と言いました。もちろんそんな事はありえないのですが、王子様は彼女の話だけを聞いていました。そして、私の反論については、一切聞く耳を持たないようでした。

でも私はひとつわかったことがあります。つまり、王子様は私のことを最初から愛してなんていなかったのです。これは全て偽りの恋。そうとわかったら、今度は私が王子様を懲らしめたくなりました。

だって、こうしてあからさまに馬鹿にされたわけでございますから、たっぷりと復讐して差し上げなければならないでしょう。そして、私はその方法をとっさに思いついたのでございました。
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