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その1

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妹であるローズが、どうしてもわたしに見せたいものがあるから、と言うものだから、私はあの悲惨な歴史をもう一度繰り返すことになるのか、と心の中で考えていた。

もう一度やり直す機会……そんなものよりも、直接攻撃することができたら、どれほど楽だろうか。

神様は何も理解していないのだ。そして、私はまた繰り返すしかないのである。何を繰り返すかと言えば、そんなのは決まっている。ローズが見せようと思っているのは、不倫の現場なのである。

「あなたたちは一体何をしているんですか? 」

確か、私はあの時そのように言ったはずだ。まぁ今回は2回目だから、大して驚く事は無いんだけれども、それでも一応驚いたそぶりを見せた方が良いのだろう。なぜかって、彼らは私が2回目であることを知らないからだ。

「あら、お姉さま。いらっしゃったのですか。今日はいつもよりも早いのですね。もう少しゆっくりいらっしゃるかと思っていましたよ。私の調査によれば……」

何を調査しているのか、そんな事は全くわからなかった。でも、そんな事はどうでもよかったのだ。大切なのは、すべて結果である。2回目のやり直しと言うことで、これからの人生がどのようになっていくのか、少し楽しみでもある。そう感じていられるのも、きっと今のうちだった。

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