ブラコン令嬢の嘆き

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ブラコン

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 好きで令嬢をやっているわけではありません。親から親から親から……ひたすら受け継がれてきたものなんです。

 令嬢になると色々苦労します。特に結婚。基本、親が全部決めちゃうので、子供の意志は尊重されません。本当に好きな男性を愛してめでたく結婚……なんてのは夢のまた夢です。

 さて……私の婚約相手というのが……いや、一応説明しますけど……すごく変な人なんですよ。家柄は凄くいいんですけれど、正確が悪いというか……つまり、ガキ大将ですね、平たく言えば。

 婚約相手は明日やってくるそうです。ああっ、嫌だ……なんて言ってられるのも今のうち。明日になったら、この家を出ていかなければなりません。そうすると、大好きな弟とも離れ離れになってしまいます。

 弟が好きだなんて……って思います?

 いえいえ、それが普通でしょう。でもね、貴族の世界は色々複雑なんです。狭い世界ですからね、家族の付き合いっていうのも色々特別なんです。

 加えてコークス(私の弟の名前です)ときたら……本当にどうしようもないくらい可愛いんですよ?

 他愛もなく私の胸元に抱き着いてきて、

「お姉さま……お姉さま……」

 って、可愛い子猫のように囁くんです。

 すっかり大きくなったのに、夜なんか一緒に寝てあげたり……。

 どうせイレギュラーなんだから、コークスと結婚できればいいんです。

 そしたら、婚約相手は何というでしょうか?

「素晴らしい家族愛だ!」

 と、褒めたたえるか、

「裏切者!」

 と、バッサリ切られるか。

 いずれにしても、コークスに恋愛感情が芽生えるまで教育しないといけない。

 いずれ、コークスが、

「お姉さまと結婚したい」

 と言うようになる日を夢見て。
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