行員由奈の災難

MIKAN🍊

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2.水曜日

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__薄明かりの部屋。
グラスにビールを注ぐ音。
簡易のバスローブを羽織った男女がソファーに寄り添い、静かに乾杯をする。

「お疲れ様」
「うん」
男は一息に飲み干す。
保子はそんな男の喉仏を見ている。
「先週、鎌倉に行った帰りに生ハムを買ってきたの。食べる?」
「旨そうだね。頂こうかな」
「ちょっと待ってね」

ガラステーブルの上に生ハムと果物を用意した。
「へえ。凄いね」
「メロンが安かったから」

「帰らなくてよかったの?」
「今日は水曜日だから」
「ノー残業デーというわけか。旦那さんは心配しない?」
「そこはうまく言ってある」
「どんな風に?」
保子は悪戯っぽく笑みを浮かべて男のグラスにビールを継ぎ足す。

「ノー残業デーといっても仕事はある。やっておかないと次の日苦しいだけだから。私達のパソコンは退社時間が記録される仕組みなんだけど、自主的に勉強すると申告すれば残業とは見なされないのよ」
「それで残って仕事をすると?」
「銀行の常識だわって」
「ズル賢いんだね」
「私じゃないわ。銀行って所がね」

男はテーブルの上に無造作に置かれた腕時計にチラリと目を落とす。
「何時までいられるの?」
「終電まで平気よ」
「じゃあ、2回くらいデキるかな」
「デキるよ。もっとデキるかも」
「本当に?」
「あなた次第」

「ヤバイな」
男は笑う。
「何だか暑いわね。エアコン強めにしていい?」
立ち上がる保子の尻を男が掴む。
「あン…なーに?」
保子のバスローブを捲り上げる男。
裸の尻に顔を擦り付ける。

「あぁ…ダメょ」
ソファーに倒れ込む保子。
男は覆い被さり唇を重ねた。
舌と舌が熱く絡み合う。
バスローブの胸元が肌蹴はだけて保子の豊かな乳房が片方まろび出る。

「保子…」
「ン…イヤな人、こんなに大きくして…」

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