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前編
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私は世界一美しい、と自惚れている女。今日も明日も明後日も、男を漁ることしか考えていない。どうしてこうなったのかは分からない。幼い頃、私と似た母親に、
「あなたも綺麗ね」
と言われたことがきっかけの一つなのかもしれない。あるいは中学生の頃、クラス中の笑いものから告白されたとき、
「すごく美しい」
と言われたことがきっかけの一つなのかもしれない。いずれにしても、無意識に男たちが寄ってくる。結婚とかはよく分からないけど、とりあえずそこそこ安泰な生活をしたいから、バカなイケメンよりは、エリートな漫画男を射止めたいと思う。
とある有名大学生のパーティーに参加した時のこと。イケメンから漫画男までより取り見取り……っていう感じになっていた。
「お嬢さん。一緒にお話しませんか?」
最初に声をかけてきたのは、容姿端麗な学生。
「いえ、結構です」
顔がよくて、成績優秀で、お金持ちで……というのは乙女の幻想であり、現実はそうでもない。
一人寡黙に、赤ら顔になりながら160円のラムネを飲み干す学生。彼はきっと……。
「お隣、よろしいかしら?」
「僕で……いいんですか?ほんとに?」
死んだ魚の目。加えて、人を寄せ付けないオーラ。顔は……漫画男を通り越して事故ってレベル?昔は相当虐められたのではないかしら?
「ええ、少し付き合って下さらない?」
彼は言葉を発することなく、一度頷いた。
「でっ……何の用ですか?」
「用ってことの程ではないけれど……。あなた、一人で寂しくないの?」
「はあっ…………」
彼は大きくため息をついた。
「あなたみたいな人に言われると、呆れを通り越して、もう怒りしかないな……」
うそっ……怒らせちゃったかしら?男心って相当複雑……。
「ごめんなさい……機嫌直しにお酒なんていかが?」
「はあっ……あなたは何も分かってないね。男はみんな酒が飲める生き物だって思ってるんでしょう?」
あら、この人もしかしてお酒が飲めないのかしら?でも、さっきからなんだか酔っぱらっているみたいだし……。
「僕は大好物のラムネで酔うんです……。よって……よって……酔いまくって、今は夢の心地だ……」
まずい……。こういう人の気を引くのは中々難しい。このままホテルに連れ込んで……色々してもいいけれど、どうせ何も分かっちゃいないだろうし……と言うより、そういう大人っぽい遊びには興味ありませんって雰囲気なんだけど……。
「ああっ…………愛しのリカちゃん……」
リカちゃん……恋人かしら?
「君が……君が現実に存在したならば……僕はすぐに君と結婚するのに……何で無理なんだ……現実はこうも冷たいんだ……」
ああっ……俗に言うオタクってやつか……。
この人……私の人選ミスかしら?
「ママから借りたお金……全部使ったのに……どうして他の男のところへ行っちまったんだ……?」
「お金って……いくらくらい使ったの?」
「えっ……?1000万くらいかな……」
いや、間違ってない。どうにかして、現実を見させなくちゃ。それにしても……他の女は彼にアタックしないのかしら?みんな、私と違って光る蝶なのかしら?
「はあっ……帰ろう……」
「ちょっと待って!」
「なんですか……もういいでしょう……」
「今夜……泊っていかない?」
「泊まるって……どこへ?」
「私の家に……」
彼は、へっへっへっ、と笑った。
「恋人イベントってやつですか……ひょっとしてあなた、リカちゃん?」
「まあっ……そうかもね……」
「へえっ……リカちゃんなんだ……それはどうもご苦労様……」
「さっ……行きましょう……」
私は彼を担いで、家に連れていくことにした。
「あなたも綺麗ね」
と言われたことがきっかけの一つなのかもしれない。あるいは中学生の頃、クラス中の笑いものから告白されたとき、
「すごく美しい」
と言われたことがきっかけの一つなのかもしれない。いずれにしても、無意識に男たちが寄ってくる。結婚とかはよく分からないけど、とりあえずそこそこ安泰な生活をしたいから、バカなイケメンよりは、エリートな漫画男を射止めたいと思う。
とある有名大学生のパーティーに参加した時のこと。イケメンから漫画男までより取り見取り……っていう感じになっていた。
「お嬢さん。一緒にお話しませんか?」
最初に声をかけてきたのは、容姿端麗な学生。
「いえ、結構です」
顔がよくて、成績優秀で、お金持ちで……というのは乙女の幻想であり、現実はそうでもない。
一人寡黙に、赤ら顔になりながら160円のラムネを飲み干す学生。彼はきっと……。
「お隣、よろしいかしら?」
「僕で……いいんですか?ほんとに?」
死んだ魚の目。加えて、人を寄せ付けないオーラ。顔は……漫画男を通り越して事故ってレベル?昔は相当虐められたのではないかしら?
「ええ、少し付き合って下さらない?」
彼は言葉を発することなく、一度頷いた。
「でっ……何の用ですか?」
「用ってことの程ではないけれど……。あなた、一人で寂しくないの?」
「はあっ…………」
彼は大きくため息をついた。
「あなたみたいな人に言われると、呆れを通り越して、もう怒りしかないな……」
うそっ……怒らせちゃったかしら?男心って相当複雑……。
「ごめんなさい……機嫌直しにお酒なんていかが?」
「はあっ……あなたは何も分かってないね。男はみんな酒が飲める生き物だって思ってるんでしょう?」
あら、この人もしかしてお酒が飲めないのかしら?でも、さっきからなんだか酔っぱらっているみたいだし……。
「僕は大好物のラムネで酔うんです……。よって……よって……酔いまくって、今は夢の心地だ……」
まずい……。こういう人の気を引くのは中々難しい。このままホテルに連れ込んで……色々してもいいけれど、どうせ何も分かっちゃいないだろうし……と言うより、そういう大人っぽい遊びには興味ありませんって雰囲気なんだけど……。
「ああっ…………愛しのリカちゃん……」
リカちゃん……恋人かしら?
「君が……君が現実に存在したならば……僕はすぐに君と結婚するのに……何で無理なんだ……現実はこうも冷たいんだ……」
ああっ……俗に言うオタクってやつか……。
この人……私の人選ミスかしら?
「ママから借りたお金……全部使ったのに……どうして他の男のところへ行っちまったんだ……?」
「お金って……いくらくらい使ったの?」
「えっ……?1000万くらいかな……」
いや、間違ってない。どうにかして、現実を見させなくちゃ。それにしても……他の女は彼にアタックしないのかしら?みんな、私と違って光る蝶なのかしら?
「はあっ……帰ろう……」
「ちょっと待って!」
「なんですか……もういいでしょう……」
「今夜……泊っていかない?」
「泊まるって……どこへ?」
「私の家に……」
彼は、へっへっへっ、と笑った。
「恋人イベントってやつですか……ひょっとしてあなた、リカちゃん?」
「まあっ……そうかもね……」
「へえっ……リカちゃんなんだ……それはどうもご苦労様……」
「さっ……行きましょう……」
私は彼を担いで、家に連れていくことにした。
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