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その1
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私はようするに単なる呑んだくれだったのだ。
馬鹿みたいに毎日仕事をして、誰からも評価されることなんて全然なくて、それで毎日酒でも呑んで……。
そんな私の人生が急に変わったのだ。
理由はわからない。でもそれは、アニメとか小説でよく見かける、転生というやつだったんだ。
得体のしれない光が突如現れて、私はその光に触れてみた。昔から好奇心旺盛だった。直感的に触れてはいけないものだと分かった。でも、そうすると、余計に触ってみたくなるものだ。スズメバチの巣にむやみに近づいて、大量の攻撃を受けたこともある。ずいぶんと子供の頃の話だが。
目を覚ますと、私はだいぶ小さな体になって、大きくてふかふかなベッドに横たわっていた。
そうか、もう死んだのか、と思った。死んだ割には意識がはっきりしている。不思議なこともあるんだと思った。でも……少しして、死んでいないことがはっきりと分かった。
「お目覚めですかな?ラルゴ様」
誰か見知らぬ人の声がした。どうやら、朝になって、私を起こしにきたようだった。
しかし、本当にこんなことが現実に起こるのかと思うと、最初は怖かった。
体を弄ってみると、疲れ切った大人の面影は綺麗さっぱり消えていたのだ。そう、暇を持て余すくらい元気な子供になっていたのだ。
そして、六畳一間の生活に慣れていたので、この寝室の異様なる広さを隅から隅まで目で追いかけてみると、やはり、物語の世界にすっかり入り込んでしまったのだと実感した。
「ラルゴ様。さあ、旦那様に挨拶しに行きましょう」
体格のズッシリとした、屈強そうな男に言われて、私はとりあえず、コクリと頷いておいた。
「旦那様、ラルゴ様がお見えでございます」
主人の部屋、と書かれた古そうな扉の前で、男は中に聞こえるくらいの大きな声で言った。
「入ってきなさい」
中からも、負けず劣らず大きな声が返ってきた。私は男と共に、部屋に入った。
「おはようございます」
と、普通に挨拶をするだけのことだった。すると、主人は、
「今日も元気に遊べよ!」
と答えた。ああ、つまり、主人はこの場合、私の父親になるわけだ。出立はいわゆる貴族か。なるほど。
全てをなんとなくで済ませてしまうと、後々厄介なことになると思ったので、私はすぐさま確認した。
「あの……私の名前は、ラルゴと言うのですか?」
こんな馬鹿げた質問をしたわりには、男は丁寧に答えてくれた。
「はい。その通りでございます。ネルンスト子爵の3男であられます、ラルゴ様でございます」
子爵、と言うことは、貴族とはいえど底辺なのか、と思った。
前途多難な貴族生活が静かに始まった。
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目を覚ますと、私はだいぶ小さな体になって、大きくてふかふかなベッドに横たわっていた。
そうか、もう死んだのか、と思った。死んだ割には意識がはっきりしている。不思議なこともあるんだと思った。でも……少しして、死んでいないことがはっきりと分かった。
「お目覚めですかな?ラルゴ様」
誰か見知らぬ人の声がした。どうやら、朝になって、私を起こしにきたようだった。
しかし、本当にこんなことが現実に起こるのかと思うと、最初は怖かった。
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そして、六畳一間の生活に慣れていたので、この寝室の異様なる広さを隅から隅まで目で追いかけてみると、やはり、物語の世界にすっかり入り込んでしまったのだと実感した。
「ラルゴ様。さあ、旦那様に挨拶しに行きましょう」
体格のズッシリとした、屈強そうな男に言われて、私はとりあえず、コクリと頷いておいた。
「旦那様、ラルゴ様がお見えでございます」
主人の部屋、と書かれた古そうな扉の前で、男は中に聞こえるくらいの大きな声で言った。
「入ってきなさい」
中からも、負けず劣らず大きな声が返ってきた。私は男と共に、部屋に入った。
「おはようございます」
と、普通に挨拶をするだけのことだった。すると、主人は、
「今日も元気に遊べよ!」
と答えた。ああ、つまり、主人はこの場合、私の父親になるわけだ。出立はいわゆる貴族か。なるほど。
全てをなんとなくで済ませてしまうと、後々厄介なことになると思ったので、私はすぐさま確認した。
「あの……私の名前は、ラルゴと言うのですか?」
こんな馬鹿げた質問をしたわりには、男は丁寧に答えてくれた。
「はい。その通りでございます。ネルンスト子爵の3男であられます、ラルゴ様でございます」
子爵、と言うことは、貴族とはいえど底辺なのか、と思った。
前途多難な貴族生活が静かに始まった。
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