真樹子

MIKAN🍊

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汗の匂い

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絵美子と島津が回った頃にはほとんどの家の資源が集められた後だった。
島津はのんびりと地区の中をガイドのように案内しながら歩いた。

「桜西1丁目は子どもが多いんでそれでAとB二つに分かれてんです。Aはうちの倍くらい世帯があって範囲も広いのね。うちは6班あって一つの班が六軒から七軒。班毎に低学年と高学年の児童が均等になるようにしてあります。西は電気屋さんと自転車屋さんの辺りまで。北は焼き鳥屋とかある商店街のレンガの道からこっち。東は川沿いの土手の下の道路からこっち。南は桜西歯科医院の一本手前の道くらいまでかな。わかります?」
「はあ、何となく」

「ですよね。塚田さんとこは境界のギリギリというか。もっと遠くにも何軒かあって、区画外から転校して来た子がいるんです。イジメだったかな、そういうのがあったらしくて。特殊な事情があると学校の方で調整してくれるんですよね。知らなかったけど」
「ああ、そうみたいですね。島津さんのところはお子さんは?」
「二人です。男の子と女の子。上が5年で下が2年なんですよ。6年生か5年生が班長になります。集団登校の班長です。いつも遅刻して来る子がいてね。後で教えますよ。塚田さんのところも男の子と女の子でしょう?」
「ああ…そうなんですか。うちは3年生と1年生。早く慣れてくれると良いんですけどね。遅刻させない様にします!」絵美子はガッツポーズをして見せた。
「大丈夫ですよ。子どもは順応性が高いから」

臨時の集積場所に着くと結束された古紙がうず高く積んであった。
「ここで業者が来るの待ちます。来たら計量してもらって代金を貰います」
「なるほど。それにしても沢山!」絵美子は大袈裟に驚いた。
「朝早く車で回っちゃう人がいるんで助かります。遅くに資源を出してくる所もあるんで後でもう一度各家を回りますね。残しちゃうと怒られますから」
「はい」
「その後公民館に寄って副会長さんにお金を渡します。それで終わり」
「わかりました」

「他に細々した事は後でフロッピーを渡しますよ。そのまま持っていて下さい。イベントや年中行事、あ、それと安全パトロールや横断歩道の旗振りとかね。ローテーションでやってるんで見ればわかると思います。わかんない所あったら電話して下さい。いつでも説明しますから」
「何から何までありがとうございます」
絵美子は額の汗を拭い礼を言った。
「暑くなってきましたね。何か飲みます?」
島津は側の自販機を指差した。
「じゃ缶コーヒーを。無糖のやつで」
「オッケー。これ経費じゃなくて僕の奢りです」
「ありがとう。ご馳走さまで~す!」

絵美子はウフフと笑ってキャミのストラップがズレてくる襟首をまたちょっと引っ張り上げた。
胸元をほんの少し広げ汗の匂いがしないか、それとなく気にしながら。

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