離婚と言ったら殺されかけた

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離婚

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令離婚と言ったら殺された。

その理由はわからない。でも1つだけわかることがある。

夫は妻である私のことを、全くと言っていいほど愛していないのだ。

どうしてそんなことがわかるかって。簡単なことだ。

夫が浮気している現場を、私は見かけてしまったのだ。これは動かぬ証拠である。

浮気している現場写真を、夫に見せつけて、私は怒った。そして言った。

「離婚します」

次の瞬間、夫は私におそいかかってきた。

「離婚なんて許さない離婚なんて許さない離婚なんて許さない離婚なんて許さない離婚なんて許さない……」

夫はどうしてだかわからなかったが、とにかく病んでるみたいにしつこく言っていた。

そして、夫は夢中になって私の首を絞め始めた。

「そんなわけのわからないことを言っているのは、私の妻じゃない。だから殺す!」

1種の病気じゃないかと思った。ひょっとしたら、このまま死んでも良いかと思った。どうせ離婚したとしても、安い慰謝料を手に入れるのが関の山である。

私は今まで誰にも愛されてこなかったと言うことだ。そんな人生だったら、もう終わらせてしまってもいいと思う。

気がついたら、夫は動かなくなっていた。今度は私が無意識に、夫を殺していたみたいだ。

「ああ、やっちゃった……まいったなあっ……」

でも、私は何も後悔しなかった。後悔なんてするわけがないんだ。私は間違ったことをしたわけでは無いのだから。私が夫を殺したと言うのは、正しいことなのだ。

だから、私は死ぬ必要なんてないと思った。

ああ、いま、お腹の中で何かが動いた。


そうだ、きっと食いかけのオタマジャクシが動いたに違いない。

早く出ておいで。

そしたら、君にも決められたくだらない人生を味わわせてあげるから。

それが嫌だったら、そのまま死ねばいい。でもそしたら、私も道連れになるのかしら。

今更どっちでも良い話だ。私はこのまま死んだとしても、一向に構わないのだから。

一応言っておこう。すべてにさようなら。

そして、新しい人生がもしやってきたとしたら、その時は誰かに祝ってもらうことにしよう。祝ってくれる人が果たしているかどうかわからないが。

ああ、やっぱりこのまま死んでしまうのだろうか。おやすみなさい。これは1種のゲームみたいなことだ。もし明日目を覚ますことができたとしたら、私はこのゲームに勝つことができる。もし明日目を覚ますことができなかったとしたら、その時は私は負けたことになる。

その時は、潔く死を受け入れることにしよう。

そして、旦那を殺しましたと、正直に告白しよう。そうすれば、神様もきっと許してくれるはずだ。確信はないが、勝手に私はそう信じている。

「ふざけるな。勝手に殺すな……」

とうとう幻覚まで聞こえるようになった。これは全て最初から夢だったのだろうか。そういうくだらないオチなんだったら、やっぱりもう一度寝てみることにしよう。さようなら。
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