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その76 ジルベール
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フランツは暫くの間、クリスの田舎で過ごした。帝都よりジルベールという使者がやってくると、フランツは皇帝が死去したことを知った。
「皇帝は……死んだのですか?」
フランツの第一声だった。感情のこもっていない、死に損ないの虎が発しそうな声色だった。
「ほんとうはこわいんだね?」
クリスはフランツに問いただした。
「そんなことはない。ただ少し不安なだけだ」
ジルベールは、フランツに帰還を促した。
「私は皇帝になるつもりなどないのです」
フランツは皇帝という冠に一切の興味を持たなかった。自身の興味というのはもちろんのことだが、気がかりだったのはクリスだった。
「わたしはフランツについていくよ?」
クリスを守ることは絶対にできないと思った。だからこそ、フランツは帝都に戻ることを拒んだ。
「そうですか?それなら、あなた様はこの世界が消えていくのを眺めているだけなのですね?」
ジルベールは言った。
「それは違います!」
「でも、違わないんですよ。あなたが皇帝を受け継がない限り、この世界は終わります」
「それ以外の方法はないのですか?」
ジルベールは何も考えずに、
「ありません」
と即答した。
「それならば、私はこの少女と共に、世界が終わるのを見届けます」
「その子は誰ですか?」
「クリスです」
「クリス…………ああっ、そういうことですか」
ジルベールは何かを思い出したようだった。
「なるほど……皇帝の背負った因果をあなたが受け継ぐわけですか?それはそれでよろしいかと」
「因果……因果とはなんですか?」
「私の口から説明するわけにはまいりません。そのうち分かると思いますよ」
そう言い残して、ジルベールは帰っていった。クリスの父親と名乗る男が現れたのは、それから一週間くらい経った日のことだった。
「皇帝は……死んだのですか?」
フランツの第一声だった。感情のこもっていない、死に損ないの虎が発しそうな声色だった。
「ほんとうはこわいんだね?」
クリスはフランツに問いただした。
「そんなことはない。ただ少し不安なだけだ」
ジルベールは、フランツに帰還を促した。
「私は皇帝になるつもりなどないのです」
フランツは皇帝という冠に一切の興味を持たなかった。自身の興味というのはもちろんのことだが、気がかりだったのはクリスだった。
「わたしはフランツについていくよ?」
クリスを守ることは絶対にできないと思った。だからこそ、フランツは帝都に戻ることを拒んだ。
「そうですか?それなら、あなた様はこの世界が消えていくのを眺めているだけなのですね?」
ジルベールは言った。
「それは違います!」
「でも、違わないんですよ。あなたが皇帝を受け継がない限り、この世界は終わります」
「それ以外の方法はないのですか?」
ジルベールは何も考えずに、
「ありません」
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「それならば、私はこの少女と共に、世界が終わるのを見届けます」
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「クリス…………ああっ、そういうことですか」
ジルベールは何かを思い出したようだった。
「なるほど……皇帝の背負った因果をあなたが受け継ぐわけですか?それはそれでよろしいかと」
「因果……因果とはなんですか?」
「私の口から説明するわけにはまいりません。そのうち分かると思いますよ」
そう言い残して、ジルベールは帰っていった。クリスの父親と名乗る男が現れたのは、それから一週間くらい経った日のことだった。
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