親友に婚約者を寝取られて〜婚約破棄は辛くても仕方がない〜辺境に移り住んで自由気ままなスローライフを満喫します

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その1

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「マリア!おりいって話があるのだが……どうかこれから私がいう提案というものを受け入れてはくれないだろうか?」


高等学院で同級生だった第一王子のミズーリ様から、呼び出しを受けた時、私はものすごく緊張していた。何か、王子様に対して不敬なことをしたのではないかと心配になった。もしそのようなことがあったとしたら、私は自らその命をたたなければならない。王家に対する不敬は、資材に値するからだ。

王子様の邸宅は、私が住む邸宅の10倍は広く、召使や侍従の数も半端ではなかった。王子様が家の玄関で、私が来訪するのを待ち望んでいた。

「よくきてくれたね!さあ、上がってくれ。ここではなんだから、お庭で話そうか?」

私は王子様の提案に従うよりなかった。どうやら、不敬を働いたことに対する咎め、ということではなさそうだった。

だとすると、なんだろうか?


世界一美しいと形容しても、決して過言ではないと思える庭に招かれて、私はまず王家に伝わると言うお菓子をご馳走になった。

「とてもおいしいです」

私がこのように申し上げると、王子様は、

「そうか、気にいってくれて私も嬉しいよ!」

と言った。

しばらくして、王子様がえらく真面目な表情になった。

「さて……これから本題に入りたいと思うのだが………その、君は私のことをどう思っているかね?」

いきなり、どう思っているか、と聞かれてしまい、私は返答に困った。その様子を見て、王子様は、

「ああ、別に難しく考えなくていいんだ。率直に君の意見を聞かせてくれないだろうか?」

と言った。率直に、と言われると余計難しくなった。

「そうですね……王子様はこれから、この広大なる帝国の主人となるわけでございますから、人知れず苦労が絶えないことでしょう。同い年の人間として、私はあなた様のことを非常に誇らしく思います」

決まりきった挨拶をしただけなのに、王子様はすごく喜んでいた。

「ああ、君は本当にそう思ってくれているんだね。王子として非常に嬉しいよ。さて、ここで1つ提案があるんだ」

提案……私はこのとき、何も真面目に考えていた。それが、今後長きにわたって続く問題の発端となることも、当然知らなかった。

「口下手なのは許してくれる。どうか、私と婚約してくれないだろうか?」

婚約……私は最初、王子様が何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

わかるはずがない。いくら貴族とは言え、王家と全くつながりのないこの私が、王子様と婚約するだなんて、考えられないことだった。



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