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振り返ると薔薇の花が咲いたように地区理事の面々が晴れがましく立っていた。
「なあにアレ。あんな若い自分の娘みたいなの連れて」と篠原こず恵。
「ババアなんて言われたの初めて。ほんと失礼極まりない」と寺澤ひとみ。
「私あの人見た事あるわ。たまにうろちょろしてる」と丸山朋美。
「やだ。ヤクザじゃないの?不審者?」と星乃舞。
「工事の人でしょう。違うの?ストーカーかしら?」篠原こず恵。
「訪問販売よ。あんな格好してるけど営業なのよ。細くて綺麗な手をしてたわ。銀行にいるとね、手を見ればだいたい職業がわかるわ」と安西保子。
「へえ。全然気付かなかった。そんな余裕なかったわ」と望月千夏。
「それにしても…」皆が一斉に真樹子を見やった。
「凄かったですね。尊敬しました」絵美子がやっと口を開いた。
「警察の人が親戚にいるなんて知らなかったわ」
「ほんとホント!」朋美と舞が手を打った。
「私、一旦停止違反のキップ切られてんだけど、どうにかなんないかしら」
「イヤね~。あんなの嘘っぱちよ」真樹子がペロリと舌を出した。
「えーそうなの?嘘って」
「あら?バツイチって肝が据わってるのよ?知らなかった?」
「マジで?やるぅ~!おば様!」こず恵が真樹子の肩をパーンと叩いた。
「ちょ、ちょっとぉ。暴力反対。ホントは口から心臓が飛び出しそうだったわ」
「そんな感じしなかったわ~」
「ど迫力」
「カッコよかった!」
「見た?あいつのあの時の顔ったら」
「ほんとホント~!」
「チンパンジーは最高だった」
「ペチャパイなの?」
「あのねー」
「あれは笑えたわ。だってそっくりなんだもん」
「思い出しても向っ腹が立つ」
「綺麗な手をしてたわ」
「おいおい」
「さすが安西さん。男を見る目が違うわね」
「どういう意味よ」
「いえいえ」
「変な噂立てないでよ」
「今日のはレジェンドだなあ」
「ねえ皆んな、二次会行く?」
「行く行くぅ~!」
「カラオケでいい?」
「オケオケ~!」
「あなたはどうする?」真樹子は絵美子に訊いた。
「もちろん行きますよ。何だか興奮しちゃって」
絵美子は朗らかに答えた。
「あらまあ!」
「きゃあ大変!」
「男はいないわよ?」
「あのチンパンジーに興奮したの?」
「若いわねえ~」
「いえ、そういう意味じゃなくって…」
真樹子は笑った。
楽しい時が経つのは早い。
すると、真樹子のスマホが鳴った。
〈若木 猛〉
相手はさっきの揉め事で真樹子が名刺を出した地元の政治家だった。
皆から少し離れて通話ボタンを押す。
「先生、ご無沙汰しております。ええ、はい。そうなんです。長女の就職活動の件で。父に相談しましたら先生と一度お会いしてみてはどうかと勧められまして。いえ、そんな。親に似て何の取り柄もない娘ですけど、はい。名前は由奈です。ええ、はい。有難うございます。銀行ですか?それはもう勿論。娘も喜びますわ。今度ご挨拶にお伺いします。ぜひお力添えのほど、宜しくお願い致します。はい、失礼致します」
真樹子はスマホを仕舞って皆の所へ戻った。
「さあ、行きましょうか!」
「はーい!」
真樹子 終わり
「なあにアレ。あんな若い自分の娘みたいなの連れて」と篠原こず恵。
「ババアなんて言われたの初めて。ほんと失礼極まりない」と寺澤ひとみ。
「私あの人見た事あるわ。たまにうろちょろしてる」と丸山朋美。
「やだ。ヤクザじゃないの?不審者?」と星乃舞。
「工事の人でしょう。違うの?ストーカーかしら?」篠原こず恵。
「訪問販売よ。あんな格好してるけど営業なのよ。細くて綺麗な手をしてたわ。銀行にいるとね、手を見ればだいたい職業がわかるわ」と安西保子。
「へえ。全然気付かなかった。そんな余裕なかったわ」と望月千夏。
「それにしても…」皆が一斉に真樹子を見やった。
「凄かったですね。尊敬しました」絵美子がやっと口を開いた。
「警察の人が親戚にいるなんて知らなかったわ」
「ほんとホント!」朋美と舞が手を打った。
「私、一旦停止違反のキップ切られてんだけど、どうにかなんないかしら」
「イヤね~。あんなの嘘っぱちよ」真樹子がペロリと舌を出した。
「えーそうなの?嘘って」
「あら?バツイチって肝が据わってるのよ?知らなかった?」
「マジで?やるぅ~!おば様!」こず恵が真樹子の肩をパーンと叩いた。
「ちょ、ちょっとぉ。暴力反対。ホントは口から心臓が飛び出しそうだったわ」
「そんな感じしなかったわ~」
「ど迫力」
「カッコよかった!」
「見た?あいつのあの時の顔ったら」
「ほんとホント~!」
「チンパンジーは最高だった」
「ペチャパイなの?」
「あのねー」
「あれは笑えたわ。だってそっくりなんだもん」
「思い出しても向っ腹が立つ」
「綺麗な手をしてたわ」
「おいおい」
「さすが安西さん。男を見る目が違うわね」
「どういう意味よ」
「いえいえ」
「変な噂立てないでよ」
「今日のはレジェンドだなあ」
「ねえ皆んな、二次会行く?」
「行く行くぅ~!」
「カラオケでいい?」
「オケオケ~!」
「あなたはどうする?」真樹子は絵美子に訊いた。
「もちろん行きますよ。何だか興奮しちゃって」
絵美子は朗らかに答えた。
「あらまあ!」
「きゃあ大変!」
「男はいないわよ?」
「あのチンパンジーに興奮したの?」
「若いわねえ~」
「いえ、そういう意味じゃなくって…」
真樹子は笑った。
楽しい時が経つのは早い。
すると、真樹子のスマホが鳴った。
〈若木 猛〉
相手はさっきの揉め事で真樹子が名刺を出した地元の政治家だった。
皆から少し離れて通話ボタンを押す。
「先生、ご無沙汰しております。ええ、はい。そうなんです。長女の就職活動の件で。父に相談しましたら先生と一度お会いしてみてはどうかと勧められまして。いえ、そんな。親に似て何の取り柄もない娘ですけど、はい。名前は由奈です。ええ、はい。有難うございます。銀行ですか?それはもう勿論。娘も喜びますわ。今度ご挨拶にお伺いします。ぜひお力添えのほど、宜しくお願い致します。はい、失礼致します」
真樹子はスマホを仕舞って皆の所へ戻った。
「さあ、行きましょうか!」
「はーい!」
真樹子 終わり
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