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その3
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「王子様……エリーナ様の侍女がいらしていますが、どうしましょうか?」
「そうだな……お通ししよう。私の口から説明する必要があるだろうからな……」
王子様はケリーを招き入れた。ケリーはものすごい形相で、王子様を睨み付けていた。
「ケリー様……王子様に対して失礼ですぞ……」
王子様の侍従がケリーに改まるよう耳打ちした。
「ご忠告ありがとうございます。しかしながら、私がこのような形相にならなければいけないのは、何も私に問題があるわけではございませんで。王子様!お分かりですよね!」
ケリーは王子様を呼びつけた。王子様は途方に暮れた。
「あなた様のおかげで、我が主君がどれほど心を傷めているかご存じですか?」
「ああっ……その件については申し訳ないと思っているんだ。しかしながら、私自身、婚約破棄に至った経緯がいまいち分からないのだ」
「まあっ、なんてことをおっしゃいますの!」
ケリーはキレた。
「あなたにとって、婚約というのはその程度のお話なのですか?」
「いや……そういうわけではないんだけど……」
「分かりましたわ!そこまでおっしゃいますのなら、あなた様が正式に婚約なさる令嬢様に会わせていただきたく思います!」
ケリーは王子様に頼んだ。
「あなたは自分の立場を分かっているのですか?侍女の分際で、王子様に命令などと言語道断ですよ!」
「まあまあ、そう怒るなって……」
王子様はエキサイトした侍従をなだめた。
ただただ不可解で、なおかつエリーナのことをどこかで探していた。
「そうだな……お通ししよう。私の口から説明する必要があるだろうからな……」
王子様はケリーを招き入れた。ケリーはものすごい形相で、王子様を睨み付けていた。
「ケリー様……王子様に対して失礼ですぞ……」
王子様の侍従がケリーに改まるよう耳打ちした。
「ご忠告ありがとうございます。しかしながら、私がこのような形相にならなければいけないのは、何も私に問題があるわけではございませんで。王子様!お分かりですよね!」
ケリーは王子様を呼びつけた。王子様は途方に暮れた。
「あなた様のおかげで、我が主君がどれほど心を傷めているかご存じですか?」
「ああっ……その件については申し訳ないと思っているんだ。しかしながら、私自身、婚約破棄に至った経緯がいまいち分からないのだ」
「まあっ、なんてことをおっしゃいますの!」
ケリーはキレた。
「あなたにとって、婚約というのはその程度のお話なのですか?」
「いや……そういうわけではないんだけど……」
「分かりましたわ!そこまでおっしゃいますのなら、あなた様が正式に婚約なさる令嬢様に会わせていただきたく思います!」
ケリーは王子様に頼んだ。
「あなたは自分の立場を分かっているのですか?侍女の分際で、王子様に命令などと言語道断ですよ!」
「まあまあ、そう怒るなって……」
王子様はエキサイトした侍従をなだめた。
ただただ不可解で、なおかつエリーナのことをどこかで探していた。
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2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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