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その5

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「仕方がない。では、理由を教えようとするか。あんまり気が乗らないのだが……」

王子はそう言った。確かに……王子の捏造は極限まで過激だった。その話を聞いて、内容を信じる者は……恐らくいないと思えた。

だが、仕方ない。王子の愛は、もはや私に注がれることなどないのだから。分かっている。私はもう子供ではない。そんなまやかしは、もういらないのだ。

しかし、そのために嘘をでっち上げると言うのは……聖女として許すことはできないものなのだ。

「王子様?私はマリアンヌ様から……」

「イザベル。気にすることはない。君が今までマリアンヌから受けてきた仕打ちについて、私は全て承知しているぞ……」

私は人の心を読むことができる。イザベルと呼ばれた女の子は、王子を溺愛している。そして、うわべっつらは泣いているが、心の中で笑っている。私を陥れ、婚約破棄にまで持っていき、自分が新たなる婚約者となることを待ち望んでいる。

全ては彼女の仕業なのだ。そんなこと、とっくに分かっている。

「イザベルに対する今までの行いについて、君は反省すべきではないのかね?」

王子の言葉を、私はうわべっつらで聞いていた。

「そうかもしれません」

一応、そう答えておいた。

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