王子は婚約破棄を泣いて詫びる

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その13

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   私はその後キャシーに会う事はなかった。キャシーが一体どこへ行ったのか、調べようと思えばきっといつでもできたはずだ。でも私はしなかった。キャシーは確かによくできた妻だったかもしれない。だから私はキャシーのことを好きになれなかった。

   彼女はきっとこの世界のどこか片隅に生きているのだろう。彼女は私のことをどう思っていたのだろうか。嫌い?きっとそうだろう。今はまた別の男を見つけて、新たな人生を始めているのだろう。お互いそれがいいのかもしれない。彼女にまでこの絶望にも似た感情を押し付ける必要はない。私一人が背負えば十分である。

   キャシーがいなくなって、ルカがいなくなって、世界がいろいろ変わるのかと思った。でも大して変わっていない。人は空と水を求める。大地は風を求める。風は花を求める。花は虫を求める。虫は鳥を求める。そして鳥は青い空を求める。

   子供たちが私の代わりに笑っている。私にとっては変哲もない日常。それに花を揃えてくれる。

「こんな素晴らしい世界を見たら、ルカ様もきっと喜ぶでしょう」

   エドワードは鳥のさえずりを遮らないよう、静かに言った。

「私もそう思う。すべて君のおかげだ。ありがとう。感謝しているよ」

「もったいない言葉でございます。お父様がおっしゃった、そしてルカ様がおっしゃった世界が完成しましたね」

   まともな戦いをしていないのに、私は戦いに勝った。この世界の覇者になった。ひとつ、ふうっと息をはけば壊れてしまうガラスの世界を私は今日も城から見つめていた。
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