真樹子

MIKAN🍊

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白檀

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「こんにちは!」
「はあ~い」
奥からPTA副会長の声がした。副会長は隣組の地区理事も兼任している南川真樹子という女性だ。

真樹子は池水に見立てた明るい藍地にアヤメの柄が白く浮き出たワンピースを着ていた。
胸元は大きく開きふくよかな乳房を際立たせている。
朱紅色の絞りのスカーフを肩から垂らして愉快そうに微笑んだ。
「ご苦労様でした。早かったですわね」
「はい。皆さんが手際よく作業してくれたので助かりました」
「上がって頂戴。お茶を入れますわ。コーヒーの方が良かったかしら?」
「じゃあコーヒーで」
光彦は板の間を真樹子の後について行った。
ワンピースの薄い布地がヒップラインを美しく魅せていた。

畳敷きの広間に通されしばらく待った。
縁側に白い襟なしのジャケットがぶら下がっていた。
長テーブルに書類が広がっている。

「あら、ごめんなさい。散らかったままで。座布団して頂戴ね」
「大丈夫ですよ。お構いなく」
「もう本当に暑くって。まるで夏ね」
「あはは。本当に」
「どうぞ」
光彦は差し出されたコーヒーを啜った。
見ると真樹子は素足だった。
「行儀悪いけどごめなさいね。島津さんも脚を崩して」
「ありがとうございます」

真樹子は煎餅やクッキーをあけた菓子器に手を伸ばした。
「どうぞ。遠慮しないで」
「あ、これ。忘れる所でした。資源回収の代金です」
真樹子は封筒を受け取り中を確かめるとそばにあった手提げ金庫に仕舞った。
「塚田さん、どうでした?」
「あの人は大丈夫と思いますよ。しっかりなさってるし」
「そうですか。それは良かったわ。越してきたばかりで大変なんだけどね。来年からはこの方式やめようと思って」
「そうですね。反対もあるでしょうけどね」
「そうなのよねえ」

真樹子は膝を崩して扇子で扇ぎ始めた。
「何だか暑くなってきましたねえ」
「午後から気温上がるみたいですよ」
まくった裾から白い腕が覗く。
白檀の上品で甘い香りが鼻腔をくすぐった。

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