婚約廃棄場送りの令嬢

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廃棄場監督の声

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 この国の王子様は令嬢と婚約した場合、直ぐに婚約破棄をするという変わった癖をお持ちです。婚約破棄された令嬢たちは行き場を失い、仕方なく婚約廃棄場に来ることになります。おや、新しい令嬢がお見えになりました。

「ようこそ御出でくださいました」

「ようこそ、じゃないわよ!何、この豚箱みたいな空間は?」

「豚箱、と言うよりはごみ箱でしょうか」

「ごみ箱って……何言ってるのよ!私を誰だと思っているの?」

「はいっ、心得ておりますよ。第135代王妃のカレン様……ですよね?」

「そうよ!それなのに、どうしてここへ来ないといけないわけ?」

「別に私どもが強制しているわけではありませんよ。他に行き場所がありましたら、そちらへ行っていただいて結構でございます」

「それは……」

「なければこちらの方がよろしいかと思います。あなた様のお仲間もたくさんいらっしゃいますし」

「お仲間って……?」

「元王妃の皆様ですよ」

「なんですって!」

 カレン様が驚くのも無理はありませんでした。元王妃の皆様は最初自分の住処を探すのですが、結局行き場所がないので、ここへ戻ってくることになるのです。


「どうして?王子様に捨てられた者と一緒にいなければいけないの?」

 そこですか……。

「あなた様も同じではありませんか?」

「どうしてよ?」

 カレン様は怒りだしました。私に言われても仕方のないことなのですが……。

「私は王妃よ!」

「元王妃ですね」

「何を言ってるの?私は王妃なの!王子様の計らいで一週間お暇を頂いたの!」

 なるほど、カレン様は何も分かっていないようだ。

「今頃第136代王妃が誕生しているでしょう」

「どうしてそうなるのよ!」

「お暇とはそういうことです」

「そんなことないわ!」

 カレン様が暴れ始めたので止めようとしましたが、言うことを聞かないので仕方なく印籠を出すことにしました。

「一応こういう者ですので……」
 
 カレン様の目が凍り付きました。はい、私は一応王子様の甥にあたるものでございます。王家の人間に対する傷害は令嬢と言えども重く罰せられるので、カレン様は自らの行いを悔い始めました。

「お願いいたします。どうかご勘弁を!」

 許すも許さないも、私には関係ありません。私は単にここの管理人をしているだけですから。

「わかって頂ければ結構。それでは末永く御贔屓に……」

「あの、伯爵様?」

 そうそう、私は一応伯爵なのです。念のため。

「なんでしょう?」

「お話は大方理解しましたが、私のような娘が入るには少し……いかがなものかと」

 はあっ、こういう令嬢が一番困るんですね。廃棄場の秩序を乱す可能性が極めて高い。本当なら適当な身寄りを見つけてお引き取り願うのがいいのですが、まあ、無理でしょう。

「大丈夫ですよ。あなたにはお似合いです。あなたみたいなゴミ令嬢が住むのには最適だと思います。他の方々もあなた様と似たような方ばかりですから。直ぐお友達になれると思います。よろしいですね?」

「…………………」

 もう疲れたので、ドアを閉めちゃいました。本日新たに加わったカレン様の名前を刻んで、はいはい、今日はもう終了です。
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