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その7
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「ところで、あなたはもうじき、キニーネ様のもとに嫁ぐのでしょう?」
私がこのように質問すると、ミクリッツ様は、
「そういえば、あなた様はキニーネ様の婚約者でしたよね……」
と答えた。非常に申し訳なさそうな顔をしていた。なんだかこっちの方が申し訳なく思えてきた。
「ミクリッツ様、私はあなたを糾弾しに来たわけではありません。ただ、この国の中には、あなた様の婚約話に反対する人々がいるようですね?」
「あなた様は、キニーネ様とよりを戻したいとお考えなのですか?それならば、好都合じゃありませんか。その邪魔者はここにいるんです。この場で私のことを殺してくれれば、私とキニーネ様の婚約はなかったことになるでしょう。ああ、大丈夫です。私は常にこういうものを持ち歩いていますから……」
ミクリッツ様は懐から、何やら薬の入った瓶を取り出した。
「いつでも死ねるように、毒薬を持ち歩いているんです。私の人生は、いつでも死ねるようにプログラムされているのです。タイミングさえあえば……」
「ミクリッツ様……何をおっしゃっているのか、私にはさっぱりわかりません」
「あなたが私を殺したとしても、つまり、バレないということですよ。この毒薬の瓶を遺体のそばに置いといてください。そうすれば、私が思い悩んで自殺したと思われるでしょう。これでいいんです、これで……」
「ミクリッツ様、あなたはどうして私のことをそんなに考えるんですか?私にはさっぱりわからないのです。何不自由なく生活してきたお姫様が、どうして死ぬことを考えるんですか?」
これもまた、非常に直感的な質問だった。しかしながら、ミクリッツ様は、何度も何度も首を横に振った。
「何不自由ない生活……そんなものは幻想なんですよ……」
ミクリッツ様は俯いた。
私がこのように質問すると、ミクリッツ様は、
「そういえば、あなた様はキニーネ様の婚約者でしたよね……」
と答えた。非常に申し訳なさそうな顔をしていた。なんだかこっちの方が申し訳なく思えてきた。
「ミクリッツ様、私はあなたを糾弾しに来たわけではありません。ただ、この国の中には、あなた様の婚約話に反対する人々がいるようですね?」
「あなた様は、キニーネ様とよりを戻したいとお考えなのですか?それならば、好都合じゃありませんか。その邪魔者はここにいるんです。この場で私のことを殺してくれれば、私とキニーネ様の婚約はなかったことになるでしょう。ああ、大丈夫です。私は常にこういうものを持ち歩いていますから……」
ミクリッツ様は懐から、何やら薬の入った瓶を取り出した。
「いつでも死ねるように、毒薬を持ち歩いているんです。私の人生は、いつでも死ねるようにプログラムされているのです。タイミングさえあえば……」
「ミクリッツ様……何をおっしゃっているのか、私にはさっぱりわかりません」
「あなたが私を殺したとしても、つまり、バレないということですよ。この毒薬の瓶を遺体のそばに置いといてください。そうすれば、私が思い悩んで自殺したと思われるでしょう。これでいいんです、これで……」
「ミクリッツ様、あなたはどうして私のことをそんなに考えるんですか?私にはさっぱりわからないのです。何不自由なく生活してきたお姫様が、どうして死ぬことを考えるんですか?」
これもまた、非常に直感的な質問だった。しかしながら、ミクリッツ様は、何度も何度も首を横に振った。
「何不自由ない生活……そんなものは幻想なんですよ……」
ミクリッツ様は俯いた。
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